この記事は、「サブリース契約」をこれから検討される方がまず初めに読むことを想定し、最も簡潔かつ網羅的に「サブリース契約に関して皆がよく調べるポイント」をまとめています。

この記事のまとめ
  • 「サブリース契約」とは
  • サブリースの仕組み
  • サブリース契約を結ぶかどうかの判断基準
  • サブリース契約時の危険性・注意点


この記事を読むことで、サブリース契約に関して、知っておくべき基礎知識を網羅的に知ることができます。

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1.「サブリース契約」とは

ずばり!

「サブリース契約」とは「賃貸経営」や「賃貸管理」に関する契約形態の一種です。

大きく下記2点の契約内容を含んでいます。

  • サブリース会社が建物の所有者(オーナー)から賃貸住宅を借りて、入居者に貸し出す、いわゆる「また貸し」契約
  • オーナーはサブリース会社に賃貸経営に関する業務を一任できる契約

サブリース契約を前提にする賃貸住宅の管理方式を「サブリース方式」と呼びます。

また賃貸住宅の管理方式は、サブリース方式を含めて大きく下記3つの方式に分けることができます。

【賃貸住宅の管理方式 3つ】

  • サブリース方式
  • 委託管理方式
  • 自主管理方式

「サブリース契約」の特徴を掴みやすくするために、契約方式毎の業務内容やメリデメに関して、表形式で比較できるようまとめました。

<【管理方式別】 業務内容やメリット・デメリットの比較表>

管理方式サブリース方式委託管理方式自主管理方式
入居者が賃貸借契約を結ぶ相手は?サブリース会社賃貸住宅のオーナー賃貸住宅のオーナー
管理業務を行う会社(もくしは人)サブリース会社委託会社自分
業務の範囲サブリース会社に、賃貸経営に関する全ての業務を一任できる委託会社に賃貸経営に関する一部の業務を任せられる全て自分で行う
管理会社への手数料家賃収入の10%~20%家賃収入の5%程度不要
家賃(空室)保証原則あり原則なし不要
メリット
  • 集客や管理業務の手間・負担を軽減できる
  • 空室や滞納の影響を受けづらく、常に一定の収入を確保できる管理にかかるコストを節約できる
  • 相続税対策につながる税務処理を簡略化できる
  • 集客や管理業務の手間・負担を一部軽減できる
  • 遠方の物件も管理できるようになる
  • 管理会社から賃貸経営のノウハウを学べる
  • サブリース契約に比べて手数料が安く、その分オーナーの収入が増える
  • 管理費用がかからず、その分オーナーの収入が増える
  • オーナーの意思で自由に賃貸経営できる
  • 入居者と近い距離感で管理できる
デメリット
  • 他の管理方式と比べて管理手数料が高く、オーナーの収入が少なくなる
  • 一定期間ごとに賃料が減額するおそれがある
  • オーナーからの解約は難しい修理費用が割高になりやすい
  • サブリース会社が倒産してしまうと、滞納されていた家賃が支払われない場合がある
  • 自主管理と比べると管理手数料がかかる
  • 管理会社によって対応や業務内容に差がある
  • 集客はオーナーが積極的に行う必要がある
  • 管理状況によっては資産価値が下がるおそれがある
  • オーナーがすべての業務を行わなければならず、時間や手間がかかる

