更新日:2025.09.10 相続・贈与編, 専攻授業 - 相続, 税金・諸費用 相続税の申告は必要?申告の期限と自分で申告する方法 不動産を含む相続について、「自分が相続税の申告が必要か」どうかを解説している記事です。自分で申告する場合の流れや期限についてもステップごとに整理して解説します。 【1分で分かる】この記事のポイント 相続税は課税対象額が基礎控除額以下ならなし 相続税が0円でも申告が必要なケースがある 不動産を含む相続税の申告では税理士に相談がおすすめ 一度の申し込みで 最大6 社に依頼 できる 売却したいけど何から始めたらいいかわからない方は 不動産売却のプロに相談しましょう! 大手から地元密着企業まで約2,500社参画 無料 売却のプロに相談する Contents1. 相続税の申告は課税対象額が基礎控除額以下なら不要2. 相続税の申告期限と間に合わないときの対処3. 自分で相続税申告をする流れ【6ステップ】4. 自分で申告する?税理士に依頼する? 判断基準まとめ 1. 相続税の申告は課税対象額が基礎控除額以下なら不要 相続税には「基礎控除額」と呼ばれる非課税枠が設けられており、相続財産の課税対象額が基礎控除額を超えなければ原則として申告・納付は不要です。以下では法定相続人の人数ごとの基礎控除額を紹介、「申告がいらない」目安となる非課税ラインを確認します。 1-1.【早見表】法定相続人数別の基礎控除 相続税の基礎控除は、相続人の数によって控除額が変わります。基礎控除額を算出する計算式は以下の通りです。 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数) 法定相続人とは、民法で定められた相続財産を受け取る権利を持つ人のことで、亡くなった方の配偶者や子といった人が該当します。 上記の計算式をもとに法定相続人数別の基礎控除額の早見表をまとめました。 法定相続人の数と基礎控除額を照らし合わせて、相続財産が控除額を超えなければ、非課税枠に収まることになります。つまり、基礎控除額を超えなければ、多くのケースで申告の必要もなくなります。 1-2. 不動産を含む場合に注意すべきポイント 不動産の相続的価値は評価額の計算によって算出するため、市価(本来の価値)より相続税評価額は低くなります。 ただし、市街地などでは固定資産税評価額よりも高く算出されることもあり、思いのほか高額な課税対象額となるケースもあります。 不動産の評価は以下の方法が用いられます。 路線価方式:道路に面する土地の「路線価」に土地の面積を掛けて評価 倍率方式:固定資産税評価額に倍率を掛けて評価 また、住宅が建っている土地では「小規模宅地等の特例」が適用されます。この特例は土地の評価額を最大80%程度にまで減額できるため、基礎控除額内に収めやすくなるという効果が期待できます。 1-3. 相続税が0円でも申告が必要なケース 基礎控除額内に課税対象額が収まれば納税の必要はありませんが、「相続税がかからない=申告不要」とは限りません。次のような場合は税額がゼロでも申告義務があります。 【相続税が0円でも申告が必要なケース】 配偶者の税額軽減を利用して相続税額が0円になった場合 小規模宅地等の特例を利用して相続税額が0円になった場合 相続開始3年以内の贈与がある場合(贈与額を加算すると基礎控除額を超える場合) 相続に不動産が絡むと分割相続が難しくなるだけでなく、思わぬ評価額となったことで相続税の納付に困ることも多くあります。 不動産を含む相続についてお悩みの方は、売却も視野に対策をとることをおすすめします。 「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」は、地元の不動産情報に詳しい地元密着型の不動産会社が多く参画する一括査定サービスです。無料で相続不動産の価値の査定が最大6社から取り寄せられます。ぜひご利用ください。 2. 相続税の申告期限と間に合わないときの対処 相続税の手続きは、相続開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税しなければなりません。 2-1. 申告期限「10か月ルール」 相続税の申告・納税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内と法律で定められています。