これで安心!「株の相続」完全ガイド|手続きや分割方法、節税策も徹底解説

これで安心!「株の相続」完全ガイド|手続きや分割方法、節税策も徹底解説

株の相続は、預貯金や不動産と比べて評価や名義変更の手続きが複雑で、何から始めればよいのか戸惑う方も多いでしょう。

この記事では、初めての方にもわかりやすく、相続発生後の手続きの流れや、株の評価方法、公平な分け方、売却のタイミングなどを網羅的に解説。

正しい知識を得て、準備を整えれば、安心して株の相続を終わらせることができるでしょう。

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1.株の相続とは?

株を相続する場合、預金や不動産の相続とは少し違った注意が必要です。

大きな違いは、株の値段(株価)が毎日変わること。

株価が変わると、相続したときの評価額や、後で売ったときの利益も大きく変わります。

また、株は「どこの証券会社で取引していたのか」「いくらぐらい持っていたのか」が分からないと、名義を変えたり、相続税の計算をしたりする手続きが進められません。

こうしたトラブルを防ぐために、株を持っている方は、生きているうちから「どこの証券会社で、どれくらい株を持っているか」を家族に伝えておくと安心です。

2.株の相続発生後の手続き:5ステップ

株の相続発生後の手続き:5ステップ

株の相続手続きは相続開始後10か月以内に相続税申告を終える必要があり、遅れると延滞税や加算税の対象となります。

以下の5ステップで着実に進めていきましょう。

ステップ1:証券会社と相続人の確認

初めに、相続人を確定するために被相続人の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)を取り寄せます。同時に、被相続人が取引していた証券会社に連絡し、残高証明書の発行を依頼しましょう。

取引証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求することで確認が可能です。

相続人が複数いる場合はこの時点で遺言書の有無を確認し、遺言書がなければ将来の遺産分割協議を念頭に置いておきます。

遺産分割協議について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

ステップ2:必要書類の準備

名義変更や相続税申告には多くの書類が必要です。
主な必要書類は以下のとおりです。

株を相続する際の必要書類
チェック 書類の名称

証券会社から追加の書類を求められるケースもあるため、確認しながら準備しましょう。

ステップ3:準確定申告

被相続人が死亡年に株式売買や配当金で20万円超の所得を得ていた場合は、死亡後4か月以内に準確定申告を行わねばなりません。

源泉徴収ありの特定口座で損益通算済みの場合は原則申告不要ですが、一般口座や源泉徴収なしの特定口座で利益がある場合は申告が必要です。
不明点がある場合は税理士に確認しましょう。

ステップ4:名義変更と株式移管

遺言書または遺産分割協議により株の引き継ぎ先が決まったら、相続人名義の証券口座を開設して名義変更を行いましょう。

必要書類を提出してから株式が相続人の口座に移るまで、通常3週間ほどかかります。

不動産売却塾 コラム

“株をスピーディーに現金化する方法とは?”

相続した株を手早く現金化する方法には2通りあります。

ひとつは、代表相続人の証券口座(もしくは司法書士が開設する決済用口座)に全株を移してから代表者が売却し、売却代金を相続人に分配する方法。もうひとつは、相続人それぞれが自分の証券口座を用意して株式を受け取り、各自の判断で売却する方法です。

前者は手続きが簡潔でスピーディー、後者は売却時期を自分で決められるのがメリット。
そのため、状況に応じて選択するとよいでしょう。

ステップ5:相続税の申告・納付

相続税の申告書は被相続人の住所地の税務署に提出します。申告・納付期限は相続開始日の翌日から10か月以内で、現金一括納付が原則です。

株の名義変更に期限はありませんが、相続税の申告期限までに評価額を確定しなければならないため、早めに手続きを行いましょう。

3.株の評価方法と計算方法

株式の相続税評価額は、上場株と非上場株で方法が異なります。

上場株式の評価方法

上場株価の評価額

上場株式の評価額は、以下の4つの中から最も低い価格を選んで計算します。

  1. 相続発生日(死亡日)の終値
  2. 相続発生日を含む月の平均終値
  3. 相続発生日の前月の平均終値
  4. 相続発生日の前々月の平均終値

たとえば、死亡月の前々月平均終値が最も低い場合は、その価格を1株あたりの評価額として採用します。
残高証明書にはこれら4種類の数値が記載されており、相続人は最低額を選べるため、税負担を抑えることが可能です。

