はじめての不動産投資でもわかるやさしいマンション利回り相場の見方と考え方

マンション投資や不動産投資に興味を持つと、利回りのことも気になりますね。はじめての投資でも、利回りが高い低いは数字を見ればわかりますが、不動産経営にどう影響するかまでは、イメージできない方が多いと思います。本記事では、マンション投資の利回りに関して、数字に弱い方、計算が苦手な方でもわかるように、やさしくまとめています。

この記事の内容 [目次を隠す]
1.ケース別 マンション投資の利回り相場
利回りとは、投資したお金に対して、どのくらいの利益があるのかをパーセンテージ(%)で表したものです。マンション投資の場合、投資対象であるマンション物件の購入価格が投資額、その投資したお金に対し、家賃収入が入ったら、どのくらいの利益になるかを表しています。投資ですから数字が高い方が、利回り高い・利回りが良いわけですから、投資資金が増えやすいことになります。
以下の表は、一般財団法人日本不動産研究所が毎年行っている、不動産経営と不動産投資家に関した調査から、エリアと物件を中心に、利回りをおおまかにまとめたものです。これから不動産投資をしようとしている物件がある地域に当てはめ、だいたいの数値をつかんで、比較するのにお役立てください。
実際には、各地域の中からさらに、細かなエリア・土地条件・築年・ライバル物件などを含めて、利回りを総合的に判断していくことになります。
地域 | ワンルーム | ファミリー | 地域平均利回り |
---|---|---|---|
東京 城南地区 JR渋谷駅・恵比寿駅まで15分以内の沿線エリア | 3.8% | 3.8% | 3.9% |
東京 城東地区 JR東京駅・大手町駅まで15分以内の沿線エリア | 3.9% | 4.0% | |
札 幌 | 5.0% | 5.0% | |
仙 台 | 5.0% | 5.0% | |
埼 玉 | 4.6% | 4.6% | |
千 葉 | 4.6% | 4.7% | 4.6% |
横 浜 | 4.3% | 4.4% | |
名 古 屋 | 4.5% | 4.5% | |
京 都 | 4.6% | 4.7% | |
大 阪 | 4.3% | 4.3% |
※データには期待利回りが使われています。
【参照:一般財団法人日本不動産研究所 第51回不動産投資家調査より編集部まとめ】
- 東京都内
- 地方都市
- 新築物件
- 中古物件
1-1.東京都内
都内全体の平均利回りは約3.9%です。参考にした資料では、都内の不動産投資は、JR東京駅・大手町駅まで電車で15分以内の城東地区、JR渋谷駅・恵比寿駅まで電車で15分以内の城南地区に2分されています。
城東地区はビジネスの中心地であることから、利便性を強く求める入居者が多い傾向にあります。城南地区は複数のターミナル駅に加え、近隣に人気エリア(代官山駅・表参道・自由が丘駅・学芸大学駅)などへの乗り入れもある地域です。
地方都市と比較して全体の利回りが下がるのは、都内のマンション物件は高額であるため、投資額も大きくなります。不動産投資の利回りは、物件への投資額に対して1年間の賃料収入で割り出すため、東京都内の物件の利回り数値は、全国で比較すると低くなる傾向があります。
ただし、都内の人口の多さと人の流動性の高さは、地方都市とは比較にならないため、都内と地方都市を、同じ投資先としては考えない方が、正しく利回りを理解できると言えます。都内の利回りは、東京23区の範囲内で比較するように気を付けてください。
1-2.地方都市
全国地方都市全体の平均利回りは4.6%です。東京都内よりも利回りが高くなる要因として、地方は都心の物件と比べて、投資物件としてマンションを購入する方が少ないため、投資物件としては手ごろであることから、利回りが高くなる傾向があります。
ただし、同じ地方都市でも、中心地に近いところと、近郊エリアでは物件ニーズにはかなりの開きがあります。また、地方都市では車利用が生活ベースとなることも多く、中心地=ターミナル駅ではないこともあります。
地方都市でのマンション投資で良い結果を出すためには、地域の中心地・人気エリアと言われる場所を確認し、そのエリアへの利便性を想定したうえで、利回り比較をするようにしてください。また、エリアに詳しい不動産会社に適切な物件を紹介してもらうことも、重要になります。
1-3.新築物件
