3,000万の家の10年後の価値は?価値を決める5つのポイントとは

家の売却相場は10年も経つと下がるのが一般的です。
今後、家を売る可能性がある方の中には、どの程度の価値になるのか気になっている方もいらっしゃることでしょう。

この記事を読むとわかること

  • 3,000万円で買った家の10年後の価値
  • 家の価値が決まる要因、シミュレーション

ぜひ最後までおつきあいいただき、お持ちの家を売却する準備にお役立てください。

「家を売りたい」と悩んでいる方へ
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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.築年数別の家の価格の推移

最初に、統計上の築年数別の家の価格の推移について解説します。
首都圏における築年数別の中古戸建て価格の推移は以下の通りです。
グラフ中のパーセントは「築0~5年」を100%とした場合の下落率を示します。

築年数別の家の価格の推移

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

首都圏の中古戸建ての平均価格は「築0~5年」が6,136万円です。
「築6~10年」になると5,538万円となり、「築0~5年」より▲8.82%下落しています。

首都圏は、東京都の戸建て価格が高いため、「築0~5年」の平均価格が6,136万円となってしまう状況です。

ただし、首都圏の中でも千葉県や埼玉県は、「築0~5年」の平均価格が3,000万円台前半となるため、3,000万円の物件のイメージに近い数値が得られます。

千葉県および埼玉県のおける築年数別の中古戸建て価格の推移は以下の通りです。

千葉県および埼玉県のおける築年数別の中古戸建て価格の推移

地域 築0~5年 築6~10年 築11~15年 築16~20年 築21~25年 築26~30年 築31年~
千葉県 価格 3,361 2,784 2,738 2,311 1,904 1,489 1,097
下落率 0.00% ▲17.17% ▲18.54% ▲31.24% ▲43.35% ▲55.70% ▲67.36%
埼玉県 価格 3,320 2,894 2,468 2,309 2,062 1,573 1,124
下落率 0.00% ▲12.83% ▲25.66% ▲30.45% ▲37.89% ▲52.62% ▲66.14%

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
年報マーケットウォッチ2020年・年度 表16戸建て住宅(中古)

千葉県は「築0~5年」が3,361万円で「築6~10年」が2,784万円となっており、約17%下落しています。

一方で、埼玉県は「築0~5年」が3,320万円で「築6~10年」が2,894万円となっており、約13%下落している状況です。

よって、統計上は3,000万円クラスの家は、10年後には1割強~2割弱程度の価格が下がっているということになります

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2.戸建ての査定方法

戸建ては土地と建物に分解できるため、それぞれ異なる手法によって価格が求められるのが通常です。
戸建ての査定方法について、以下の2点を解説します。

  1. 土地は取引事例比較法
  2. 建物は原価法

それではひとつずつ見ていきましょう。

2-1.土地は取引事例比較法

戸建ての価格のうち、土地については取引事例比較法と呼ばれる手法で価格が求められるのが一般的です。
取引事例比較法とは、周辺の類似した土地の取引事例を元に価格を求める手法になります。

戸建ては、建物価格は築年数の経過に伴って下落していきますが、土地価格は市況の状況に応じて価格が決まるというのが基本です。

土地価格は、好景気のときは価格が上昇し、不景気のときは価格が下落していくという性質があります。

参考までに過去20年間における東京都の住宅地の価格を以下に示します。

過去20年間における東京都の住宅地の価格

国土交通省:「地価公示

土地の価格は、バブル崩壊後、「失われた10年」を経て2005年頃から上昇し、リーマンショックによって2008年をピークに下落しています。

その後、2013年より上昇に転じ、2021年には新型コロナウィルスの影響により若干下落した状況です。

このように土地価格は景気によって変動するため、10年後、今よりも好景気であれば価格が上がり、不景気であれば価格が下がっている可能性があります。

土地の価格は一律に計算式で求められるものではなく、その時の取引事例を集めて市況に応じた価格を付けることが通常です。

2-2.建物は原価法

建物価格は「原価法」と呼ばれる手法に基づき価格が求められることが通常です。
原価法とは、最初に今この建物を新築したらいくらになるかを計算し、その後、築年数に応じて減価修正を行って現在価値を求める手法となります。

「今この建物を新築したらいくらか」という価格を「再調達原価」と呼びます。
例えば、今の木造戸建て住宅の建築費が坪60万円だとしたら、30坪の家を新築すると再調達原価は1,800万円です。

次に、原価法では再調達原価に対して減価修正という価格調整を行います。
築10年目であれば、再調達原価から10年分の減価を行うのが減価修正です。

建物価格は築年数が経過すると、いずれゼロ円となります。
築何年でゼロ円になるという決まりはありませんが、一般的には築25~35年程度でゼロ円と評価されることが多いです。

昨今は、建築技術が向上しているため、ゼロ円に達する年数(経済的耐用年数)が長期化しており、木造戸建て住宅であれば35年くらいでゼロ円とするケースも多くなっています。

