【簡単解説】サブリースの会計処理について

サブリースの会計処理は、会計基準に基づいて行われます。
この記事では、「サブリースの会計処理」について簡単に概要を理解したい方向けに、会計処理について要点を絞りつつ、できる限り簡潔且つ網羅的に解説しています。
- サブリースの会計処理方法
- サブリースの会計基準について
- IFRS16号の日本基準対応がもたらすオーナー側に必要となる対応
- 会計処理も相談できるサブリース会社の選び方
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1.サブリースの会計処理方法
サブリースの会計処理にとって重要な会計基準の概要や、サブリース会社とオーナーでは会計処理が異なる点について見ていきましょう。
サブリース契約の具体的な仕組みについて知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
1-1.会計基準に基づいて処理が行われる
サブリースの会計処理では経営や投融資の利害関係者に財務状況を報告するため、会計基準に基づいて財務諸表を作成します。
現在、日本で認められている会計基準は次の4つです。
〈日本で認められている会計基準〉
- 日本会計基準
- 米国会計基準
- IFRS(国際会計基準)
- J-IFRS
「日本会計基準」とは、1949年に大蔵省により定められた「企業会計原則」を軸にして日本独自で作られた会計基準です。
企業会計原則には帳票ごとに個別の原則も設けられているため、損益計算書や貸借対照表などを作成する際は、これらの原則に基づいて作成されます。
日本会計基準は多くの日本企業で取り入れられているものの、海外では認められていないケースも多いです。
海外から資金調達を行う場合や国外の企業と取引する場合、相手方に提供する財務諸表には米国会計基準やIFRS(国際会計基準)などの会計基準が用いられます。
1-2.サブリース会社とオーナーは会計処理が異なる
サブリースでは、原則として以下の契約における会計処理が発生します。
〈サブリースにおける契約内容〉
- 物件オーナーとサブリース会社の賃貸契約書
- サブリース会社と入居者の賃貸借契約
サブリース会社とオーナーではそれぞれ会計処理の方法が異なります。
物件オーナーはサブリース会社との契約における貸主として会計処理を行います。
一方で、サブリース会社は物件オーナーとの契約では借主となり、入居者との契約では貸主として会計処理が必要です。
2.サブリースの会計基準について
ここでは、サブリースの会計基準について詳細に解説します。
日本会計基準がIFRS16号に対応する可能性についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
2-1.サブリースの会計基準はサブリース会社に適用
サブリース会社は物件オーナーとの関係では借主、入居者との関係では貸主として契約を行うことから、サブリース独自の会計基準を適用する必要があります。
物件オーナー・サブリース会社間の取引と、サブリース会社・入居者間の取引はそれぞれ独立したものとして考えられるため、物件オーナーに対してはサブリースの会計基準は適用されません。
また、具体的な会計処理の内容はサブリースが次のどちらに該当するかによって異なります。
〈サブリースにおける取引の種類〉
- ファイナンスリース取引:単なる賃貸契約ではなく、借主に経済的な所有が移転するとみなされる取引
- オペレーティングリース取引:サブリース契約が単なる物件の賃貸契約となる取引
それぞれのケースにおける会計処理については、以下で詳しく解説します。
2-1-1.ファイナンスリース取引の場合
ファイナンスリース取引における具体的な処理方法の流れは、以下のとおりです。
〈ファイナンスリース取引の場合の会計処理の流れ〉
- サブリースで貸した資産の使用権がなくなったことを記録する
- サブリースの貸主は、将来受け取るリース料と資産の残りの価値を現在の価値に換算し、その合計額をリースの投資や債権として会計に記録
- する計上したリースの資産や債権と、なくなった使用権の価値の差額を利益や損失として会計に反映する
ファイナンスリース取引の場合、会計処理はサブリースのリース開始日に行います。
2-1-2.オペレーティングリース取引の場合
オペレーティングリース取引の場合、サブリース会社は入居者との契約における貸主として、リース料についての会計処理を行うことになります。
この際、ファイナンスリース取引とは異なり「使用権」を中心に考える必要はありません。
2-2.日本基準がIFRS16号に対応する可能性
日本の会計基準がIFRS16号に対応する可能性は高いといえます。
IFRSとは国際的な会計基準のことであり、2019年に新基準のIFRS16号が運用開始されています。
以前にも、IFRSが基準を変更した際に日本の会計基準が後から対応したことがあったため、今回もIFRS16号に日本の会計基準が対応する可能性はあると考えられるでしょう。
3.IFRS16号の日本基準対応がもたらすオーナー側に必要となる対応
IFRS16号に日本会計基準が対応した場合、オーナー側に求められる対応は以下の3つです。
〈IFRS16号の日本基準対応がもたらすオーナー側に必要となる対応〉
- リース物件としての基準を満たすか確認する
- リース要素と違うものを仕分けする