国土交通省の規定する新築物件とは、築1年目以内で、さらに誰も入居したことが無い物件のことです。マンション投資の場合は、竣工したばかりの物件のことになります。ただし、一般的な賃貸物件の概念としては、築10年以内であれば、比較的「新しい」「きれいな」という表現が使われることから、新築から10年をひとくくりとして、全国平均の区分マンション利回りを表にしました。
地域 | 築年数 | 平均利回り |
---|---|---|
全国 | 新築~10年未満 | 4.53% |
築10年~ | 4.96% | |
築20年~ | 8.10% |
【参照:健美家 収益物件市場動向四半期レポート<2023年4月~6月期>より編集部まとめ】
築年が古くなるほど購入価格が大きく下がる傾向があるため、築年数が経過するほど、マンション投資の利回りは高くなります。
本来の意味としての新築利回りは、初年度に限定して言えば、高い利回り数値が期待できます。その理由として、新築プレミアという新品で誰も使っていないということに大きな価値によって、エリア平均よりも高めの家賃設定でも、入居者が決まる傾向にあるためです。新築時に入った方が更新を続けてくれれば、プレミア価格のままで高利回りの投資が続くことになります。
ただし、新築時の入居者が退去した時点で中古になりますので、その時点からエリア平均の賃料設定に合わせていくことになり、利回りは大きく下がることがあります。上記表の10年以内の数値は、新築プレミア価格での利回りが含まれた数字であることに、注意をしてください。
1-4.中古物件
築10年以上の区分マンションの平均利回りは以下の通りです。築年が増えるごとに購買価格が下がりますので、利回りは高くなります。
地域 | 築年数 | 平均利回り |
---|---|---|
全国 | 築10年~ | 4.96% |
築20年~ | 8.10% |
【参照:健美家 収益物件市場動向四半期レポート<2023年4月~6月期>より編集部まとめ】
中古マンションを購入して、不動産投資をスタートしようとお考えの方は、利回りだけではなく、物件の資産価値と、それにかかわるお金の問題にも注意が必要です。不動産投資をする方の多くは、物件購入の際にローンを組みますが、融資額と融資期間は、物件の法定耐用年数で変わります。
法定耐用年数とは、経年劣化する物品に対し、「だいたいこれくらいの期間は普通に使える」ことを、法的に決めた使用年数のことであり、会計上の資産価値のめやすです。原則として、金融機関は物件の耐用年数以内で融資を決めるため、、耐用年数が長ければ、融資期間も長くなり、返済負担も軽くなります。
そのため、築年の古い物件は購入金額が抑えられるため、利回りだけで見ると高利回りになりますが、残存する法定耐用年数は少ないため、融資額や返済期間も制限されることに注意する必要があります。
高利回りを実現するマンション投資には、物件の選択によって得られる結果が変わってくることがわかりました。都内と地方都市・ワンルームとファミリー向け・区分と一棟・アパートとの比較など、ご自分にとっては何が良いのかを含め、不動産投資の成功ノウハウは、資料をそろえてしっかり目を通しておいてください。
情報収集には、日本で最も古い不動産情報サイトである「賃貸経営 HOME4U」がお手伝いできます。NTTデータグループの情報として、情報面・セキュリティ面での安全性は抜群です。
賃貸経営・土地活用の
相談をしたい方はこちら
複数の会社にまとめて相談
2.マンションの利回り相場を理解する4ポイント
マンション投資の利回り相場を理解するためには、利回りを3つの視点から見る必要があります。不動産投資情報が集まって来ると、さまざまな物件資料に利回りの%が書いてありますが、この数値は、具体的には以下の4つのどれかになります。
- 表面利回り
- 実質利回り
- 想定利回り
- 期待利回り
細かく数字を追うよりも、書いてある%には何が含まれ、何を意味しているのかを、ざっくりと掴んでおくと、数字に振り回されずに、ご自分にとって最良の物件探しをしやすくなります。
2-1.表面利回り
表面利回りとは、ざっくりとした経営状態を表す%です。計算方法は、年間の想定家賃収入を物件価格で割り算をします。たとえば、以下のように計算します。
-
計算式:表面利回り(%)=年間の想定家賃収入÷物件価格×100
- 年間の想定家賃収入:月額12万円×10ヶ月=120万円(空室2カ月想定)
- マンションの購入金額 3,000万円
- 120万円÷3,000万円=0.04×100=年利4%
上記を見てわかるとおり、この計算は、マンション経営の必要経費や税額などが入っていない数字です。しかし、空室状況は加味されますので、現状の経営状態を表すには十分な数値といえます。