  • 休日や深夜でもクレームや緊急対応に追われることがある

上記の比較表をふまえると、サブリース契約は以下のようなタイプの方に向いているといえます。

<サブリース契約が向いている方>

  • 副業として賃貸経営を行う方
  • 管理を負担に感じる高齢者の方
  • アパート経営に自信がない方

サブリース契約を結ぶか迷った際は、以下の判断基準を意識しましょう。

<サブリース契約を結ぶかどうかの判断基準4つ>

  • 初めての賃貸経営である物件
  • 施工会社がサブリースを取り扱っている物件
  • 管理に手間がかけられない
  • 賃貸物件と居住地が離れている

一方、サブリース契約には以下のような危険性や注意点があります。

メリットだけでなく、下記の危険性や注意点を踏まえて検討するようにしましょう。

<サブリース契約時の危険性・注意点>

  • 家賃保証の見直し期間を確認する
  • 免責期間を確認する
  • 修繕費用負担の確認をする
  • 契約解除の規約を確認する

サブリース会社について詳しく知りたい方は、大手5社をまとめた以下の記事もあわせてご覧ください。

サブリース大手5社 一覧 | 比較して検討・選択できる


2.サブリースのよくある疑問 4つ

サブリースに関して「よくある疑問」4つを解説します。

<サブリースのよくある疑問 4つ>

  • サブリースは契約解除できない?
  • サブリースでは本当に家賃保証が受けられる?
  • サブリースはトラブルが多い?
  • サブリース新法とは?


ここでは、それぞれの疑問について簡単に解説します。

2-1.サブリースは契約解除できない?

サブリース契約は途中で解除できる場合もありますが、基本的にオーナー側から解約することはかなり難しいです。

理由としてサブリース会社は借主に該当し、借地借家法で権利が守られていることが挙げられます。

サブリースの契約解除について、詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

【簡単解説】サブリースが解約できない理由と解約する方法|解約についての相談先一覧も掲載

2-2.サブリースでは本当に家賃保証が受けられる?

サブリース契約には、空室が出ても満室時の家賃が保証される「家賃保証」が付帯していることが多く、空室の有無に関わらず一定の家賃収入を受け取れる契約のものもあります。

ただし、どのくらいの入居状況であっても、サブリース会社に対して満室家賃の10%〜20%程度の手数料を支払うことになるので、自主管理に比べて「損になる」ケースもあります。

サブリースは賃貸経営の利益が保証されているわけではなく、空室リスクをある程度抑えられるサービスであるということを抑えておくとよいでしょう。

2-3.サブリースはトラブルが多い?

サブリース契約は途中解約が難しいこともあり、過去にはオーナーとサブリース会社の間で訴訟に発展するケースもありました。

消費者庁に多く寄せられているサブリースに関する相談事例としては、以下が挙げられます。

<サブリース契約のトラブル相談事例>

  • 勧誘に関する相談
  • 費用負担等の契約内容に関する相談
  • 家賃の減額に関する相談
  • 融資の返済に関する相談
  • サブリース会社の対応に関する相談

ただし、国が契約書の体裁を作成したことやサブリース会社で見直しが行われたことなどにより、現在はトラブルを防止する仕組みが整えられ始めています。

消費者庁や金融庁などからトラブルの注意喚起がされているため、契約する前に消費者庁が公開している消費者ホットラインに寄せられた相談事例をよく確認しておきましょう。

2-4.サブリース新法とは?

サブリース新法とは、令和2年6月公布の「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」です。

物件のオーナーとサブリース会社とのトラブルを未然に防ぐために作られたもので、契約の適正化のため必要な規制が設けられています。

サブリース新法について、詳しくは以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

【簡単解説】サブリース新法とは|変更されたポイントを中心に簡潔に解説

3.サブリースの仕組み

ここからは、サブリースの仕組みについて簡単に解説します。

「家賃保証」というサブリース特有の仕組みも取り上げているので、あわせてご確認ください。

3-1.サブリースの仕組み

サブリースの仕組みはサブリース会社が建物の所有者(オーナー)から賃貸住宅を借りて、入居者に貸し出すという形態になっています。

以下の図で見てみると分かるように、賃貸物件まるごと(もしくは1部屋)をサブリース業者が借りて、入居者へ「また貸し」しているような状態です。

<図:サブリースの仕組み>

このスキームを一般的に「サブリース」と呼びますが、契約に関して細かく説明すると、

オーナーとサブリース業者が

  • 建物賃貸借契約(いわゆる「マスターリース契約」 建物の転貸しを認める契約)
  • 賃貸管理業務委任契約(建物の、管理を任せるという契約)

の2種の契約を結び、

サブリース業者と入居者が、

  • 転貸借契約(いわゆる「サブリース契約」 又貸しする形)

を結ぶという構図です。

入居者から見ると、サブリース業者が「貸主」になります。

3-2.「家賃保証」(サブリース賃料)と「空室保証」の違いとは?

