本記事では、「サブリースの契約書」についてできるだけ簡単に理解できるよう、国土交通省が公開している標準書式に沿ってその「内容」や「目的」、「重要チェックポイント」について簡潔に解説し、また必要な時にすぐ使用できる「公式テンプレート」も併せて掲載しています。

この記事のまとめ
  • サブリースの契約書とは、オーナーとサブリース業者との間で交わす契約書で、未然にトラブルを防ぐ機能を持っている
  • サブリース契約書には、内容家賃や契約期間、オーナーと業者の役割分担等にについて書いてある
  • サブリース契約書の重要なチェックポイントは5つある

本記事を読むことで、特定賃貸借標準契約書やサブリース住宅標準契約書について正しく理解できるようになります。

ぜひ最後までご覧いただき、不動産が活かせるような賃貸運営を始めてくださいね。

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1.サブリース契約書とは

サブリース契約書とは、

オーナーとサブリース業者との間で交わす契約書で、未然にトラブルを防ぐ機能を持っています。

サブリース契約の締結時に、オーナーは必要事項が記載された契約書の書面交付を受ける必要があります。

サブリースの仕組みについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

【簡単解説】初心者でもわかる「サブリース契約」|仕組み、危険性、締結の判断基準

1-1.概要・背景

令和2年6月、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立したことによって、サブリース業者による契約書の書面交付が義務付けられました。

以下で紹介する契約書のひな形は、入居者・サブリース業者・オーナーとの間におけるトラブルを未然に防止するために、国土交通省によってひな形が作成されたものです。

1-2.公式テンプレートはこちら

国土交通省では、サブリース契約書の公式テンプレートを公開しています。

<国土交通省が公開しているサブリースの契約書テンプレート>

サブリースの契約書テンプレート使用する場面
特定賃貸借標準契約書物件のオーナーとサブリース業者との間で契約を締結する際に使用
(マスターリース契約)
サブリース住宅標準契約書入居者とサブリース業者との間で契約を締結する際に使用
(サブリース契約)

それぞれのテンプレートの概要について、以下で詳しく解説しています。

1-3. テンプレート(ひな形)は大きく2種類

サブリース契約書のテンプレート(ひな形)は、2種類に分かれます。

<サブリース契約書の種類>

特定賃貸借標準契約書サブリース住宅標準契約書


特定賃貸借標準契約書は「マスターリース契約」で使用されサブリース住宅標準契約は「サブリース契約」で使用されるテンプレートです。
マスターリース契約とサブリース契約はそれぞれ契約の対象者や内容も異なりますが、一般的にはまとめて「サブリース契約」といわれることが多くなっています。

<図:マスターリース契約とサブリース契約の構図>

1-3-1.特定賃貸借標準契約書

「特定賃貸借標準契約書」とは、物件のオーナーとサブリース業者との間でマスターリース契約を締結する際に使用される契約書です。

サブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)第31条により、契約締結時において書面の交付が必要であることが規定されています。