多くのネット情報・不動産情報・資料では表面利回りを使うため、複数の物件比較をするのに適した数値といえます。
2-2.実質利回り
実質利回りでは、年間の経費を計算式に入れた、現実的な利回りがわかります。計算式は、年間家賃収入から必要経費を差し引いた金額を、物件価格とその諸経費で割り算をします。たとえば、以下のようになります。
- 年間の想定家賃収入:月額12万円×10ヶ月=120万円(空室2カ月想定)
- マンション経営の必要経費概算 20万円
- マンションの購入金額 3,000万円
- マンションの購入諸経費概算 200万円
(120万円-20万円=100万円)÷(3,000万円-200万円=2800万円)=0.36×100=年利3.6%
このように、物件を購入するために支払った金額(不動産仲介手数料・登記費用・印紙代など)、経営スタートしたら実際にかかる金額などを含め、現実に即した利回り計算をするのが、実質利回りです。
上記の経費には、購入時の諸経費、固定資産税等の税金、保険料等などを想定していますが、これ以外に、選んだ物件によっては、修理修繕費なども必要になる可能性があります。このように、実質利回りはリアルな数値であるため、購入物件を絞り込んだあとに、細かな比較をしていくのに向いています。
2-3.想定利回り
想定利回りとは、表面利回りから空室リスクをのぞいて計算した数値です。その物件の経営が良好だった場合に、期待できる最大利益のめやすになります。想定利回りは、新築物件の投資利回り計算で、主に採用されます。理由としては、新築物件は経営をしていない状態であるため、満室経営で利回り計算をするしかないためです。
実際の経営状態とは乖離することが多いため、想定利回りはあくまで、理想として受け止めるようにしてください。ネットにある不動産情報の一部には、表面利回りとして、この想定利回りを掲載していることがあるので、注意が必要です。
2-4.期待利回り
あまり耳にしたことがない言葉ですが、期待利回りというものがあります。主に不動産業界内で使われる利回りの見かたで、「購入後に期待される家賃年収÷不動産価格×100」で計算します。
かんたんに言えば、投資家が「このくらいの利回りなら購入したいかな」と考える数字であり、不動産業界から見たときには「利回りが〇%なら、買う人がいるだろう」という値付けのめやすになります。どちらの場合でも、投資対象への期待を表していますので、期待利回りが高いほど、投資先として人気があると言えます。
さまざまな数値をベースにしていることと、会社によって判断基準が違うため、同じ物件でも不動産会社によって結果が変わることがあります。一般的な資料には掲載がないこともあるので、気になる物件の期待利回りを知りたい場合は、不動産会社の担当者に確認してみてください。
3.マンションの利回り相場を使った投資先判断方法5つ
マンション投資先を選んでいく際、利回りだけに振り回されず、投資先として本当に価値のある物件を探すために、大切なことを5つにまとめています。投資判断には、不動産のプロフェッショナルと一緒に動く方が、安全でさらに効率も良くなります。以下のことを念頭に置いたうえで、信頼と実績のある不動産会社探しも並行するようにしてください。
- 複数の利回りから物件比較
- 融資金利の影響を考える
- 経営期間から考える
- コストから考える
- 資産価値の高さから考える
3-1.複数の利回りから物件比較
物件資料が手元に集まって来ると、利回り数値と物件を見比べていくことになります。慣れないうちは、次のABCDの順番で利回り数値を見ると、ご自分にとって良い物件を見つけ出しやすくなります。
- 表面利回り 「ざっくりとした利回り」
年間賃料から必要経費を差し引いていない利回りです。ほとんどの不動産会社が表面利回りで表記をしますので、大量の資料から希望する利回り商品を整理するのに向いています。
たとえば、年利4%を期待しているのであれば、4%台のものだけ先にファイルし、残りを次点の投資先として分けておきます。 - 実質利回り「かなりリアルな利回り」
年間賃料から必要経費などを差し引いた金額で計算した、リアルな数値です。Aの表面利回りで分けた資料の中身を精査し、信頼できる数値であるかをじっくり比較するのに使います。たとえば、資料にある販売価格や賃料をもとに、自分で再計算して、納得のいく数字かを確認します。納得がいかないものは一旦保留とし、そのほかの物件を優先的に比較していきます。ここまでで、かなり物件は絞られてきます。 - 想定利回り 「新築の利回り」「だったらいいな利回り」
