【2025年最新】相続税の基礎控除とは?計算方法と申告の要否をわかりやすく解説

相続税は高額なイメージを持たれやすく、不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
ただ、相続税は「基礎控除」という大きな非課税枠を超えた相続財産にのみ課税されるため、相続税ゼロのケースも少なくありません。

相続税の基本となる「基礎控除」について詳しく解説していきます。

相続について基礎から詳しく知りたい方は、「ゼロから分かる相続ガイド」を併せてご覧ください。

一度の申し込みで
最大6 社に依頼 できる

売却したいけど何から
始めたらいいかわからない方は
不動産売却のプロに
相談しましょう!

大成有楽不動産販売
積水ハウス不動産中部株式会社
京王不動産
住友林業ホームサービス
みずほ不動産販売
三井住友トラスト不動産
センチュリー21
三菱UFJ不動産販売
東京建物不動産販売
大手から地元密着企業まで
約2,500社参画

1.相続税の基礎控除とは?

相続税の基礎控除とは、相続税が課税されるかどうかのボーダーラインとなる非課税枠のことです。亡くなった方(被相続人)から受け継いだ遺産の総額が、この基礎控除額の範囲内であれば、相続税は一切かかりません。

基礎控除額は以下の計算式で簡単に求められます。法定相続人の人数に応じて600万円ずつ増えていきます。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

1-1.相続税がかかる人・かからない人

相続税の課税対象となるかどうかは、以下の式で判定できます。

  • 遺産の総額 > 基礎控除額 → 相続税の申告・納税が必要
  • 遺産の総額 ≦ 基礎控除額 → 相続税の申告・納税は不要

つまり、まずはご自身の家庭の「基礎控除額」がいくらになるのかを正確に把握することが、相続税手続きの第一歩となります。

相続税の基礎控除の概要

1-2.基礎控除額は2015(平成27)年に改正された

現在の基礎控除額は、2015年1月1日に行われた税制改正後のものです。改正前と比較すると、控除額が4割も引き下げられました。

基礎控除額の計算式の比較
改正前【~2014(平成26)年12月31日】 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
改正後【2015(平成27)年1月1日~】 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

この改正により、以前は相続税とは無縁だった家庭でも、課税対象となるケースが増加しています。「我が家は資産家ではないから大丈夫」と思い込まず、一度きちんと計算してみることが重要です。

1-3.基礎控除額の計算シミュレーション

具体的に基礎控除額がいくらになるのか、法定相続人の数ごとにシミュレーションしてみましょう。

法定相続人の数に応じた基礎控除額
法定相続人の数 基礎控除額
1人(配偶者のみ、子1人など) 3,600万円
2人(配偶者と子1人など) 4,200万円
3人(配偶者と子2人など) 4,800万円
4人(配偶者と子3人など) 5,400万円
5人(配偶者と子4人など) 6,000万円

このように、法定相続人が1人増えるごとに、基礎控除額は600万円ずつ増えていきます。

2.基礎控除額の計算方法

基礎控除額を正しく計算するためには、「法定相続人」が誰で、何人いるのかを正確に把握する必要があります。

2-1.計算式のおさらい

基礎控除額の計算式は、前述のとおり非常にシンプルです。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

152_1(基礎控除額)

この計算で最も重要なのが「法定相続人の数」です。

2-2.法定相続人の範囲と順位

配偶者は常に法定相続人となり、それ以外の人には優先順位があります。

  • 常に相続人:配偶者
  • 第1順位:子(子が既に亡くなっている場合は孫などの直系卑属)
  • 第2順位:父母(父母が既に亡くなっている場合は祖父母などの直系尊属)
  • 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合はその子である甥・姪)

第1順位の人がいる場合、第2順位、第3順位の人は相続人にはなれません。同様に、第1順位の人がおらず、第2順位の人がいる場合、第3順位の人は相続人にはなれません。

次の関係図を見ながら、法定相続人を考えてみましょう。

法定相続人の関係図
被相続人の配偶者は常に相続人となり、第1順位の子2人も相続人になります。
第2順位の親が存命ですが、第1順位の子がいるため相続人にはなりません。

したがって、配偶者と子2人の計3人が基礎控除の計算根拠となり、以下のようになります。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円

なお、法定相続人については民法で定められています。

相続人の範囲と法定相続分
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位 死亡した人の子
第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹

出典:国税庁.”No.4132 相続人の範囲と法定相続分”.2024-04-01. (参照2025-08-12)