「家賃保証」(サブリース賃料)とよく混同されがちなものとして「空室保証」があります。
この2つはそもそも契約相手が異なるものですが、内容として大まかに以下のような違いがあります。

<「家賃保証」(サブリース賃料)と「空室保証」の違い>

家賃保証(サブリース賃料)空室保証
契約相手サブリース会社保証会社
保証料の負担なしあり
手数料の支払いありなし
内容入居状態に関わらず、一定の収入が受け取れる
※ただし満額の賃料ではない
入居状態が満室よりも一定数以下になった際に、損失を補填してもらえる
おすすめの人
  • 管理業務も委託したい人
  • 管理業務は自分、もしくは委託会社に頼みたい人
  • 空室が出る場合に備えた保険が欲しい人

つまり

  • 家賃保証(サブリース賃料)…満額の賃料ではないが一定の収入が確保でき、管理業務を一任できる
  • ・空室保証…長期に渡って空室が発生した場合、損失が補填してもらえる保険のような役割

という違いがあります。

サブリース契約は、「賃貸物件をオーナーから一括で借り上げている状態」のため、入居状況に関わらず「家賃保証」が実質的に適用されています。

ただし、入居状況によっては物件の募集開始を行ってから一定期間は「家賃を保証しない免責期間」が設けられていたり、定期的に「家賃保証の見直し」が行われたりするため、完全に保証されるわけでない点に注意が必要です。

4.サブリース契約を結ぶかどうかの判断基準 4つ

サブリース契約を結ぶかどうか判断するための基準は、以下の4つです。

<サブリース契約を結ぶかどうかの判断基準 4つ>

  • 初めての賃貸経営である
  • 物件施工会社がサブリースを取り扱っている
  • 物件管理に手間がかけられない
  • 賃貸物件と居住地が離れている

それぞれについて、簡単に解説します。

4-1.初めての賃貸経営である

賃貸経営が初めての方は、賃貸の管理方法について理解したうえで、集客や管理業務の負担を軽減できるサブリース契約を選ぶのも選択肢のひとつです。

ただし、管理会社に言われるままサブリースを選ぶのではなく、契約内容をよく理解してから契約締結に進むことが大切です。

賃貸管理について、業務内容や相場・費用、選び方などをまとめた以下の記事をご覧ください。

【簡単解説】「賃貸管理」の基礎知識|管理会社に任せるべきかを検討する

4-2.物件施工会社がサブリースを取り扱っている

基本的に修繕工事に必要な費用はすべてオーナーが負担しなければなりません。

この際、物件の施工会社とサブリース契約を結んだいた場合、施工と一貫化されることでコストカットを図れることがあります。

ただ、サブリース契約では修繕工事の指定業者を変更できないというケースが多く、「修繕費が高い」といった理由で業者を変えたり等できなくなるので、事前に修繕業者についてよく吟味したほうが良いでしょう。

4-3.物件管理に手間がかけられない

サブリース契約では、賃貸経営に必要な業務のほとんどをサブリース会社が請け負ってくれるため、賃貸物件の管理に手間をかけられない方はサブリース契約を検討してもよいでしょう。

サブリースによって一任できる管理業務の例として、以下のようなものがあります。

<委託できる主な管理業務例>

  • 入居者の募集
  • 入居者のクレーム対応
  • 契約の手続き
  • 物件の維持管理
  • 家賃の集金
  • 未納者への対応
  • など

上記の対応を自分で行うと、かなり手間がかかります。
ただし、サブリース契約にもデメリットもあるため、よく検討してから契約を決めましょう。
サブリースのデメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