マンション経営が満室であることを前提にした利回りです。新築マンションは経営データがありませんので、想定利回りを使います。経営中のマンションの想定利回りは、購買のための判断材料としては不確定要素が多いので、新築マンションに投資をする場合のみ参考にしてください。 - 期待利回り 「物件の人気度を表す利回り」
不動産業界内で賃料設定や販売価格設定をする時の、めやす数値です。期待利回りが掲載されている資料は少ないのですが、掲載があれば、その不動産会社には不動産鑑定士が存在するか、またはそれに準ずる、確立した物件の査定方法を持っているという裏付けになりますので、その会社の物件評価・利回り数値の信頼性も高い傾向にあります。ただし、他の利回りの計算方法と比較すると、期待利回りには流動的な側面がありますので、あくまで参考程度にしてください。
3-2.融資金利の影響を考える
不動産投資では、自己資金が少ない状態でも、ローンを活用して、より高額でより条件の良い投資物件を購入した方が投資効率は良くなります。同じ利回りであれば、エリア条件や土地条件が良い物件の方が、高額な家賃設定を期待できるためです。
物件の利回りが同じ場合は、金利が低い方が投資効率は良くなります。さらに、ローン金利も同じ場合には、利回りが高い物件の方が、投資効率も高くなります。つまり、物件利回りとローン金利の差が大きい方が、投資効率が良いわですから、とてもかんたんに言えば、高利回り物件を低金利ローンで投資できる物件を探せばよいことがわかります。
金利差は単純に「物件利回り-融資金利」で良いので、確認方法はかんたんです。ただし、ここでいう利回りは、表面利回りではなく、実質利回りを基準に考えるようにしてください。多くの資料では表面利回りを表記していますので、気になる物件がある程度まで絞り込めて来たら、ご自分で簡易計算をしてみる必要がありそうです。
融資の金利は、経営が始まった後にも、繰り上げ返済で元金を減らしていくと、金利を少しずつ下げることができ、投資効率をさらに良くすることができます。
3-3.経営期間から考える
マンション投資も投資である以上、他の投資商品と同じように、どこかで運用を終わらせて、利益を確定する必要があります。利益を確定するためには、ご自分が予想する利回り結果を、いつまでに達成したいかをシミュレーションしておく必要があります。
一般的な利益確定の方法は売却ですが、経営が順調であるならば、かならず売らなければならないわけではありません。
利益確定のタイミングは、法定耐用年数を基準にします。鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年ですので、この期間内で、いつ利益確定をするかを考えておく必要があります。
たとえば、空室が続いている場合は、早めに売却をした方が良いと言えます。入居者がいる場合は、退去のタイミングまでは賃料収入を得ておき、退去が決まってから売却、またはフルリノベーションをかけて再投資を続けるなど、さまざまな選択肢があります。
ただし、経営がうまくいっていても、古い建物は将来的に大規模修繕費の負担が重くなる可能性があるため、中古物件を購入する時点で、将来の投資出口は複数用意しておいた方が良いと言えます。売却時の利益で期待する利益を狙うためには、土地価格またはエリアの物件価格が上がる諸条件が必要です。はじめてのマンション投資では見極めが難しいため、不動産会社と相談しながらすすめるようにしてください。
3-4.コストから考える
マンション経営には、必要経費が発生します。これらの費用は、毎月の賃料収入から差し引き、年間賃料収入の20%くらいがめやすです。経営コストには、以下のようなものがあります。
- 固定資産税
- 不動産取得税
- 管理委託費
- 修理修繕費
- ローン金利
- 損害保険料
- メンテナンス費
- 原状回復費
- 仲介手数料
毎年1月1日時点で不動産を所有する方全員に課税される地方税
不動産を購入した初年度のみかかる税金
不動産管理会社への委託手数料 家賃×5~10%が相場
建物と室内設備への修理修繕費用
融資を受けたローンのうち、金利部分
火災保険・地震保険などの保険料
通常の管理委託以外に発生したメンテナンス費
退去時の原状回復にかかる費用のうち、オーナー負担となるもの
入居者募集の際の仲介手数料・インセンティブなど
マンション経営に必要な経費であるため、あまり削れるところはなく、ほぼ固定費といえます。無理にコスト削減をすれば、住環境に影響が出る可能性があり、空室リスク・家賃下落リスクにつながりやすくなるため、物件選びの段階でコストを意識するようにしてください。