2-3.法定相続人を数える注意点

法定相続人の数を数える際には、いくつか注意点があります。

  • 相続放棄があった場合
    相続放棄をした人は、初めから相続人ではなかったものとみなされます。しかし、基礎控除額の計算上は、相続放棄がなかったものとして法定相続人の数に含めます。
  • 養子がいる場合
    養子は実子と同じく法定相続人になります。ただし、法定相続人の数に含めることができる養子の数には、以下のような制限があります。
    • 被相続人に実子がいる場合:1人まで
    • 被相続人に実子がいない場合:2人まで

3.相続税の申告が必要なケース

遺産の総額が基礎控除額を下回っていても、相続税の申告が必要になる場合があります。

3-1.財産が基礎控除額を超える場合

最も基本的なケースが、遺産総額が基礎控除額を上回る場合です。この場合は、必ず相続税の申告と納税を行わなければなりません。

3-2.特例を利用する場合

相続税には、納税者の負担を軽減するための様々な特例制度があります。代表的なものが「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」です。

これらの特例を適用した結果、納税額が0円になったとしても、特例の適用を受けるためには相続税の申告が必須となります。申告をしなければ、特例は適用されず、多額の税金やペナルティが発生する可能性があるため、十分な注意が必要です。

4.相続税の計算方法

遺産総額が基礎控除額を超えた場合、どのように相続税額を計算するのでしょうか。全体の流れをシミュレーションと共に見ていきましょう。

4-1.税率と控除額

まず、相続税の税率を確認しましょう。
税率は、法定相続分に応じた取得金額によって異なります。
相続税の計算は、取得金額に対して「税率」をかけて、計算された税額から「控除額」を差し引きます。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

出典:国税庁.”No.4155 相続税の申告と納税”.2024-04-01. (参照2025-08-12)

4-2.相続税の計算シミュレーション

相続税の計算は、以下の4ステップで行います。

  1. 課税遺産総額を計算する
  2. 相続税の総額を計算する
  3. 各人の実際の納税額を計算する
  4. 税額控除を適用する

ステップ1. 課税遺産総額を計算する

相続税を計算する最初のステップは遺産総額を求めることです。
祭祀財産(お墓や仏壇など)や受取人が指定されている生命保険金などを除いた財産の合計を調査します。

不動産や現金、車や貴金属などのプラスの財産から、借金や未払いの税金などのマイナスの財産を差し引いたものが遺産総額です。
さらに、遺産総額から基礎控除を差し引いた金額が課税遺産総額となります。

(例)遺産総額8,000万円、相続人3人(妻・子2人)の場合

8,000万円 - (3,000万円 + 600万円 × 3人) = 3,200万円

不動産売却塾 コラム“遺産の総額はどうやって調べる?”

相続税計算の第一歩は、亡くなった方(被相続人)の財産をすべて把握することから始まります。この財産調査は、ご自身で行うことも可能です。

個人でできる財産調査

まずは、故人の自宅にある書類を手がかりに調査を進めます。

  • 預貯金:通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物を元に、各金融機関で「残高証明書」を発行してもらいます。
  • 不動産:毎年の固定資産税納税通知書や権利証(登記識別情報)を手がかりに、市区町村役場で「名寄帳」や「固定資産評価証明書」を取得し、不動産を特定します。
  • 有価証券:証券会社からの取引報告書などを元に、残高証明書を請求します。
  • 生命保険:保険証券や保険会社からの通知を探し、契約内容を確認します。
  • 借金など:契約書や督促状、通帳の引き落とし履歴などから、借入金や未払金といったマイナスの財産も調査します。

調査が難しい場合は専門家へ

個人での調査は時間と手間がかかり、財産を見逃してしまうリスクもあります。特に、被相続人が複数の金融機関と取引していた場合や、遠隔地に不動産を所有していた場合などは、調査が困難になることも少なくありません。
そのような場合は、弁護士、司法書士、税理士といった専門家に財産調査を依頼することができます。専門家は職務上の権限で戸籍や住民票などを請求できるため、よりスムーズかつ正確に調査を進めることが可能です。相続税の申告まで見据えるなら、税理士に相談するのが最も確実でしょう。

ステップ2. 相続税の総額を計算する

相続税の負担は、実際に相続する財産の割合に応じますが、まずは法定相続分通りに分割したと仮定して相続税額を求めます。
先ほどの例に続き、相続人3人(妻・子2人)の場合は、妻が1/2を、子が残り1/2を折版します。

(例)課税遺産総額3,200万円、相続人3人(妻・子2人)の場合

  • 妻:3,200万円 × 1/2 = 1,600万円 → 税額190万円
  • 子A:3,200万円 × 1/4 = 800万円 → 税額80万円
  • 子B:3,200万円 × 1/4 = 800万円 → 税額80万円
  • 相続税の総額:190万円 + 80万円 + 80万円 = 350万円