- ファイナンスリースは会計処理が異なる
ここでは、それぞれの対応について詳しく解説します。
3-1.リース物件としての基準を満たすか確認
貸し出している不動産がリース物件としての基準を満たしているかを確認します。
〈リース物件としての基準を満たしているか見極めるポイント〉
- 借主が不動産から得られる経済的利益の大半を享受している
- 借主が不動産の使用に関する重要な決定を行える権限を持っている
ファイナンスリースであると判断される場合には、物件の購入価格相当をリース投資資産(リース債権)として記録します。
3-2.リース要素と違うものを仕分けする
リース料には、リース要素(土地・建物使用権など)とリース要素でないもの(維持管理費・水道光熱費など)の両方が含まれています。
IFRS16号の会計処理では、リース要素とそうでないものとの仕分けが必要です。
<IFRS16号の会計処理>
借方/貸方 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
リース要素(例:土地・建物使用権) | 売上原価 | リース債権 |
リース要素でないもの(例:維持管理費) | 維持管理費 | 現金 |
3-3.ファイナンスリースは会計処理が異なる
ファイナンスリース取引に該当する場合、貸し出している不動産を資産として計上せず、リース債権として計上しなければなりません。
<ファイナンスリースの場合の会計処理>
計算書 | 会計処理の方法 |
---|---|
財政状態計算書 | 不動産を会計帳簿から外す未回収のリース投資額と同じ金額をファイナンスリースの債権として資産に記録する |
包括利益計算書 | リース期間中、未回収のリース投資額に対して発生する利息を収益として計上する保証されていない残りの価値が下がった場合、その分を減らすファイナンスリースの債権に対して損失のリスクがある場合、そのための引当金を計上する |
通常の会計処理とは異なるため、間違いがないよう注意してください。
4.会計処理も相談できるサブリース会社の選び方
サブリースでは複雑な会計処理が求められるため、サブリース会社を選ぶ際は会計についても相談できる会社を選ぶことが大切です。
より信頼できるサブリース会社を選ぶためには、以下の2つのポイントを意識するとよいでしょう。
〈信頼できるサブリース会社を選ぶ際のポイント〉
- サブリース会社の財務状況を把握する
- 3社以上に見積もりを依頼する
サブリースは毎月安定した収入を得られる点がメリットですが、サブリース会社の財務状況が悪化し、契約不履行になったり倒産したりすると大きなダメージを受けてしまいます。
とくに、上場企業の財務状況は決算情報で簡単に確認できるので、金銭面でのトラブルに発展する前にサブリース会社の財務状況を把握しておくとよいでしょう。
3社以上に見積もりを依頼すれば、ほかの2社と比較できるため信頼できるサブリース会社を選びやすくなります。
「賃貸経営 HOME4U」では、信頼できる複数のサブリース会社に一括して資料請求をすることが可能です。
資料請求は無料でご利用いただけるため、サブリース会社をお探しの方は、お気軽に「賃貸経営 HOME4U」を利用してみてください。
まとめ
サブリースの会計処理は会計基準に基づいて行います。しかし、会計基準を用いるのはサブリース会社だけであり、物件オーナーは貸主として標準的な会計処理を行えば問題ありません。
ただし標準的な会計処理でも未経験の方にとっては大きなハードルとなるため、会計についても相談できるサブリース会社を選ぶことがおすすめです。
3社以上に見積もりを依頼する際は、複数のサブリース会社に一括して資料請求できる「賃貸経営 HOME4U」の利用をぜひ検討してみてください。
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この記事のまとめ
サブリースの会計処理方法
サブリースの会計処理は会計基準に基づいて行われます。会計基準にはさまざまな種類があり、日本では以下の会計基準が用いられることが多くあります。
- 日本会計基準
- 米国会計基準
- IFRS(国際会計基準)
詳細は「1.サブリースの会計処理方法」にて解説しています。
サブリースの会計基準
サブリースの会計基準はサブリース会社に適用されます。サブリースが以下のどちらに該当するかで処理方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。
- ファイナンスリース取引
- オペレーティングリース取引
詳細は「2.サブリースの会計基準について」にて解説しています。
IFRS16号の日本基準対応がもたらすオーナー側に必要となる対応
IFRS16号の日本基準対応がもたらすオーナー側に必要となる対応として、以下の3つが挙げられます。
- リース物件としての基準を満たすか確
- リース要素と違うものを仕分けする
- ファイナンスリースは会計処理が異なる
詳細は「3.IFRS16号の日本基準対応がもたらすオーナー側に必要となる対応」にて解説しています。
会計処理も相談できるサブリース会社の選び方
会計処理も相談できるサブリース会社を選ぶには、以下のポイントを意識しましょう。
- サブリース会社の財務状況を把握する
- 3社以上に見積もりを依頼する
詳細は「4.会計処理も相談できるサブリース会社の選び方」にて解説しています。