非上場株式の評価方法

非上場株式は市場価格がないため、会社の規模や株主の立場に応じて評価方法を選びます。
主に以下の3種類が用いられます。

  • 純資産価額方式・・・企業の純資産を基に株価を算定する方法。
  • 類似業種比準方式・・・上場企業の株価や利益率などを参考に計算する方法。会社の配当政策や業績が評価に影響します。
  • 配当還元方式・・・少数株主や配当重視の場合に適用。支払配当金から逆算して株価を求めます。

非上場株には譲渡制限があることが多く、相続による名義変更では会社の承認は不要でも、売却には会社の承認が必要になるケースがあります。
評価や売却が複雑なため、税理士や弁護士に相談することをおすすめします。

全体の計算方法

株式の評価額は「1株あたりの評価額 × 保有株数」で求め、他の相続財産と合算して基礎控除を差し引き、税率表に照らして相続税額を算出します。

たとえば、死亡月の前々月平均終値が8,600円で10,000株を相続した場合、株式の評価額は以下になります。

8,600円 × 10,000株 = 8,600万円

そして、上記の評価額を含む相続財産に対して相続税を計算し、納税します。

相続税については、以下の記事で詳しく解説しています。

4.株を公平に分ける3つの方法

相続人が複数いる場合、株式をどのように分けるかが重要なポイントです。
主な方法は以下の3つです。

株の分け方とメリット・デメリット
現物分割 メリット
・株主優待や配当を継続して受け取れる
・売却タイミングを各相続人で自由に決められる
デメリット
株価変動リスクを相続人が負う
代償分割 メリット
・株式を一括で保有でき、経営権をまとめやすい
・他の相続人は現金を受け取れる
デメリット
・代償金を用意する資金負担が大きい
・代償金額の設定で揉めやすい
換価分割 メリット
・株価変動リスクを避けられる
・相続人同士で分けやすい
デメリット
・売却タイミングによっては株価が下がる可能性がある
・遺産分割協議後だと譲渡所得税が発生する

現物分割:株式のまま相続する

株式を換金せずそのまま相続する方法で、株数を分け合うことで平等に分割できます。
不動産と違って数量で分けやすいのがメリットです。

株主優待や配当を受け取りたい相続人がいる場合に向いていると言えるでしょう。

代償分割:一人が相続して他の相続人に代償金を支払う

一人の相続人が株式を全て取得し、その評価額に見合った金銭を他の相続人に支払う方法です。
ただし、遺産分割協議書に代償金の支払いを明記しないと贈与とみなされることがあるため、記載内容には十分注意しましょう。

換価分割:株を売却して現金を分ける

株式を売却し、現金化して相続人で分ける方法です。

相続人全員が株式投資に関心がない場合や、相続税や他の納税資金を確保したい場合に向いています。

しかし、売却時期による価格変動の影響を平等に受けられる一方、株価が下落しているときに売却すると評価額より低い金額になる可能性がある点に注意が必要です。

また、相続遺産に不動産が含まれる場合は、一括査定を利用して、相場を確認してみてはいかがでしょうか。

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5.相続した株を売却するタイミング

株式の名義変更が完了すると相続人は株を売却できますが、いつ売るべきかは悩ましい問題です。

売却のタイミングを考える際は、以下の3つの視点から検討しましょう。

相続株の評価額を基準に考える

相続税の計算に使われた評価額と実際の市場価格にはギャップがあることが多く、評価額よりも高く売れれば相続人の手取りは増えます。
逆に評価額より低く売却すると損失を被るため、相続税申告時の評価額を1つの目安に、現在の株価と比較して検討することがポイントです。

