令和2年に制定されたサブリース新法によって、サブリース会社はサブリース契約の締結前にオーナーに対して「重要事項説明書」を交付することが義務付けられました。

サブリース新法とは、「サブリース事業者」と「オーナー」間の賃貸借契約を適正化するために設けられた法律のことです。

サブリース新法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

【簡単解説】サブリース新法とは|変更されたポイントを中心に簡潔に解説

この記事は、「重要事項説明書」を理解するのに最低限必要な情報に絞って簡潔に解説することで、どこよりも網羅的且つ簡単に理解できる記事になるよう工夫しています。

この記事のまとめ
  • 「重要事項説明書」とは、不動産に関する取引を行ううえで、取引条件などの重要な内容が書かれた書面
  • 「重要事項説明書」を理解するには、最低限4つのことを押さえておく
  • 「重要事項説明書」を確認する際には、特に「しっかり読んで、確認しておきたい」ポイントが4つある

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1.重要事項説明書とは?

重要事項説明書とは、

不動産に関する取引を行ううえで、取引条件などの重要な内容が書かれた書面です。

賃貸契約を締結するときや、不動産売買の際に必ず必要となります。

サブリース契約においても、令和2年度より「重要事項説明書」が必須になりました。

ここでは、そもそもの「サブリースの仕組み」や、サブリース契約において「重要事項説明書が必要となった背景」について解説します。

1-1.サブリースの仕組みと重要事項説明書

サブリースの仕組みを、以下の図にまとめてみました。

<図:サブリースの仕組み>

サブリースは、サブリース会社が建物の所有者(オーナー)から賃貸住宅を借りて、入居者に貸し出すという仕組みです。

サブリースの仕組みについては以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

【簡単解説】初心者でもわかる「サブリース契約」|仕組み、危険性、締結の判断基準

サブリース契約を締結する際には、サブリース会社側からオーナーに対して「重要事項説明書を交付し、重要事項説明をすること」が義務付けられています

「重要事項説明の内容」や「重要事項説明を行う際にサブリース会社がやらなければならない事」などは以下の記事で詳しく解説しています。

【簡単解説】サブリース新法とは|変更されたポイントを中心に簡潔に解説

1-2.重要事項説明書が必要となった背景

サブリース新法が制定されるまでは「重要事項説明書」の交付は義務化されていなかったため、デメリットを隠しメリットのみを強調する悪質なサブリース会社がおり、トラブルに発展するケースが多発していました。

上記の背景からサブリース新法が施行され、オーナーが適切に契約を理解する事で将来的な紛争を予防することを目的に、契約締結前に重要事項説明と説明書の交付が義務付けられたのです。

以下の記事では、サブリースのデメリットを解説しているので、ぜひ参考にしてください。

サブリースの5大デメリットと対処法

2.「重要事項説明書」で最低限押さえておきたい4つの基礎知識

サブリース契約の重要事項説明書について、最低限押さえておきたい4項目の基礎知識は以下です。

<重要事項説明書で押さえておきたい4つのポイント>

なぜ必要?誰が作成する?用意するタイミングは?保管は必要?

各ポイントについて、以下で詳しく解説します。

2-1.なぜ必要?

いわゆる「サブリース新法」で義務付けられているからです。

重要事項説明書の交付が必須でなかった時代は、オーナーが契約内容を正しく理解できないままサブリース契約を締結してしまい、トラブルに発展することが多々ありました。

重要事項について「聞いていない」「知らなかった」といったトラブルを防ぎ、「貸主」であるオーナーを保護する目的で、サブリース契約においても重要事項説明書が必ず必要となります。

2-2.誰が作成する?

サブリース契約における重要事項説明書は、サブリース業者側が作成します

法律上、重要事項説明書の作成は、宅地建物取引士などの専門資格は必要ありません。

しかし、重要事項説明書には契約に関する重要な内容を記載するため、専門資格を持っている人や準ずる専門知識を持っている人が作成することが望ましいです。

2-3.用意するタイミングは?

重要事項説明書は、契約締結を予定している日より1週間程度早いタイミングでオーナーに渡すべきです

オーナーが重要事項説明書を確認する時間が足りないと、重要な点について理解しないまま契約に至ってしまう可能性があるからです。

2-4.保管は必要?

