更新日:2025.01.14 不動産売却の基礎講座, 不動産売却のノウハウ 不動産の準委任契約とは?請負契約との違いや注意点も解説 不動産取引の際には、「準委任契約」を締結するケースがあります。準委任契約とは、法律行為以外の事務処理などを外部に委託する契約のことで、宅地建物取引業者への不動産売買の仲介依頼などがこれに当てはまります。 本記事では、準委任契約の概要や請負契約との違い、不動産取引で準委任契約を交わす場合の注意点などを解説します。 この記事を読むと分かること 準委任契約の基礎知識 準委任契約・委任契約・請負契約の違い 準委任契約を締結する際の注意点 「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格(※)”を見つけましょう※依頼する6社の中での最高価格 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート Contents1.不動産の準委任契約とは?2.準委任契約と請負契約に違いはある?3.不動産取引で準委任契約を締結する際の注意点まとめ 1.不動産の準委任契約とは? 準委任契約とは、民法上で定められた業務委託における契約形態の一種です。法律行為に当てはまらない事務処理を、委任者(発注側)から受任者(受注側)へ委託する契約のことを指します。 わかりやすく説明すると、「委任者が特定分野に詳しい個人・法人に仕事を頼んで、受任者がそれを承諾することで成り立つ契約」ということになります。具体例は、以下のとおりです。 医師による診療行為 コンサルティング契約 システム開発の委託 高齢者介護サービスの利用 家庭教師による学習指導 不動産関連の具体例には、以下のようなものがあります。 宅地建物取引業者(不動産会社)に不動産売買の仲介を依頼する 管理会社にマンションの管理(清掃・点検など)を委託する 別荘近隣の不動産会社に別荘の管理を委託する なお、準委任契約は「業務の遂行」が目的であり、結果や成果物の完成に対する義務は生じません。 また、雇用契約や派遣契約のように指揮命令関係が発生しないことも特徴です。したがって、委任者が受任者の仕事の進め方に関して指示を出したり、労働時間や残業を決めたりすることは認められていません。 参考:“民法 第六百五十六条(準委任)”. e-Gov法令検索. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成 【無料】一括査定依頼スタート 1-1.準委任契約と委任契約の違い 委任契約とは、法律行為を委託する契約のことです。主な具体例は、以下のとおりです。 弁護士による訴訟代理 司法書士による不動産の名義変更登記の手続き 税理士による確定申告の手続き 準委任契約との違いは、「委託内容が法律行為に該当するか否か」という点だけです。業務の遂行を目的としている点、結果や成果物に責任を負わない点は共通しています。 また、準委任契約には民法上の委任契約のルールが適用されるため、上記の違いを除くと実質的にほぼ同じといえるでしょう。 参考:“民法 第十節(委任)”. e-Gov法令検索 1-2.準委任契約の種類 準委任契約には、大きく分けて「履行割合型」と「成果完成型」という2つのタイプがあります。 履行割合型とは、業務で使った時間や工数に見合った報酬を支払うタイプです。報酬が発生するタイミングは、当事者間の取り決めによって決まるため、事前にしっかりと話し合う必要があります。 なお、何らかの事情で業務が履行不可になったり、途中で契約終了が決まったりした場合、受任者はこれまでの作業進捗に応じた報酬を請求できます。 成果完成型とは、結果の報告や成果物の納品といった成果に対して報酬を支払うタイプです。ただし、業務を完成させる義務はありません。 成果を完成できなくなったり、途中で契約解除になったりしても、受任者は委任者が受け取る利益に応じて報酬を請求できます。例えば、医師の診療行為によって病気や怪我が必ず治るとは限りませんが、それでも患者は診療代金を支払うことが原則です。 2.準委任契約と請負契約に違いはある? 準委任契約とよく混同されやすいものとして「請負契約」があります。 請負契約とは、請負人が受注した業務で結果や成果物を出すという前提条件のもと、発注側の依頼者が報酬の支払いを約束する契約のことです。主な具体例は、以下のとおりです。 ハウスメーカーにマイホームを建ててもらう 運送会社に荷物を運んでもらう イラストレーターにキャラクターデザインを作成してもらう 準委任契約との最大の違いは、業務の完成が義務付けられていることです。例えば、ハウスメーカーにマイホームの建築を依頼した場合、依頼者はマイホームが完成するまで報酬を支払う必要はありません。 参考:“民法 第九節(請負)”. e-Gov法令検索. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成 本章では、準委任契約と請負契約の違いを、以下の5つの観点から解説します。 契約不適合責任の有無 善管注意義務の有無 再委託の可否 報酬請求権の有無 任意解除の可否 【無料】一括査定依頼スタート 2-1.契約不適合責任の有無 請負契約では、請負人は依頼者に対して「契約不適合責任」を負います。契約不適合責任とは、結果や成果物が契約で定めた内容を満たしていない場合、依頼者は請負人に以下のような権利を行使できるというものです。 追完請求権:成果物の修補や代替物の引き渡しを求める 代金減額請求権:契約不適合の度合いに応じて代金の減額を求める 損害賠償請求権:契約が履行されないことで発生した損害の賠償を求める 解除権:契約の解除を求める 一方、準委任契約には契約不適合責任は適用されないため、上記の権利に基づく請求もできません。 2-2.善管注意義務の有無 準委任契約の場合、業務を完成させる義務の代わりに「善管注意義務」があります。善管注意義務とは、「善良な管理者の注意をもって、委託事務を処理する義務」のことを指します。 善管注意義務に明確な定義はありませんが、受任者の故意・過失によって委任者に損害が発生した場合、受任者は損害賠償などの責任を負う必要があります。 請負契約の場合、請負人に善管注意義務はありません。あくまで業務の完成がゴールであり、途中のプロセス(仕事の進め方や勤務状況など)は問題にならないためです。 2-3.再委託の可否 準委任契約の場合、受任者が委任者から事前に許諾を得るか、あるいはやむを得ない状況を除き、業務の再委託は認められていません。一方、請負契約は原則、請負人の責任のもと、下請け業者などに再委託することが可能です。 ただし、契約で別段の定めをしておけば、再委託の可否を変えることができるため、例外もあると覚えておきましょう。 2-4.報酬請求権の有無 準委任契約は無償が原則です。契約で別段の定めをしなかった場合、受任者は報酬を請求できません。しかし、実際は報酬の特約などを事前に規定するケースがほとんどです。 それに対して請負契約では、請負人は業務が完成した時点で報酬を請求できます。 2-5.任意解除の可否 準委任契約でも請負契約でも任意解除は可能ですが、要件が異なります。 準委任契約では、委任者・受任者の双方はいつでも契約を解除できます。ただし、相手方が不利になる場合には、もう一方は損害賠償責任を負います。 請負契約では、請負人が業務を完成させるまでの期間であれば、依頼者が請負人に損害賠償を請求することで、契約の解除が認められます。 3.不動産取引で準委任契約を締結する際の注意点 不動産取引において準委任契約を締結する際には、契約書に以下のような項目を盛り込む必要があります。 項目 概要 委託内容 委託する業務の内容を、手順やルールも含めて詳しく記載する 契約期間 契約の有効期間や更新方法をはっきりと記載する 報酬 報酬の金額や支払いのタイミング、経費の精算方法を記載する 知的財産権 業務課程で発生する著作物をはじめ知的財産権を、発注者と受注者のどちらに帰属するか記載する 秘密保持 業務の過程で取り扱う情報の管理方法やルールを記載する 契約解除 契約解除にまつわるルールや通知方法を記載する 損害賠償 受任者が善管注意義務を履行しないことも想定し、損害賠償の条件や請求方法を記載する 協議条項 契約書に記載されていない事柄が発生した際、どのように対応すべきか定めておく 上記の内容があいまいだとトラブルに発展しかねないため、あらかじめ注意しましょう。 まとめ 準委任契約とは、法律行為ではない事務処理を委託する契約のことです。不動産業界においては、不動産売買の仲介やマンション管理業務の委託などがこれに該当します。 請負契約との最大の違いは、業務を完成させる義務がない点です。ただし、代わりに善管注意義務があるため、場合によっては委任者から受任者へ損害賠償を請求できます。 不動産取引にもかかわる契約形態であるため、その他の違いや注意点についても把握し、お互いに納得のいく契約を締結しましょう。 準委任契約を締結して不動産を売却することをお考えの方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。 不動産売却 HOME4Uは、23年の経験と実績を誇る老舗の不動産査定サイトで、全国約2,500社の大小さまざまな優良不動産会社のなかから、最大6社の査定価格を一括で取り寄せできます。プライバシーマークを取得しており、個人情報保護も万全の安心のサービス品質が自慢です。 不動産会社によって、査定価格に数百万円以上の差が出ることも珍しくないため、複数社の査定を慎重に検討することをおすすめします。