税額は、「4-1.税率と控除額」で解説したように、相続財産の金額により異なります。
子は1,000万円以下であるため税率10%で計算、妻は1,000万円超~3,000万円以下であるため税率15%で、税額が50万円控除となります。

ステップ3. 各人の実際の納税額を計算する

相続税の総額を、実際に財産を取得した割合で按分します。

(例)相続税総額が350万円で、妻が5,000万円、子Aが2,000万円、子Bが1,000万円の財産を相続した場合

  • 妻:350万円 × (5,000万円 / 8,000万円) = 218.75万円
  • 子A:350万円 × (2,000万円 / 8,000万円) = 87.5万円
  • 子B:350万円 × (1,000万円 / 8,000万円) = 43.75万円

ステップ4. 控除制度を適用する

各相続人は控除の制度を利用できます。
最もよく使われるのが「配偶者の税額の軽減」という制度で、俗に言う配偶者控除です。

配偶者控除は、その名の通り、配偶者だけが適用できる控除です。
配偶者の相続財産が1億6,000万円以下、あるいは、配偶者の法定相続分相当額以下であれば無税にできます。

その他にも、以下のような控除制度があります。

配偶者の税額の軽減 配偶者が取得した遺産が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分」のいずれか多い金額までであれば、相続税がかからない制度。 国税庁:No.4158 配偶者の税額の軽減
小規模宅地等の特例 被相続人が居住用や事業用に使っていた土地を相続した場合、一定の要件を満たせば土地の評価額を最大80%減額できる制度。 国税庁:No.4124 小規模宅地等の特例
未成年者控除 相続人が18歳未満の場合、満18歳になるまでの年数1年につき10万円が相続税額から控除される制度。 国税庁:No.4164 未成年者の税額控除
障害者控除 相続人が85歳未満の障害者の場合、満85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)が控除される制度。 国税庁:No.4167 障害者の税額控除

5.相続税の申告と納税

相続税の申告と納税には、期限が定められています。

5-1.申告期限

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にあった方は、その住所地を所轄する税務署に対して行うことになっています。

出典:国税庁.”No.4155 相続税の申告と納税”.2024-04-01. (参照2025-08-12)

申告・納税の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内です。期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課されるため、計画的に準備を進めることが大切です。

5-2.納税方法

相続税は、原則として現金で一括納付します。期限までに現金を用意できない場合は、一定の要件のもとで「延納」や「物納」といった方法を選択することも可能ですが、手続きが複雑なため、早めに税務署や税理士に相談することをおすすめします。

6.相続税対策でよくある質問

  • Q
    生命保険金や死亡退職金も相続税の対象になりますか?
    A
    はい、相続税の課税対象となります。ただし、これらは「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が設けられています。この非課税枠を超えた部分が、他の相続財産と合算されて課税対象となります。
  • Q
    生前贈与された財産はどうなりますか?
    A
    相続開始前7年以内(※)に被相続人から贈与された財産は、相続財産に持ち戻して相続税を計算する必要があります。これを「生前贈与加算」といいます。ただし、既に支払った贈与税額は、算出された相続税額から控除されます。
    ※2024年1月1日以降の贈与から、加算期間が3年から7年に段階的に延長されています。
  • Q
    誰に相談すれば良いですか?
    A
    相続税に関する計算や申告は非常に複雑です。財産の評価や特例の適用など、専門的な知識が必要な場面も多いため、税理士に相談するのが最も確実です。特に、相続税専門の税理士であれば、節税対策も含めて最適なアドバイスが期待できます。

7.まとめ

相続税の基礎控除は、相続税がかかるかどうかの最初の関門です。まずはご自身のケースで法定相続人が何人になるかを確認し、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の計算式に当てはめて基礎控除額を算出してみましょう。

そのうえで、預貯金、不動産、有価証券といった遺産の総額が基礎控除額を超えるかどうかを確かめることが重要です。もし超える場合や、特例の利用を検討している場合は、申告が必要になります。

相続手続きは10カ月という限られた時間の中で行わなければなりません。少しでも不安や疑問があれば、一人で抱え込まず、早めに税理士などの専門家に相談し、円満な相続を実現してください。

一度の申し込みで
最大6 社に依頼 できる

売却したいけど何から
始めたらいいかわからない方は
不動産売却のプロに
相談しましょう!

大成有楽不動産販売
積水ハウス不動産中部株式会社
京王不動産
住友林業ホームサービス
みずほ不動産販売
三井住友トラスト不動産
センチュリー21
三菱UFJ不動産販売
東京建物不動産販売
大手から地元密着企業まで
約2,500社参画