【簡単解説】サブリースが解約できない理由と解約する方法|解約についての相談先一覧も掲載

この記事では、「サブリース契約の解約」を検討している方向けに、「なぜサブリース契約は解約が難しい」と言われているのか、「サブリース契約はどうすれば解約できる」のかを解説し、加えて「解約する際の流れ」「サブリース解約の相談先」等について簡潔に、わかりやすく解説しています。
サブリース契約とは、サブリース会社がオーナーからアパートなどの賃貸物件をまるごと借り上げ、他の入居者に転貸する仕組みです。
- オーナーからサブリース契約を簡単に解約できない理由
- サブリース契約を解約できた・できなかった具体例
- サブリース契約を解約する方法
- 「サブリース解約」の相談先一覧
本記事を読むことで、サブリースを簡単に解約できないといわれる理由や、サブリース契約の具体的な解約方法を理解することができます。
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この記事の内容
1.「サブリースは解約できない」のか?
ずばり、
ここでは、サブリース契約が解約できないといわれる理由や、法律について解説します。
1-1.解約できない理由
サブリース契約が簡単に解約できない理由は、
正当事由とは、貸主(オーナー)が賃貸借契約の解約を借主(サブリース会社)に申し入れるために必要な条件のことです。
また、正当事由があって解約する際も、サブリース会社に対して違約金や補償が必要なケースもあります。
1-2.「サブリース新法」とは?
サブリース新法とは、
「賃貸住宅の管理業務などの適正化に関する法律」が、通称「サブリース新法」と呼ばれています。
物件のオーナーとサブリース会社のトラブルが増えたことから規定され、サブリース契約においてオーナーを守る法律といえます。
サブリース新法の具体的な内容は以下のとおりです。
- 第28条:誇大広告等の禁止
- 第29条:不当な勧誘行為の禁止
- 第30条・31条:特定賃貸借契約締結前の重要事項説明
参考:e-GOV法令検索「賃貸住宅の管理業務などの適正化に関する法律」(第28~31条)
しかし、「サブリースを解約できない」ということに対して、直接効果がある法律ではありません。
1-3.解約する方法は「正当事由」を認めてもらう事
サブリース契約は簡単に解約できないものの、正当事由があれば認められる場合があります。
ただし、正当事由として認められるかは判断が難しく、裁判まで発展するケースも多いです。
また、認められたとしても、多くのケースで「違約金」を払わなければなりません。
正当事由として認められた具体例については、次章で詳しく解説します。
2.「正当事由」が認められた具体例
サブリース契約の解約において、正当事由が認められた具体例は以下のようなものがあります。
〈正当事由と認められた具体例 一覧〉
- オーナーの生計維持のために建物の売却が必要になった
- サブリース契約締結時の説明が不十分だった
以降、それぞれの具体例について解説します。
なお、サブリースの解約にまつわる正当事由については、下記記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
例1.「オーナーの生計維持のために建物の売却が必要になった 」
「老朽化したオーナーの自宅を改修する」「オーナーのローン返済が困難になった」などで、まとまった資金が必要になった場合に、正当事由として認められることがあります。
この例では、老朽化したオーナーの自宅を改修するために、オーナーからサブリース会社へ立ち退き料を支払う事を条件に、解約を認める判決が下されました。
参考:不動産適正取引推進機構|サブリース会社に対する建物のオーナーの賃貸借契約解除及び建物明渡し請求が認容された事例
例2.「サブリース契約締結時の説明が不十分だった」
サブリース契約の締結時にサブリース会社からの説明が不十分だったり、虚偽の説明だったりした場合、正当事由として認められる場合が多いです。
この例では、説明義務を怠ったとしてサブリース会社がオーナーに対して損害金を支払う判決が下されました。
参考:不動産適正取引推進機構|賃貸マンションの建て主が、建物の建築等を勧誘した会社に対して行った損害賠償請求が一部認められた事例
3.「正当事由」が認められず、解約できなかったケース
サブリース契約において、「正当事由」と認められず解約できなかったケースは以下のようなものがあります。
〈正当事由として認められないケース 一覧〉
- サブリース契約期間が満了になった
- 契約書に解約申し入れの内容が記載されていた
- 物件の利回りを上げたい
以降、それぞれのケースで正当事由として認められなかった理由について解説します。
詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
ケース1.サブリース契約期間が満了になった
原則として、サブリース契約を含む賃貸借契約では、オーナーから一方的に契約更新を拒絶することができないため、サブリース会社が更新したいと申し出れば、解約は認められません。
したがって、「サブリースの契約期間が満了になった」からといっても正当事由としては認められず、サブリースを解約することはできません。
参考:不動産適正取引推進機構|サブリース業者を借主とする建物の賃貸借契約の更新拒絶につき正当事由が否定された事例
ケース2.契約書に解約申し入れの内容が記載されていた
契約書に「解約申し入れによって解約できる」といった旨が記載されていたとしても、それは正当事由にはなりません。
サブリース契約を含む賃貸借契約では、借地借家法が重視されており、借主の権利が保護されています。
そのため、ケース1と同様にサブリース会社が更新したいと申し出れば、解約は認められません。
参考:不動産適正取引推進機構|サブリース契約には借地借家法第28条の適用がないとして求めた賃貸人の建物明渡し請求が棄却された事例
正当事由として認められないケース3.