重要事項説明書の保管に関する規定は設けられていないものの、トラブルが起きたときのために保管しておくのが望ましいです。

民法上で債務不履行に関する損害賠償権の時効が成立する10年までは保管しておくと良いでしょう。

可能であれば、不法行為に関する損害賠償権の時効が成立する20年まで保管しておくと、万が一の場合にも安心です。

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3.「しっかり読んで、確認しておきたい」4つのポイント

サブリース契約の重要事項説明書を見る際によく読んで、しっかり確認しておきたい記載項目として、以下の4つが挙げられます。

<重要事項説明書でしっかり確認しておきたい4つの項目>

家賃設定項目(免責期間含む)修繕費などの費用分担管理状況報告に関する決め事解約の条件と更新時期

ここでは、それぞれの項目で確認すべき内容について解説します。

3-1.家賃設定項目(免責期間含む)

サブリース契約では、約2年ごとに賃料が見直され、必要に応じて改定できると定められているケースがほとんどです。

「5年間家賃保証」などと謳われていた場合でも、実際の契約内容に賃料を改定できる旨の内容が含まれていれば、家賃が保証されるとは限りません。

また、「引き渡しや退去からの一定期間は家賃を支払わなくてよい」という免責期間の条項が含まれていることもあるため、事前に確認しておくようにしましょう。

3-2.修繕費などの費用分担

サブリース契約では物件の管理をサブリース会社にすべて委託できるため、修繕費はサブリース会社の負担だと考えるオーナーは多いです。

しかし、契約内容を確認すると、「修繕費はオーナーが負担する」と定められているケースが多く存在しています。

想定外の出費が発生することを防ぐためにも、事前に把握しておくことが大切です。

3-3.管理状況報告に関する決め事

サブリース業者は管理する物件について、最低でも年に1回は管理状況を報告する義務があります。

オーナーに対する報告内容や頻度がどのように決められているのかを事前に確認することで、報告が適切に行われているかをチェックできます。

3-4.解約の条件と更新時期

サブリース契約において、「正当事由」がなければ「貸主」であるオーナーからの解約は難しいとされています。

そのため、オーナー側から契約を解約するための条件、違約金や予告期間などの内容をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

また、サブリース会社側から解約する際の条件や、契約の更新時期についても把握しておくことで、契約後のトラブルを減らすことができます。

「サブリースの解約は本当に難しいのか」「サブリース解約で必要な正当事由とは何か」について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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4.ひな形から解説!それぞれのページには何が書いてあるのか?

国土交通省が作成した、サブリース契約の重要事項説明書のひな形は、全9ページで構成されています。

ここでは各ページ内容を抜粋し、記載内容を簡単に説明していきます。

<重要事項説明書 1ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

1ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

賃料が減額される可能性がある期間中でも解約される場合があるオーナー側から解約する場合には正当な事由が必要である

<重要事項説明書 2ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

2ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

サブリース会社の会社名や説明者名、業務管理者名など

<重要事項説明書 3ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

3ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

サブリース契約の対象となる物件とその設備についてなど

<重要事項説明書 4ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

4ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

契約期間についてオーナーに支払う家賃の金額や支払い期日など

<重要事項説明書 5ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

5ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

敷金や家賃の面積期間についてサブリース会社が行う管理の実施方法について

<重要事項説明書 6ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

6ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

修繕などの費用負担の分担について

<重要事項説明書 7ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

7ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

  • 管理実施状況の報告方法について
  • 引き渡し日までに解約する場合の違約金や申し入れ日について
  • 免責事項について
  • 入居者に対する条件について
  • 入居者に行う管理状況の報告について

<重要事項説明書 8ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

8ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

サブリース契約の更新、解除についてサブリース契約解除後の入居者に対する対応について

<重要事項説明書 9ページ目 抜粋>

引用:国土交通省「特定賃貸借契約 重要事項説明書<記載例>」

9ページ目には、以下のような内容が書いてあります。

借地借家法についての概要

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まとめ

サブリース契約締結後のトラブルを防ぐために、2020年に施行されたサブリース新法によって重要事項説明書の交付が義務付けられました。

サブリース契約を締結する前には、サブリース業者側からオーナーに対して重要事項説明書が必ず交付されます。 契約後のトラブルを防ぐためにも、本記事で紹介した内容を中心に重要事項説明書をあらかじめ確認しておきましょう。

この記事のまとめ

「重要事項説明書」で最低限押さえておきたい4つの基礎知識

サブリース契約の重要事項説明書で最低限押さえておきたい4つのポイントは以下のとおりです。

  • なぜ必要?
  • 誰が作成する?
  • 用意するタイミングは?
  • 保管は必要?

詳細は「2.まず最低限押さえておきたい4つのポイント」にて解説しています。

「しっかり読んで、確認しておきたい」4つのポイント

サブリース契約の重要事項説明書で「しっかり確認したい」4つの項目は以下のとおりです。

  • 家賃設定項目(免責期間含む)
  • 修繕費などの費用分担
  • 管理状況報告に関する決め事
  • 解約の条件と更新時期

詳細は「3.「しっかり確認したい」4つの項目」にて解説しています。

サブリース契約の重要事項説明書に書かれていること

サブリース契約の重要事項説明書には、以下の内容が書かれています。

  • 賃料が減額される可能性がある
  • 期間中でも解約される場合がある
  • オーナー側から解約する場合には正当な事由が必要である
  • 賃貸住宅管理業法で重要事項説明書に盛り込むように規定されている14項目

詳細は「4.ひな形から解説!何が書いてあるのか?」にて解説しています。