【初心者向け】サブリース契約の「重要事項説明」を分かりやすく解説|サブリース新法でどう変わったか?

令和2年に制定されたサブリース新法によって、サブリース会社はサブリース契約の締結前にオーナーに対して「重要事項説明書面を交付し説明すること」が義務付けられました。
サブリース新法とは、「サブリース事業者」と「オーナー」間の賃貸借契約を適正化するために設けられた法律のことです。
サブリース新法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
この記事は、「重要事項説明」を理解するのに最低限必要な情報に絞って簡潔に解説することで、どこよりも網羅的且つ簡単に理解できる記事になるよう工夫しています。
- サブリース契約での「重要事項説明」とは、サブリース契約におけるリスクや注意すべき点を、サブリース会社がオーナーに書面を交付して説明すること
- 重要事項として説明しなければならないポイントは大きく14ある
- 「重要事項説明」を行う際に「業者がやらなければならない」ことは大きく5つある
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1.サブリース契約での「重要事項説明」とは
重要事項説明とは、
ここでは「サブリースの仕組み」と「重要事項説明の概要」、「重要事項説明が必要となった背景」について解説します。
1-1.サブリースの仕組みと重要事項説明
サブリースの仕組みを、以下の図にまとめてみました。
<図:サブリースの仕組み>

サブリースは、サブリース会社が建物の所有者(オーナー)から賃貸住宅を借りて、入居者に貸し出すという仕組みです。
サブリースの仕組みについては以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
「サブリース契約におけるリスクや注意すべき点を、サブリース会社がオーナーに書面を交付して説明すること」が重要事項説明です。
オーナーがリスクや注意点を十分に理解した上で契約できるように、重要事項説明は契約締結の1週間程度前までに行うことが望ましいとされています。
1-2.重要事項説明が必要となった背景(サブリース新法の目的)
サブリース新法が制定されるまでは、重要事項の説明は義務化されていなかったため、リスクを隠しメリットのみを強調する悪質なサブリース会社がおり、トラブルに発展するケースが多発していました。
上記の背景からサブリース新法が施行され、オーナーが適切に契約を理解する事で将来的な紛争を予防することを目的に、契約締結前に重要事項説明と説明書の交付が義務付けられたのです。
サブリース新法については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
重要事項として、サブリース会社がオーナーに伝えなければならないポイントを次章で解説していきます。
2.「重要事項」として説明しなければならないポイント(記載事項)
サブリース契約の重要事項説明書に記載すべき主な内容は以下のとおりです。
<重要事項として書面に記載、説明しなければならないポイント>
No | 記載する重要事項 | 詳細 |
1 | サブリース会社の商号・名称または代表者の氏名及び住所 | サブリース会社の会社名や代表者名などを記載 |
2 | サブリース契約の対象となるアパート・マンション | 建物本体のほかに、建物設備や附属設備などについても記載 |
3 | 契約期間について | 「契約期間」=「家賃が固定される期間」ではないことも記載 |
4 | オーナーに支払う家賃の金額・支払期日・支払方法等の条件と変更について | 「家賃を減額する場合があること」についても記載 |
5 | サブリース会社が行う賃貸住宅の修繕・管理などの実施方法 | 管理や修理の内容について、回数・頻度などを具体的に記載 |
6 | サブリース会社が行う賃貸住宅の修理や管理などの費用分担について | オーナーとサブリース会社、どちらがどの費用を負担するか記載 |
7 | オーナーに対する修繕・修理の実施状況の報告について | 報告する内容や頻度について記載 |
8 | 損害賠償額の予定または違約金について | 契約解除の申し入れは何日前までに必要なのか、違約金はいくらかかるのか記載 |
9 | 責任または免責について | 責任の有無、範囲についての記載 |
10 | 入居者に対する条件やルールについて | 入居者の条件(反社会的勢力ではないことなど)を記載 |
11 | 入居者に対する修繕・管理の方法の周知について | 内容や周知方法について記載 |