物件の利回りを上げたい
貸主であるオーナー側の事情を優先することはできません。
物件の利回りを上げたいがために現在のサブリース会社との契約を解消して、他の管理方法に変更したいと思っても、それは正当事由になりません。
借地借家法は、サブリース会社も含めた借主を保護するための法律であるため、借主側にメリットがなければ正当事由として認められないのです。
4.サブリース契約を解約する手順
サブリース契約を解約する手順は大きく3ステップです。
〈サブリース契約を解約する手順 3ステップ〉
- 「正当事由」を用意する
- 解約後の管理会社を探す
- 継続入居者と賃貸借契約をする
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
4-1.「正当事由」を用意する
サブリース契約を解約するための「やむを得ない理由(正当事由)」を用意できれば、オーナー側からの解約が認められやすくなります。
正当事由の一例は以下のとおりです。
〈正当事由の例 一覧〉
- 生計維持のために売却が必要になった
- オーナーや親族が居住することになった
- 老朽化などで取り壊しや建て替えが必要になった
- 再開発事業などでやむを得ず売却が必要になった
ただし、正当事由が認められたとしても、サブリース会社に対して違約金の支払いを請求されることがあります。
4-2.解約後の管理会社を探す
サブリース解約後の賃貸経営を見据えて、管理会社も探しておきましょう。
サブリース契約の解約手続きについても、新たな管理会社と連携して乗り切りやすくなります。
また、新たな管理会社を選ぶ際には、サブリースではなく管理委託に切り替えるのもおすすめです。
ただし、管理委託の場合はサブリースと異なり家賃保証がなくなるため、入居者が集まらなければ収入も減少します。
それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、中長期的な視点で管理方法を検討してください。
4-3.継続入居者と賃貸借契約をする
サブリース会社との契約が終わると、既存の入居者との賃貸借契約も終了するため、継続入居者の合意を得たうえで、新たに賃貸借契約を締結する必要があります。
契約の切り替えがスムーズに進まないと入居者との信頼関係に影響するので、知識がなく不安な方は管理会社に手続きを一任するのがおすすめです。
5.「サブリース解約」の相談先一覧
サブリースの解約を検討する際は、自分で判断するのではなく専門家に相談することをおすすめします。
サブリース解約についての主な相談先は以下のとおりです。
〈サブリース解約の相談先 一覧〉
- サブリース経営相談センター
- 法テラス
- 公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会
- 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会
- 国土交通省(広告、勧誘及び重要事項説明に関する違反行為)
- 独立行政法人国民生活センター(消費者ホットライン)
- HOME4U
上表のようにさまざまな相談先があるので、サブリースの解約について悩んでいるときは連絡してみましょう。
賃貸経営HOME4Uを使うと、サブリース解約後の手順を複数の管理会社に一括で相談を依頼できます。
信頼できる管理会社を見つけたい方は、ぜひお問い合わせください。
6.「サブリース契約締結時」の注意点
以下の事に気を付ければ、サブリース解約時のトラブルを防ぐことができ、そもそも解約しなくて済むようになるかもしれません。
〈サブリース契約締結時の注意点〉
- サブリース契約によるリスクを理解する
- 事業計画を密に立てる
- 契約書に解約条項を入れる
- サブリース以外の管理方法も検討する
- 中長期的な視点で収支をシミュレーションする
サブリース契約の注意点については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
まとめ
サブリース契約の解約は難しいですが、できないわけではありません。
契約後のトラブルや後悔を防ぐためにも、サブリース契約を締結する際は慎重に判断することが大切です。
サブリース契約の解約を考えている方は正当事由を用意し、自分で判断せず専門家に相談しましょう。
この記事のまとめ
オーナー側からサブリース契約は解約できる?
簡単に解約できない理由としては、借主の権利が借地借家法で守られているためです。しかし、正当事由があれば解約が認められることがあります。
詳細は「1.「サブリースは解約できない」のか?」にて解説しています。
正当事由が認められた具体例は?
・オーナーの生計維持のために建物の売却が必要になった
・サブリース契約締結時の説明が不十分だった
・老朽化などで建物の取り壊しや建て替えが必要になった
・再開発事業などでやむを得ず売却が必要になった
詳細は「2.「正当事由」が認められた具体例」にて解説しています。
正当事由が認められなかったケースは?
・サブリース契約期間が満了になった
・契約書に解約申し入れの内容が記載されている
・物件の利回りを上げたい
詳細は「3.「正当事由」が認められず、解約できなかったケース」にて解説しています。