死亡した日ではなく、事実を知った日が「相続開始」日となります。 10か月の間に法定相続人の確定や遺産分割協議などを終えなければなりません。 10か月を過ぎてしまうと以下のようなペナルティが発生するので注意が必要です。 無申告加算税:原則15%(自主的申告なら5%軽減) 延滞税:期限の翌日から日数に応じて年3〜9% 2-2. 期限に間に合わないときの対処 もし申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合でも、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して仮申告・納税を行う方法があります。 これにより、後日(3年以内に)分割が決定した時、配偶者控除や小規模宅地の特例を適用した修正申告をすることが可能になります。相続財産の評価が間に合わない場合も、この方法が利用できます。 仮に期限に間に合わなかった場合、できるだけ早く「期限後申告」を行いましょう。自主的に行うことが肝心です。期限後でも指摘される前に速やかに申告を行えばペナルティが軽減される場合もあります。 3. 自分で相続税申告をする流れ【6ステップ】 相続税の申告は、財産の内容によっては相続人自身で行うことも可能です。ここでは、自分で相続税申告を行う場合の全体的な流れを6つのステップに沿って説明します。 遺産相続の手続きとスケジュールを解説 相続は突然始まります。大切なご家族が亡くなられた悲しみの中で、さまざ STEP1. 法定相続人の確定 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍を取り寄せることから始めます。戸籍謄本や除籍謄本によって相続人に漏れがないか確認する意図があります。これによって法定相続人を確定します。 STEP2. 財産評価 被相続人が残した資産の相続税評価額を算出します。現預金、不動産、有価証券、生命保険金など、あらゆる資産が対象です。 多くの資産は額面のままの資産価値として取り扱いますが、不動産だけは評価方法が異なります。土地は路線価方式もしくは倍率方式で計算されており、多くの場合で市価よりも低い評価額となります。 不動産の評価計算は専門的ですので、士業の不動産専門家に依頼するのもおすすめです。評価を誤ると申告漏れや過大な税額につながるため、慎重に行いましょう。 STEP3. 財産目録の作成と債務控除 財産評価をもとに財産目録(遺産の一覧リスト)を作成します。 相続税申告書では遺産の種類ごとに明細を記載するため、土地・建物、預貯金、株式、保険金など項目別に整理しましょう。 また、被相続人に借入金や未払い医療費・税金などの債務がある場合や、葬儀費用を支払っていれば、相続財産から控除(債務控除)します。債務についても財産目録への記載が必要です。 STEP4. 相続税額の計算 財産目録の遺産総額をもとに相続税額を計算します。 相続税の計算は各種控除を適用したり、取得財産をあん分したりと複雑です。国税庁HPの相続税申告書作成コーナーなどを活用するとよいでしょう。 配偶者控除や小規模宅地特例を適用する場合は、要件を満たしているかに注意が必要です。 【2025年版】相続税の基礎控除とは?計算方法と申告の要否をわかりやすく解説 相続税は高額なイメージを持たれやすく、不安を抱える方も多くいらっしゃい STEP5. 必要書類収集と申告書の作成 相続税申告には必要書類を集めなければなりません。主な必要書類は以下の通りです。 【相続税の申告に必要な書類】 被相続人に関する書類 出生から死亡まで連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 など 相続人全員に関する書類 戸籍謄本、戸籍の附票、印鑑証明書 など 遺産分割に関する書類 法的効力のある遺言書または遺産分割協議書(写しで可)など 財産評価関係の書類 不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書、保険の支払通知書 など 債務に関する書類 借入金の残高証明書、葬儀費用の領収書 など 申告書類 相続税申告書、各種計算明細書 など 本人確認書類 マイナンバーカード など 書類の取り寄せに時間がかかるものもあることに注意が必要です。また、相続内容によって追加の書類が必要になることもあります。 