賃貸物件の管理を仲介会社に依頼する際、一般的には仲介手数料が発生しますが、物件によっては仲介手数料を無料にして入居者を募集する場合もあります。

本記事は「賃貸仲介手数料が無料になるからくり」についてできるだけ簡単に理解できるよう、さほど不動産業界に詳しくない方が「最低限把握しておきたい」と思う情報に絞って簡潔に解説しています。

この記事のまとめ

  • 賃貸の仲介手数料の概要
  • 賃貸の仲介手数料が無料になる4つのからくり
  • 賃貸仲介手数料を無料にする場合の注意点

賃貸仲介料を無料にできる仕組みの他、注意点と対策も確認できるので、ぜひ最後までご覧ください。

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1.賃貸の仲介手数料とは

賃貸の仲介管理手数料とは、賃貸物件の借主(入居者)やオーナーが仲介する不動産会社に支払う費用です。

賃貸の仲介管理手数料の相場と上限は下記の通りです。

〈賃貸の仲介手数料の相場と上限〉

  • 相場:賃料の1か月分 + 消費税
  • 上限:賃料の1.1か月分(消費税込み)

参考:国土交通省「宅地建物取引業法関係『宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額』」

上限は法律によって定められており、状況によって改正される可能性があります。

賃貸の仲介手数料については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

【大家さん向け】賃貸管理費の考え方、相場&管理費割引・0円にする意味

2.賃貸の仲介手数料が無料になる4つのからくり

賃貸の仲介手数料が無料になる理由は、以下が挙げられます。

〈賃貸の仲介手数料が無料になるからくり〉

  1. 仲介する会社が貸主である
  2. 賃貸物件オーナーと直接契約を結んでいる
  3. 集客キャンペーンを展開している
  4. 不動産会社同士の取引を行っている

その1.仲介する会社が貸主である

物件がいわゆる「サブリース契約された物件」で、サブリース業者が「貸主」に当たる場合、仲介手数料が無料になる場合があります。

<図:サブリース契約の仕組み>

いわゆる「サブリース契約」の場合、入居者はサブリース業者から物件を借りること(仲介会社が貸主になること)になります。
サブリース業者が貸主の立場になるため、貸主として「敷金・礼金・家賃」を受け取れば、別途仲介手数料を受け取らなくても十分利益を上げることができます。

また、サブリース業者が貸主になるメリットとデメリットは下表のとおりです。

<サブリース業者が貸主であるメリット・デメリット 一覧> 

  メリット デメリット
オーナー
  • 物件の管理業務を任せられる
  • 空室リスクを抑えられる
  • 広告費用や原状回復費用を抑えられる
  • オーナーが入居者を選べない
  • 収益性が下がる
  • 賃料の見直しが入ることがある

貸主(不動産会社や仲介会社など)

  • 満室の場合は収益性が高い
  • 自社の営業努力次第で収益が高まる
  • 空室や滞納、相場下落のリスクを抱える
  • 固定費が上昇しやすい

借主(入居者) 

  • 仲介手数料がかからない
  • 仲介会社の口コミ情報を集めやすい
  • サブリース物件であることが明記されていないことがある
  • 物件によって、入居審査が甘いケースがある

サブリースについては、以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。

その2.賃貸物件オーナーと直接契約する

賃貸物件のオーナーと借主(入居者)が直接契約を結ぶと仲介会社を挟まないため、仲介手数料はかかりません。

オーナーと借主(入居者)が直接契約するメリットとデメリットは下表をご覧ください。

<オーナーと借主(入居者)が直接契約するメリット・デメリット 一覧>

  メリット デメリット
オーナー
  • 広告費を抑えられる
  • 物件の管理費を抑えられる
  • 仲介手数料を支払わなくてもいい
  • 仲介手数料がかからない分、初期費用を抑えられる
  • オーナーの人柄を知れる
借主(入居者)
  • 仲介手数料がかからない分、初期費用を抑えられる
  • オーナーの人柄を知れる
  • 家賃などの交渉が難しい場合もある
  • トラブル時の仲裁がいない

サブリースについては、以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。

その2.賃貸物件オーナーと直接契約する

賃貸物件のオーナーと借主(入居者)が直接契約を結ぶと仲介会社を挟まないため、仲介手数料はかかりません。

オーナーと借主(入居者)が直接契約するメリットとデメリットは下表をご覧ください。

<オーナーと借主(入居者)が直接契約するメリット・デメリット 一覧>

  メリット デメリット

オーナー

  • 広告費を抑えられる
  • 物件の管理費を抑えられる
  • 仲介手数料を支払わなくてもいい
  • 入居者対応の負担が大きくなる
  • 入居者探しが難しい場合がある

借主(入居者)

  • 仲介手数料がかからない分、初期費用を抑えられる
  • オーナーの人柄を知れる
  • 家賃などの交渉が難しい場合もある
  • トラブル時の仲裁がいない

直接契約の場合は「契約内容の曖昧さ」がトラブルになる例があるため、お互いにルールを詳細に決めるようにしましょう。

【テンプレ有】賃貸管理委託の契約書について|契約書の重要チェックポイントはここ

その3.オーナー負担で集客キャンペーンを展開している

一般的に入居者が集まりづらい6月~8月、11月~12月にかけて、家賃を下げたり仲介手数料をはじめとする初期費用を無料にしたりするキャンペーンがみられます。

基本的に、無料にした仲介手数料や使った広告費等は、オーナーが負担することになります、

仲介会社に依頼をし、集客キャンペーンを展開するメリットとデメリットは下表をご覧ください。

<集客キャンペーンを展開するメリット・デメリット>

 