また、相続人全員で一括売却する場合は、各相続人の所得税・住民税の負担や売却益の分配方法を事前に話し合っておくとトラブルを避けられます。

株価が高いほど利益は増える

株式は値動きが大きいため、売却のタイミング次第で利益が大きく変わります。そのため、相続人に株式投資の経験がない場合でも、直近の値動きを確認することが大切です。

株価が上昇傾向にある場合はしばらく保有して値上がり益を狙う選択もありますが、急激に下落する可能性もあるため、市場動向を注視しながら判断しましょう。

下落リスクと向き合う

株式を長期間保有していると、2,500万円まで贈与し相続時に支払った相続税相当額が取り戻せるほど株価が上昇するケースがある一方で、株価が下がるリスクもあります。
値動きの大きな銘柄であれば、相続税を支払うために売却資金が必要になるケースも。

売却タイミングを見極めるために専門家に相談し、下落リスクとどのように向き合うかを検討することが重要です。

6.事前準備を含む節税方法4選

株の相続では相続発生前から準備をしておくことで節税につながることがあります。
ここでは代表的な4つの方法を紹介。

生前贈与

将来値上がりが期待される株を株価が低い時期に生前贈与すると、贈与税と相続税の負担を抑えられます。

年間110万円まで贈与税がかからない「暦年贈与」を利用して少しずつ株を移す方法があります。

暦年贈与

出典:“No.4402 贈与税がかかる場合”. 国税庁(参照22025-09-12)をもとに、HOME4Uが独自に作成

株をもらった側には通常、贈与税の申告と納税をする必要がありますが、暦年贈与の範囲内であれば、贈与税の申告は必要ありません。

ただし、相続開始前3〜7年以内の贈与は相続財産に加算される場合があるため、計画的に行いましょう。

さらに、「相続時精算課税制度」を活用する方法も。
これは2,500万円までであれば非課税で受贈者(子や孫)に財産を譲ることができる制度です。

2024年1月より、年間110万円の基礎控除が創設されています。

相続時精算課税制度

出典:“参考 相続時精算課税制度のあらまし”. 国税庁.(参照2025-09-12)をもとに、HOME4Uが独自に作成

しかし、一度「相続時精算課税制度」を選ぶと暦年課税へ戻れない点に注意が必要です。

自社株評価額の引き下げ

非上場会社のオーナーが自社株を相続させる場合、会社の利益や純資産を減らすでことで株価を引き下げ、相続税を軽減する方法があります。

たとえば、役員退職金の支給や設備投資による特別償却、含み損のある資産の売却などを行うと純資産が減少し、株価を下げる効果があるのです。
配当金を抑える、事業の一部を分社化するなども有効ですが、会社経営に影響が出ないよう慎重に検討し、税理士のアドバイスを受けましょう。

特例の活用

特例制度を上手く活用することで、相続や売却に伴う税負担を大幅に抑えられる場合があります。
下表の3つの特例の概要と条件、メリットを比較して、活用できるか確認しましょう。

特例の概要と条件、メリット
法人版事業承継税制(特例措置) 概要
非上場会社の株式を贈与や相続で取得する際、全株を対象に贈与税・相続税の納税を猶予し、最終的に免除する制度。
条件
認定を受けた非上場会社の株式を後継者が贈与または相続で取得し、承継計画に沿って事業継続すること。
メリット
贈与税・相続税の納税を100%猶予し、要件を満たせば免除される。
相続した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例 概要
相続税を支払った非上場株を発行会社へ売却すると、通常の配当課税ではなく譲渡所得として扱われる。
条件
相続税申告期限後3年以内に、相続税を納付した非上場株を発行会社へ譲渡し、所定の届出を行うこと。
メリット
配当課税より低い税率15%で課税され、取得費加算の特例と併用可能。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 概要
相続で取得した株式・不動産などを売却する際、支払った相続税の一部を取得費に加算できる。
条件
相続税を納付した財産を、相続税申告期限から3年以内に売却すること。
メリット
取得費が増えることで譲渡益が減り、譲渡所得税が軽減される。