不動産の相続登記とは?3つのケース別の必要書類を全解説 土地や建物といった不動産を相続したときは、相続登記を行なわなければなり STEP6. 税務署へ提出と納税 被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に作成した相続税申告書を提出します。提出は原則、被相続人の死亡を知った日から10か月以内(申告期限)です。 相続税の納税もこのタイミングで行います。納税方法には以下の選択肢があります。 現金一括納付:原則は現金で一括納付です。 延納(分割払い):一定の条件のもとで延納(年賦分割での支払い)が認められます。 物納(現物納付):延納でも支払うことが難しい場合には、最後の手段として物納が認められることがあります。 国税庁によると、延納は「相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合」にのみ申請することが可能です。 不動産を含む相続に直面し、売却をご検討の際は、不動産一括査定のご利用がおすすめです。「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」では、相続した不動産がどのくらいの価値があるかを知るきっかけがつかめます。 【無料】一括査定依頼スタート 4. 自分で申告する?税理士に依頼する? 判断基準 相続税の申告を自分で行うか、専門家である税理士に依頼するか、それぞれにメリット・デメリットがあります。 ここでは判断基準となる自分でするメリット・デメリットと、税理士に任せるべきと判断できるケースを紹介します。 4-1. 自分で申告するメリット・デメリット 【自分で申告するメリット・デメリット 一覧】 メリット 税理士費用を抑えられる 自分のペースで進められる 相続財産の詳細を第三者に知られずに済む デメリット 手間がかかる 専門知識が必要となる 相続財産の評価額を出すのが難しい 申告漏れを起こすリスクがある 自分で申告する最大のメリットは、費用を抑えられることでしょう。 一方で、申告漏れなどのミスを犯すリスクが高まることが最大のデメリットです。不動産がある場合、評価額の計算が複雑になるほか、分割も難しくなるため、専門家に任せるほうが無難といえるでしょう。 不動産の評価額が知りたいときや不動産相続のご相談は、不動産の一括査定から始めませんか。「不動産売却 HOME4U」では、不動産相続に詳しい専門家と提携する企業をピックアップして一括で査定を受けられます。 【無料】一括査定依頼スタート 4-2. 税理士に依頼すべきケース 複雑な相続になればミスが増え、追加納税や過少申告加算税などのペナルティを課されるリスクが高まります。このようなリスクを回避するためには、税理士といった税の専門家に依頼したほうがよいでしょう。 税理士に依頼したいケースは以下の通りです。 相続財産に不動産があり評価が複雑 相続財産としての不動産がある場合、不動産の相続税評価額の算出は複雑です。評価額の算出は、相続税計算のベースとなるため、ここが間違えると税額も間違えることとなります。不動産などの相続財産の種類が複数ある場合は専門家に依頼したほうが安心です。 相続人が複数でトラブルリスクがある 相続人が複数いる場合、遺産分割でトラブルになることもあります。税理士や弁護士といった専門知識がある人を介すことで、円満な合意形成に役立つことがあります。 特例や控除を多く利用する場合 相続税には、いくつかの種類の控除や特例があり、当てはまれば税制優遇が受けられます。どのケースで控除が受けられるのかわからない場合は、税の専門家である税理士に任せるのがおすすめです。税理士であれば、控除や特例をもれなく適用させて、無駄なお金を納税してしまうリスクもなくなります。 まとめ 相続税の申告はケースバイケースです。 相続税が発生しない場合でも申告が必要になるケースもあります。少しでも相続税に不安があれば早めに専門家へ相談することをおすすめします。 特に不動産が含まれる相続では、遺産分割や評価額計算でトラブルが起こりがちです。自分で申告することも可能ですが、必要に応じて税理士に依頼し、適切かつ確実な申告手続きを進めてください。 相続税の申告は 基礎控除額を超えるかどうかで必要かどうかのおおよその目安がつく 申告・納付期限は10か月。遅れるとペナルティあり 自分でできるが、複雑な不動産相続では 税理士に依頼するほうが安全