原価法による建物価格の求め方を示すと以下の通りです。

【原価法による建物価格】

建物価格 = 再調達原価 × (1 ― 経過年数 ÷ 経済的耐用年数)

経済的耐用年数とは、経済的に見て価値が発生する年数を指します。

3.「3,000万円の家の10年後の価値」をシミュレーション

では、3,000万円の家の10年後の価値シミュレーションを行ってみましょう。
3,000万円の新築戸建てに関し、以下のような条件を設定します。

【条件】

土地価格:1,200万円
建物価格:1,800万円(新築)
合計価格:3,000万円

土地価格は10年後も変動しない。
建物の再調達原価は1,800万円、経済的耐用年数は35年とする。

【計算シミュレーション】

土地価格は本来10年後の相場の価格で求めますが、ここでは「10年後も変動しない」という前提を設定しているため、10年後も1,200万円とします。

次に建物価格を求めます。
建物の経済的耐用年数は35年としているため、10年後の価格は以下の通りです。

建物価格 = 再調達原価 × (1 ― 経過年数 ÷ 経済的耐用年数)
     = 1,800万円 × (1 - 10年 ÷ 35年)
     ≒ 約1,300万円

10年後の価格 = 土地価格 + 建物価格
       = 1,200万円 + 1,300万円
       = 2,500万円(約▲17%減)

2,500万円は3,000万円に対して約17%下落した価格です。
「第1章 築年数別の家の価格の推移」で紹介した千葉県のケースでも、10年後は価格が約17%程度下がっていました。

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4.「10年後の価値」を決める5つのポイント

10年後の家の価値は、単純に何%下がると言い切れるものではなく、様々な要因によって決まります
10年後の価値を決めるポイントについて、以下の5点を解説します。

  1. 土地価格および中古住宅市場の動向
  2. 土地と建物の価格の割合
  3. 建物の構造
  4. 建物の仕様やデザイン性・管理の状態
  5. 住宅ローンの金利や税制等の要因

それではひとつずつ見ていきましょう。

4-1.土地価格および中古住宅市場の動向

10年後の家の価値は単純に下がるわけではなく、10年後の土地価格および中古住宅市場の動向によっても決まります。

土地価格は景気の変動によって上下するため、10年後、仮に建物価格の下落以上に土地価格が上昇すれば、購入時の価格よりも高くなることはありえます。

首都圏における住宅地(土地)の価格と中古住宅(戸建て)の価格の推移は以下の通りです。

首都圏における住宅地(土地)の価格と中古住宅(戸建て)の価格の推移

土地価格:国土交通省「地価公示
建物価格:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)

過去10年間における中古戸建て住宅の価格は、上昇傾向にあります。
中古戸建て住宅の価格が上昇している主な理由は、土地価格が上昇しているからです。

10年間の間、たまたま土地価格が上昇基調にあるときは、土地価格の上昇によって10年後の家の価値は下がりにくくなります。

一方で、日本ではかつてバブル崩壊後やリーマンショック後に土地価格が下落することを経験しています。

10年間の間、たまたま土地価格が下落基調に差し掛かってしまうと、建物価格の下落に土地価格の下落も加わるため、10年後の家の価値は大きく下がることが想定されます。

4-2.土地と建物の価格の割合

10年後の家の価値は土地と建物の価格の割合によっても異なることが通常です。
10年後に家の価値が下がる主な原因は建物価格の下落であるため、戸建て価格のうち土地価格の割合が高ければ、10年後の家の価値は下がりにくくなります。

ここで、千葉県と東京都を例に築年数別の戸建て住宅の価格下落状況を示します。

千葉県と東京都を例に築年数別の戸建て住宅の価格下落状況

地域 築0~5年 築6~10年 築11~15年 築16~20年 築21~25年 築26~30年 築31年~
千葉県 価格 3,361 2,784 2,738 2,311 1,904 1,489 1,097
下落率 0.00% ▲17.17% ▲18.54% ▲31.24% ▲43.35% ▲55.70% ▲67.36%
東京都 価格 5,093 5,119 4,991 4,632 4,428 4,629 3,351
下落率 0.00% 0.51% ▲2.00% ▲9.05% ▲13.06% ▲9.11% ▲34.20%

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
年報マーケットウォッチ2020年・年度 表16戸建て住宅(中古)

東京都は千葉県よりも土地価格が高いため、戸建て住宅に占める土地価格の割合が高くなります。

東京都は「築0~5年」が5,093万円で「築6~10年」が5,119万円となっており、統計上は約0.5%上昇している状況です。
つまり、東京都のような土地価格の高いエリアでは、10年後の家の価格が下がりにくいということになります。