サブリース業者から契約書を提示された際は、ひな形と比較して相違がないか、自分に不利な条件が記載されていないか必ず確認しておきましょう。

サブリース新法については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参考ください。

【簡単解説】サブリース新法とは|変更されたポイントを中心に簡潔に解説

1-3-2.サブリース住宅標準契約書

「サブリース住宅標準契約書」は、入居者とサブリース業者との間でサブリース契約を締結する際に使用される契約書です。

標準契約書については、使用が法令で義務付けられているものではありません。

しかし、契約書を利用することで契約当事者間の信頼関係の確立が期待されるため、国土交通省では広く普及するよう努めています。

サブリース方式以外で使用する住宅の賃貸借契約においては、「賃貸住宅標準管理契約書」がひな型として用意されています。

詳細については以下の記事をご参照ください。

【テンプレ有】賃貸管理委託の契約書について|契約書の重要チェックポイントはここ

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2.どんなことが書かれているのか

マスターリースの契約書である「特定賃貸借標準契約書」には、以下の内容が記載されています。

<特定賃貸借標準契約書に記載されている内容例 一覧>

主な事例については、以下で詳しく解説していきます。

2-1.オーナーとサブリース会社に関する項目

冒頭には、貸主であるオーナーと借主であるサブリース会社の情報を記載する項目が用意されています。

また、サブリース会社では営業所または事務所ごとに「業務管理者」を1名以上配置する必要があるため、業務管理者に関する項目も設けられています。

オーナーやサブリース会社の情報に誤りがないか確認するとともに、業務管理者についても記載があるか必ず確認しておきましょう。

2-2.物件に関する項目

賃貸借の目的物として、物件に関する項目が用意されています。

特筆すべき設備や付属する施設があれば、契約書に記載しておくと安心です。

家賃や契約期間などの諸条件も契約書に記載されるべき内容となっているので、物件に関する情報とあわせて目を通しておきましょう。

2-3.維持保全の実施方法

サブリース会社がおこなう維持保全の実施方法についても、記載する項目が用意されています。

内容例は以下のとおりです。

<維持保全の実施方法についての内容例>

実施箇所内容や頻度サブリース会社が他の会社に委託するかしないか委託する場合には委託先

このほかにも、サブリース業者とオーナー間での費用分担に関する項目が設けられています。

契約後のトラブルを防ぐためにも、契約締結時には契約書の隅々までチェックすることが大切です。

2-4.転貸の条件等

契約書には、サブリース会社が入居者へ物件を貸す「転貸」に関する条件も記載されます。

転貸の条件項目の一例は以下のとおりです。

<転貸の条件項目の一例>

契約態様契約期間家賃共益費敷金転借人民泊(住宅に人を宿泊させるサービス)の可否

上記の項目においては、条件の内容を定めるだけでなく、特定の条件を設けないことも可能です。

たとえば契約態様の条件を定める場合、「普通賃貸借契約または定期賃貸借契約に限定する」といった制限を設けられます。

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3.重要チェックポイント

サブリースの契約書である「特定賃貸借標準契約書」のなかでも、以下の5つは重要なチェックポイントです。

<特定賃貸借標準契約書の重要チェックポイント一覧>

それぞれのチェックポイントについて、以下で詳しく解説します。

3-1.契約期間

<特定賃貸借標準契約書の契約期間に関する部分 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借標準契約書

「契約期間に関する事項」は、契約締結時に交付する書面に必ず記載すべき事項です。

別途、条文を明記することで、契約期間を更新するかどうか協議できるようになります。

3-2.家賃と家賃改定

<特定賃貸借標準契約書の家賃と家賃改定に関する部分 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借標準契約書

サブリース契約では入居状況にかかわらず毎月一定の収入が得られるため、実質的に「家賃保証」が適用された契約形式といえます。

ただし、家賃は常に一定ではなく、築年数が経過するごとに見直しが行われるケースが一般的です。

家賃の改定についてはトラブルが起こりやすいため、自分に不利な条件になっていないか契約書をよく確認する必要があります。

以下の記事では、消費者庁に寄せられたサブリースに関する相談事例をまとめているので、あわせて参考にしてください。

【簡単解説】初心者でもわかる「サブリース契約」|仕組み、危険性、締結の判断基準

3-3.免責期間

<特定賃貸借標準契約書の免責期間に関する部分 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借標準契約書

サブリース契約では、家賃を保証しない免責期間が設けられています。

期間はサブリース会社によって異なりますが、1〜3か月が相場です。

免責期間中は家賃収入が得られないため、相場よりも期間が長く設定されていないか必ず確認するようにしましょう。

3-4.修繕費等の費用分担

<特定賃貸借標準契約書の修繕費等の費用分担に関する部分 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借標準契約書

サブリース業者がおこなう建物の修繕費等の分担に関する事項も、契約書に必ず記載しなければなりません。

大規模修繕工事の費用についてはオーナーが負担義務を負うことになるため注意が必要です。

工事の際に資金面などでトラブルが生じることがないよう、契約締結時には契約書をよく確認するようにしましょう。

3-5.契約の解除

<特定賃貸借標準契約書の契約の解除に関する部分 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借標準契約書

サブリース契約ではサブリース業者が借主とみなされることから、オーナー側から解約する場合、借地借家法(28条)に基づいて正当事由が求められます。

オーナー側から簡単に解約できる契約方式ではないため、契約の解除に関する条件については注意する必要があります。

以下の記事では、「なぜサブリース契約は解約が難しい」といわれているのか、サブリース契約はどうすれば解約できるのかをわかりやすく解説しています。

【簡単解説】サブリースが解約できない理由と解約する方法|解約についての相談先一覧も掲載

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4.安心できるサブリース会社の選び方

安心できるサブリース会社を見つけるためには、複数のサブリース会社を比較検討することが大切です。

契約書の内容や契約条件について質問した際に、真摯に回答してくれるサブリース会社を選ぶとよいでしょう。

以下の記事では、サブリース契約に潜む危険性や注意点、対処法を解説しているのであわせてご確認ください。

サブリース大手5社 一覧 | 比較して検討・選択できる

この記事のまとめ

サブリースの契約書とは

サブリースの契約書には、マスターリース契約に係る契約書と、サブリース契約書に係る契約書の2種類があります。

  • マスターリース契約に係る契約書:「特定賃貸借標準契約書」
  • サブリース契約に係る契約書:「サブリース住宅標準契約書」

詳細は「1.サブリースの契約書とは」にて解説しています。

サブリースの契約書に書かれていること

「特定賃貸借標準契約書」に書かれている事項には、主に以下のようなものがあります。

  • オーナーとサブリース会社に関する事項
  • 物件に関する事項
  • 維持保全の実施方法
  • 転貸の条件等

詳細は「2.どんなことが書かれているのか」にて解説しています。

サブリースの契約書の重要チェックポイント

特定賃貸借標準契約書において、おさえておきたい重要なチェックポイントは以下のとおりです。

  • 契約期間
  • 家賃と家賃改定
  • 免責期間
  • 修繕費等の費用分担
  • 契約の解除

詳細は「3.重要チェックポイント」にて解説しています。