コストが多くなればなるほど、手取りの収入は少なくなりますので、利回りも変わります。これらの情報は、購入前に詳細確認できますので、固定費となる部分が少なく住む物件を見極める必要があります。たとえば、以下のような物件はコストがかかりやすい傾向があります。
- 小規模マンション・低層階マンション
- タワーマンション・高層階のマンション
- 商業施設一体型マンション・駅直結型マンション
全体の戸数が少ないため、修繕積立なども1戸当りの負担が高くなります。特に、築年の古い小型マンションで、空室が多い・高齢者が多いなどの場合、支払い能力のある住人で負担をしながら、建物の維持をしなければならないケースがあります。このような背景があると、売却をしても買い手が付きにくくなることもあります。
建物が高層・広範囲であるため、高速エレベーターの整備・稼働点検・清掃・共用庭・健康施設・会議室など、常時稼働している共用部分が多く、全体のメンテナンス費・積立金が高い傾向があります。空室の場合、これらの費用負担はオーナーが自腹で支払うことになります。
建物によっては、管理費・修繕積立金が「全体」と「住宅」の2つあり、建物全体の専有面積按分になっていることがあります。たとえば、住居が70%・商業施設30%の場合、商業施設にも使うエスカレーター・階段・トイレ・店舗周辺・駅まで続く通路など、商業施設と共用する部分のメンテナンス費用を、住人が負担しなければならないケースがあります。
3-5.資産価値の高さから考える
都心の立地条件が良いマンションに投資をすることにより、築年による資産価値の目減り分をカバーしながら、投資リスクを抑えることも可能です。
都心で立地条件の良い物件は、その利便性から、空室が起きにくい投資先です。そのため、賃料収入を得ながら不動産市場が活況になるタイミングを気長に待ち、大きな売却益を得られれば、当初の想定よりも高い利回りで投資を終えることができます。
経営を続ける場合でも、資産価値の高い物件であれば、経年劣化による修理修繕費が増えたとしても、損をしない利回りで経営維持することも可能です。
自己資金額の何倍もの融資額を申請するのですから、資産価値の高い物件を選ぶようにすれば、マンション投資の利回りを、相場よりも高くすることも、十分に可能です。
4.マンション利回り相場に関した5つの注意点
利回りは数字の話になるため、数字が苦手な方は、マンション投資への意欲があっても、実際に取り組むまで、気持ちの上でのハードルがあります。本章では、マンション投資に関し、利回り全体のイメージをつかめるようにまとめました。
- 利回りは常に変化している
- 原則として儲かる物件は売却されない
- 高利回り=優良物件ではない
- 一般の投資商品の利回りとの違いを理解する
- 頼りになる不動産会社を探してから動く
4-1.利回りは常に変化している
投資における利回りは、需要と供給のバランスで成り立ちます。不動産でいえば、借りたい人が多いと需要が上がり、借り手がつかないと需要が下がります。不動産は債券や株式のように手軽に数(発行数)を増やすことがむつかしいため、人気のある賃貸物件は、売り手市場で高利回りになります。
しかし、不動産はかならず経年劣化をしますので、スタート当初は高利回りであっても、老朽化や周辺に新築ライバル物件が次々と現れれば、需要と供給のバランスが変わり、利回りも変わります。
このようなことから、いかに高利回り物件であっても、その利率がマンション経営の最後まで変わらないことは、ほとんど期待できないといえます。ただし「借り手がつきやすい物件」「家賃下落がしにくい物件」はありますので、土地条件とエリア条件のそろった物件で、適切なメンテナンスをしながら、平均的な利回りを長期間維持することは十分に可能です。
4-2.原則として儲かる物件は売却されない
基本的に、収益が出ている物件は、市場には出てこない傾向があります。利益を生み続けている投資先ですから、そもそも、売却する必要性がありません。
そのため、市場に売りに出ている経営中のマンション物件は、売却をする何かしらの理由があります。不動産市場が活況なときであれば、想定を超えた利回りになるために売る可能性はありますが、たいていは、物件・経営・融資などに問題が生じている傾向があります。
物件の問題ではなく個人の問題である可能性もありますので、気になる物件がある場合は、利回りの根拠と、なぜ売りに出されているのかを調べたうえで、本当に購入する価値があるかを精査してください。