サブリースの5大デメリットと対処法

4-4.賃貸物件と居住地が離れている

サブリース契約は、居住地と賃貸物件が離れている人に向いている契約方式です。

例えば、自主管理や一部の業務を委託管理する場合には、入居者のトラブルやクレームに対して基本的に自ら対応する必要があります。

しかし、管理する物件と居住地が離れている場合、問題に対応できなかったり、緊急性が高いものは対応が遅れる事で事態が悪化してしまう可能性もあります。

一方サブリース契約では賃貸管理のほとんどの業務を請け負ってくれるため、オーナーや入居者にとっても安心です。

5.サブリース契約時の危険性・注意点

サブリースを契約する際に、注意しておくべき点は以下の4つです。

<サブリース契約時の危険性・注意点>

  • 家賃保証の見直し期間を確認する
  • 免責期間を確認する
  • 修繕費用負担の確認をする
  • 契約解除の規約を確認する

サブリース契約は、賃貸管理方法のなかでもトラブルの多い契約方式なのでそれぞれ確認しましょう。

5-1.家賃保証の見直し期間を確認する

サブリース契約では、契約の内容によって家賃保証の見直し期間が定められている場合があります。

一般的には、おおむね2年ごとに家賃保証の見直しが行われ、毎回保証される賃料が減額していく内容のものが多いです。

安定した収入を確保するためにも、「家賃保証の見直しの期間が何年に設定されているか」を契約書で確認する事が重要です。

【テンプレ有】賃貸管理委託の契約書について|契約書の重要チェックポイントはここ

5-2.免責期間を確認する

サブリース契約では、一般的に家賃を保証しなくてもよい期間である「免責期間」というものが設定されています。

退去者が出た場合に、次の入居者が決まってから決められている期間は家賃が入らないという仕組みで、免責期間内すぐに入居者が決まった場合も、サブリース会社の収益となります。

免責期間はサブリース会社によって差がありますが、1〜3か月が一般的です

さらに、再免責期間という退去者が出るたびに「免責期間」が発生することもあるので、契約時には必ず確認しましょう。

5-3.修繕費用負担の確認をする

サブリース契約では、修繕費用はオーナーが負担するケースが一般的です。

リフォーム業者の選定や修繕の範囲などを決定するのはサブリース会社のため、相場より高い修繕費用を請求される可能性もあります。

建物修繕を行う際の費用分担はどうなっているのか、契約時に必ず確認しましょう。

5-4.契約解除の規約を確認する

サブリース契約は、オーナー側からの途中解約が認められにくい契約方式です。

正当事由と認められた理由以外での解約時には違約金が発生する場合もあり、費用相場は家賃5~6か月分と高くなっています。

そのため契約する際には、途中解約をした場合

  • どのような負担が発生するのか
  • どのような手順で解約ができるのか(その間に困りごとはないか)

を必ず確認しておきましょう。

サブリース契約の中途解約に関する詳しい内容については、以下の記事をご覧ください。

サブリースの解約が可能になる「正当事由」事例集|判例から事由を例示。認められなかった事例も掲載

まとめ

サブリース契約は、管理会社にすべての管理を任せられるだけでなく、入居状況にかかわらず一定の収入を受け取れるといったメリットがある管理方法です。

一方で、サブリース契約はトラブルにつながりやすいため、契約内容を理解したうえで選択するのが大切です。

本記事を参考にサブリース契約の理解を深め、賃貸の管理方法選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

この記事のまとめ

「サブリース契約」とは

ずばり!「サブリース契約」とは「賃貸経営」や「賃貸管理」に関する契約形態の一種です。
下記2点の契約を含んでいます。

・サブリース会社が建物の所有者(オーナー)から賃貸住宅を借りて、入居者に貸し出す、いわゆる「また貸し」契約
・オーナーはサブリース会社に賃貸経営に関する業務を一任できる契約

サブリース契約が向いている人の特徴は以下のとおりです。

・副業として賃貸経営を行う方
・管理を負担に感じる高齢者の方
・アパート経営に自信がない方

詳細は「1.「サブリース契約」とは」にて解説しています。

サブリース契約を結ぶかどうかの判断基準

サブリース契約を締結するか迷った時の判断基準は以下のとおりです。

・初めての賃貸経営である
・物件施工会社がサブリースを取り扱っている
・物件管理に手間がかけられない
・賃貸物件と居住地が離れている

詳細は「4.サブリース契約を結ぶかどうかの判断基準4つ」にて解説しています。

サブリース契約時の危険性・注意点

サブリース契約時には、以下の点に注意点は以下のとおりです。

・家賃保証の見直し期間を確認する
・免責期間を確認する
・修繕費用負担の確認をする
・契約解除の規約を確認する

詳細は「5.サブリース契約時の危険性・注意点」にて解説しています。