12 | サブリース契約の更新・解除について | 契約の更新、解約、解除について記載 |
13 | サブリース契約終了時のサブリース会社の権利義務の承継について | 契約終了後も入居者に対しサブリース会社は「敷金返済債務」があることなどを記載 |
14 | 借地借家法などサブリース契約についての法令についての概要 | 借地借家法第32条、第28条、第38条などについて記載 |
国土交通省では、サブリース契約における重要事項説明書の記載例を公開しています。
参照:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」
以下の記事では、サブリース契約における重要事項説明書で「特に押さえておきたいポイント」を解説しているので参考にしてください。
3.重要事項説明を行う際に「業者がやらなければならない」事
重要事項説明を行う際、サブリース会社は以下の点に注意する必要があります。
<サブリース会社が重要事項説明においてやらなければならないこと>
ここでは、それぞれの項目について詳しく説明します。
3-1.サブリース業者自らで説明を行うこと
重要事項説明を行う説明者に、法律上の定めはありません。
しかし、オーナーが十分に理解したうえで契約できるよう、賃貸不動産経営管理士などの専門的な知識や経験を有する者が望ましいとされています。
3-2.相手の状況に応じて説明すること
重要事項説明では説明の相手となるオーナーの背景を考慮し、状況に応じて説明する必要があります。
<サブリース会社が考慮すべき相手方の状況>
とくにオーナーが高齢の場合は不動産経営の経験や知識が豊富でも、身体的能力や判断能力が衰えている可能性があるため慎重な説明が必要です。
3-3.貸主にとって「不利」な内容でも明確に説明する
例:家賃や賃貸の条件 維持保全にかかる費用分担 管理状況報告に関する事項 解約の条件 等
サブリース会社はオーナーが不利になる内容でも、重要事項として包み隠さず説明しなければなりません。
オーナーが不利になる内容として、主に以下のような事項が挙げられます。
<貸主(オーナー)が不利となる可能性のある事項>
特に、サブリースはオーナー側からの解約が難しい契約方式であるため、解約の条件についてはしっかりと説明する必要があります。「なぜサブリース契約は解約が難しい」と言われているのかについては以下の記事で解説しているので、あわせてご確認ください。
3-4.やり取りに双方向性があること
オーナーの承諾を得られれば、書面ではなくメールなどの電磁的方法で重要事項説明書を提供することも可能です。
また、オンライン環境が整っていれば、テレビ会議等のオンラインで重要事項説明を実施することも認可されています。
ただし、サブリース会社が一方的に説明するだけでなく、お互いにやりとりができる環境でなければなりません。
3-5.契約締結時に契約書を交付する
重要事項説明時には、必ず「重要事項説明書」を交付しなければなりません。
加えて、サブリース契約の締結時には「特定賃貸借標準契約書」を作成し、オーナーに交付する必要があります。
「重要事項説明書」には契約締結時の「特定賃貸借標準契約書」を補足する役割も担っています。
契約の締結時に必要となる「特定賃貸借標準契約書」については以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
重要事項説明とは、サブリース契約におけるリスクや注意すべき点を、サブリース会社がオーナーに書面を交付して説明することです。
サブリース会社には、契約締結前に重要事項説明書の交付および説明が義務づけられています。ぜひ本記事を参考に、サブリース新法の重要事項説明についての理解を深め、適切なサブリース経営に役立ててくださいね。
この記事のまとめ
サブリース契約における重要事項説明とは
サブリース契約における重要事項説明とは、サブリース契約におけるリスクや注意すべき点を、サブリース会社がオーナーに書面を交付して説明することです。
サブリース会社は、オーナーに対して契約締結前に重要事項説明書面を交付するとともに、重要事項説明の義務があります。詳細は「1.サブリース契約での重要事項説明とは」にて解説しています。
「重要事項」として説明しなければならないポイント
重要事項説明書に記載し、説明しなければならない項目には主に以下のようなものがあります。
- マスターリースの契約対象となる賃貸住宅 について
- 契約期間について
- オーナーに支払う家賃の金額・支払期日・支払方法等の条件と変更について
- サブリース会社が行う賃貸住宅の修理・管理などの実施方法