4-3.高利回り=優良物件ではない
利回りは数字だけではなく、投資物件としての中身をよく見ることで、投資先としての優秀さをはかることができます。たとえば、今8%の高利回り物件と、ずっと4%の一般的な利回り物件であれば、どちらが優秀な投資先かを考えておく必要があります。
まったく同じスペックのマンション物件が、東京都心部と地方都市にあった場合、東京都心部の物件の方が利回りは下がります。これは、都心部の不動産価格が地方都市に比べると、購入価格が高額であるために起きる現象です。
しかし、都心部人気エリアの物件は、賃料も価格も下がりにくい傾向があり、立地条件がよければ、不動産価格が上がることすらあります。さらに、圧倒的な人口の多さのために空室リスクも低く、建物の修繕費用も確保しやすくなるため、建物の劣化速度は遅くなり、家賃下落リスクも下がります。このようなことから、長期にわたって安定した経営をしやすい傾向があります。
地方都市の場合、近くに大学や大手企業の工場があるなど、賃貸需要が高いケースを除いては、常に空室リスクの不安があります。比較的、高利回りを維持できたとしても、売却時には物件価格が大きく値が下がっている可能性も高く、経営期間全体の経費を加味すると、都心部の平均的な利回りと大差がない可能性もでてきます。
また、築年の古い物件は価格が安いため、表面利回りは高くなります。 しかし、築年数が古くなれば修繕箇所が増え、下がり続ける賃料設定の回復のため、大きなリフォーム費用がかかることもあります。経費が大きくなれば、実際の利回りはそれほど高くはならないと言えます。
このように、マンション投資においても、投資の不文律である「利回りが高いとリスクも高い」(ハイリスクハイリターン)であることは同じですので、目先の利回りに左右されずに、本当に投資をする価値のある物件を見つけ出すようにしてください。
4-4.一般の投資商品の利回りとの違い
金融商品(株式投資・投資信託・FXなど)と不動産投資投資(マンション・アパート)との、利回りに関した一番の違いは、投資対象への影響力です。株式や投資信託などの金融商品の場合、個人株主・個人投資家が、投資先企業に影響を与えられるほどの購入数を確保できません。したがって、運用利回りにも影響を与えることができません。
マンション投資の場合は、マンション物件そのものを投資家が所有し、経営も自らの判断で行います。物件選びからマーケティング、物件維持管理のための対策など、自分でコントロールできます。その結果、自分が下した判断が、利回りに大きく影響します。
別の言い方をすると、高利回りの物件でスタートをしても、経営者(投資家)の采配が悪ければ、利回りはカンタンに下がっていきます。はじめてのマンション投資では、物件選びの段階から、信頼できるサポート役の不動産会社を味方につけて、経営ノウハウを鍛えていくことも必要です。
4-5.頼りになる不動産会社を探してから動く
はじめてマンション投資をするにとって、物件選びとおなじくらい大切なことは、不動産会社選びです。
不動産会社には売買・仲介・管理・投資とさまざまな部門があり、マンション投資にはこれらすべてのプロフェッショナルが必要です。
投資物件を探す際には、収益物件の提案・収益シミュレーション・資金計画をサポートし、必要な場合は参加すべき勉強会なども提案してくれます。経営スタート後には、物件管理・建物管理など、不動産経営に関した業務全般をお任せできる頼りになる存在です。困った時は何でも相談でき、わからないことは何でも聞くことができます。
知識・経験・実績がそろった不動産会社と一緒にすすめてこそ、利回りの良い、長期安定したマンション経営になります。不動産投資、マンション投資が気になったら、利回りや物件選びよりも、まず、頼りになる相談先である、不動産会社探しをはじめてください。NTTデータグループが運営する「賃貸経営HOME4U」の一括プラン請求では、一度の入力でたくさんの不動産会社に、不動産投資の相談が可能です。
まとめ
マンション投資の利回りについてまとめました。利回りにはさまざまな視点があり、切り口を理解しておくことで、物件選びに役だつことがお分かりいただけたと思います。さらに大切なのは、利回りの数字ではなく、その根拠や実体であることも、ご理解いただけたかと思います。しかし、はじめての不動産投資、マンション投資では、わからないことの方が多く、不安も多いと思います。まずは、頼りにできる信頼と実績のある不動産会社からはじめてください。