出典:「“法人版事業承継税制”. 国税庁」「“No.1477 相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例”. 国税庁」「“No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例”. 国税庁」(参照2025-09-11)をもとに、HOME4Uが独自に作成

事前の情報共有

相続手続きで苦労するのは「情報がない」ことでしょう。

被相続人が生前に保有株の銘柄、株数、証券会社、配当金の受取方法を家族に伝えておくだけで、相続人の手間や時間を大幅に減らせます。

特にネット証券を利用している場合、ログイン情報をエンディングノートなどに記載し、定期的に残高証明書を発行するなどして家族に知らせておくことが大切です。

さらに、複数の証券会社に口座がある場合は1社に集約し、配当金の受取方法を口座入金方式に変更するなど、相続人が管理しやすい環境を整えておくことも節税対策の一環となります。

7.「株の相続」でよくある質問

  • Q 証券会社が分からない場合はどうする?
    A 被相続人が取引していた証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求を行い、取引先証券会社を調べてもらうことができます。

    その際、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)や本人確認書類などの添付書類が必要なので、事前に準備しましょう。

  • Q 準確定申告の対象となるのは何ですか?
    A 被相続人が死亡年に株式売買や配当で20万円を超える所得を得ていた場合、死亡後4か月以内に準確定申告が必要です。

    源泉徴収ありの特定口座で損益通算が完了している場合は申告不要ですが、不明な場合は税理士に相談してください。

  • Q 未受領配当金やタンス株の扱いはどうなりますか?
    A 紙株券(タンス株)は2009年の電子化以降、信託銀行の特別口座で管理されていることが多く、証券会社では名義変更できません。

    そのため、発行会社に問い合わせて特別口座のある信託銀行を確認し、指示に従って手続きしましょう。

    また、未受領配当金がある場合は株主名簿管理人(多くは信託銀行)で手続きし、会社の定款に定められた時効(3~5年)内に請求します。

  • Q 株を相続する際、現金化したほうが得ですか?
    A 相続した株を売却して現金化すべきかは、相続人の投資経験や株価の見通し、納税資金の必要性によって変わります。

    投資経験がなく値動きに不安がある場合や早期に納税資金を用意したい場合は換価分割が便利です。

    一方、株主優待や配当を享受したい場合は現物分割で保有を続ける選択もあります。売却時には譲渡所得税や取得費加算の特例など税務面のチェックも必要です。

  • Q 相続した株を売却すると税金(譲渡所得税)はかかりますか?
    A はい。相続した株を売却すると、相続税とは別に所得税・住民税(合計約20.315%)が課税されます。

    この2つの税金を「譲渡取得税」と言います。

    売却益が出なければ課税されませんが、売却益が出た場合は確定申告が必要です。

    取得費が不明な場合は売却代金の5%を取得費として計算でき、相続税申告期限から3年以内に売却すると支払った相続税を取得費に加算できる特例「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」もあります。

株の相続をスムーズに進める方法

相続が始まってから慌てないためには、事前準備と家族間の情報共有が欠かせません。
被相続人は自分の証券会社や口座番号、保有株数、配当金受取方法などを家族に伝え、複数の証券会社を利用している場合は可能な範囲で集約しておきましょう。

相続人は相続発生後すぐに証券会社と連絡を取り、必要書類を揃えるとともに、遺産分割や売却の方法について早期に話し合うことで争いを避けられます。

相続税や譲渡所得税の計算、非上場株の評価・売却には専門知識が求められるため、不安があれば税理士や弁護士、銀行の相続相談窓口に早めに相談するのが安心です。

また、相続した遺産のなかに不動産が含まれるようなら、NTTデータ・ウィズが運用する一括査定サービス「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を利用して、相場を把握することをおすすめします。

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