ただし、東京では3,000万円で戸建てというと非現実的な価格です。
3,000万円で戸建てを建てるには、土地価格が安い千葉県や埼玉県で建てることになります。

建物価格は基本的に全国どこでも変わらないことから、3,000万円で戸建てを建てようとすると、必然的に建物価格の割合が大きくなります。

建物価格の割合が大きいと、10年後に価値が下がる価格も大きくなるため、下落率も大きくなってしまうのです。

よって、10年後も価値の下がりにくい家を建てるのであれば、土地価格の高い場所に家を建てた方が良いということになります。

4-3.建物の構造

建物の構造も10年後の家の価値に影響します。
戸建て住宅の構造には、数としては少ないですが重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造もあります。

例えば、大きな駅の周辺では火災の危険を防除するために一定のエリアが防火地域という地域に指定されていることがあります。

防火地域では建物の耐火性能を高めなければいけないため、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造が選択されることが多いです。

また、台風が多く通過する地域でも、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建てられることもあります。

重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造は木造よりも堅牢であり、経済的耐用年数も木造よりも長いです。

そのため、家が重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建てられている場合には、木造の家よりも10年後の価値は下がりにくくなります。

4-4.建物の仕様やデザイン性・管理の状態

建物の仕様やデザイン性、管理の状態も10年後の価値に影響します。

建物の仕様としては、例えば外壁材や内装材に高価な仕上材を使っていれば、価値は下がりにくくなります。
また、ハイセンスなデザインの家も、価値は下がりにくいです。

さらに、しっかり維持管理がなされている家も価値は下がりにくいといえます。
戸建て住宅における主なメンテナンスの適切な工事周期は下表の通りです。

メンテナンス内容 適切な工事周期
外壁塗装 10~15年
屋根塗装 15~20年
軒先・軒裏塗装 15~20年
樋・床下メンテナンス 15~20年
シロアリ防除 5年
クロス張り替え 7~10年
サッシまわりコーキング 7~10年

新築から10年の間でも、「シロアリ防除」や「クロス張り替え」、「サッシまわりコーキング」等はメンテナンスのタイミングが訪れます。

例えば、築10年目で1回もシロアリ防除を行っていないような建物は、適切に管理されている建物よりも価値は下がりやすいです。

4-5.住宅ローンの金利や税制等の要因

住宅ローンの金利や税制等の要因も住宅の価値に影響します。
10年も経過すると、住宅ローンの金利や税制等には変化が生じていることが一般的です。

例えば、10年後に住宅ローンの金利が今よりも上がっていれば、住宅を取得しにくくなるため、購入需要が減り、住宅価格が下がりやすくなります。

また、住宅ローン控除のような税制の適用要件が厳しくなったりすると、住宅を取得する人が減り、住宅価格は下がりやすいです。

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に一定率を乗じた額を所得税から控除できる制度になります。

住宅ローンの金利や税制は、住宅の取得環境(住宅の取得しやすさ)を決める重要な要素です。
10年後、取得環境が良くなっていれば価格は下がりにくく、取得環境が悪くなっていれば価格は大きく下がる可能性がでてきます。

5.「築10年の家」を高く売る方法

築10年の家を高く売るには、高く売ってくれる不動産会社に売却を依頼することがポイントです。

なぜかというと、査定価格は不動産会社によって異なるものだからです。

特に建物に関しては、不動産会社によって評価が大きく分かれます。
建物価格は原価法によって求められますが、建物価格がゼロ円に達する経済的耐用年数には決まりがありません。

25年でゼロ円になると判断する不動産会社もいますし、35年でゼロ円になると判断する不動産会社もいます。

経済的耐用年数は、長いほど1年あたりの減価額が少なくなるため、10年目の価値が高くなります。

つまり、経済的耐用年数を25年と判断する不動産会社よりも35年と判断する不動産会社の方が査定価格は高いです。

建物の価値がどれくらいあるかという判断は、不動産会社の経験値や実力によって異なってきます

戸建ての査定価格はどこの不動産会社も同じではないため、売却する前は複数の不動産会社に査定を依頼して、高く売ってくれる不動産会社を探すことが基本ですので、ここは確実に実践してください。

とはいえ、どういった不動産会社に査定を依頼したら良いのか、不動産業界に精通している方でもなければ判断がつかないと思います。

そんな時に便利なのが、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。

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自分で戸建て売却が得意な不動産会社を探す必要がなく、売却実績に基づき適切な不動産会社に査定が依頼できるため、不動産会社選びの失敗を防ぐことができます。
高く売ってくれる不動産会社を簡単に見つけられますので、ぜひ上手に活用してみてください。

まとめ

いかがでしたか。
3,000万円の家の10年後の価値がどうなるか、イメージがわきましたでしょうか?

3,000万円の家は、10年後、1割強~2割弱程度の値段が下がります。
価値を決めるポイントは、「土地価格および中古住宅市場の動向」や「土地と建物の価格の割合」等がありました。

もし家を高く売りたいなら、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」で戸建ての売却が得意な不動産会社を探すことから始めると、売却活動がスムーズに進みます。

皆さんが高額売却に成功することを願っています。