メリット

デメリット

オーナー

  • 入居者を効果的に募集できる
  • 入居手続きや契約などを仲介会社に任せられる
  • 繁忙期と比べ、借主が見つかりにくい可能性がある
  • 借主の代わりに仲介手数料を負担しなければならないことがある
  • 広告宣伝費がかかる可能性がある

借主(入居者)

  • 仲介手数料がかからない分、初期費用を抑えられる
  • 家賃の交渉をしやすい
  • 繁忙期と比べ、引っ越し費用を抑えやすい
  • 仲介会社のサポートを受けつつ物件を探せる
  • キャンペーン中の物件を絞り込みすぎると希望に合わない
  • 仲介手数料がかからない分、家賃が高くなる場合がある
  • 6月~8月の梅雨・夏場の時期の引っ越しは他の時期と比べ、天候・体力的に適さない

一般的な、オーナー・仲介会社・借主(入居者)の契約については「2-1.仲介する会社が貸主である」で解説しています。

その4.不動産会社同士の取引である

不動産会社同士の取引とは、賃貸物件についてオーナーと専任媒介契約を結んだ業者が、別の業者と業務委託契約を締結して入居者の管理を依頼するケースです。

ここでは、下記名称で解説します。

  • A社:オーナーと専任媒介契約を結んでいる仲介会社
  • B社:A社の代わりに借主(入居者)を見つけた会社

<不動産会社同士が取引するメリット・デメリット>

 

メリット

デメリット

オーナー

  • 入居者を効率的に見つけられる

A社(専任媒介契約を結んでいる会社)

  • オーナーの物件を仲介できる
  • B社に契約業務を代行してもらえる
  • 業務委託費をB社に払う必要がある

B社(借主(入居者)を見つけた会社)

  • 業務委託費をA社から支払ってもらえる

借主(入居者)

  • 仲介手数料がかからない
  • 物件の管理者と入居者の契約者が異なるため、トラブル対応に手間がかかる可能性がある

賃貸物件のオーナーとA社が専任媒介契約を結んでいると、基本的にA社以外は当該物件を仲介できませんが、B社で借主が見つかったときには、A社がB社と業務委託契約を結んで紹介を受けるケースがままあります。

B社としてはA社から業務委託費をもらえるため、借主に対して仲介手数料を無料にする場合があります。

3.「賃貸仲介手数料無料」にする場合の注意点と対策

「賃貸仲介手数料無料」する際は、以下の注意点を考慮しておきましょう。

〈「賃貸仲介手数料無料」にする場合の注意点〉

  • 不人気物件の集客と見抜かれる
  • 違う名目で上乗せすると評判が落ちる
  • 宣伝広告費を多く請求されることがある

各注意点と対策についても解説します。

3-1.不人気物件の集客対策と見抜かれる

仲介手数料を無料にすると、入居希望者から「不人気物件だから集客しているのでは?」と見抜かれる場合があります。

〈不人気物件と思われる理由〉

  • 立地が悪い(駅から遠い、スーパーが近くにない など)
  • 部屋が狭い
  • 築年数が古い
  • 入居者間や近隣とのトラブルがある(騒音や振動 など)

上記の項目に当てはまる物件で仲介手数料を無料にすると、不人気物件の集客と見抜かれるので注意が必要です。

対策

入居希望者の条件や希望などを丁寧に聞き取って物件の魅力を伝えられると、契約に至る場合もあります。

〈物件の魅力を伝える方法〉

  • 室内、設備の写真を魅力的に見えるように撮り直す
  • 室内、設備の写真の枚数を増やす
  • 玄関・水回り・床・壁が汚れている場合、掃除や簡易リフォームを行う
  • ホームステージングを利用する
  • 広告の内容を見直す など

魅力を十分に発揮できるように常日頃から物件内部の整備や入居者、近隣との関わりを良くしておくのが重要です。

3-2.違う名目で上乗せすると評判が落ちる

仲介手数料を無料にしても、家賃や敷金、礼金など違う名目に上乗せすると入居者や入居希望者からの評判が落ちします。

たとえば

  • 仲介手数料無料・敷金無料・礼金2か月分
  • 仲介手数料1か月分・敷金無料・礼金1か月

では、入居者が負担する初期費用は同じです。
特に仲介手数料をオーナーが負担する際に、礼金を上乗せして補填するケースが見られます。

対策

仲介手数料分をオーナー自ら負担できない場合は、無理に手数料を無料にする必要はありません
信用問題にもかかわってくるため、無理に手数料無料をうたうのではなく、きちんと説明した上で集客を進めましょう。

3-3.宣伝広告費を多く請求されることがある

仲介手数料を無料にした場合、補填分として仲介会社から宣伝広告費の請求に手数料分が上乗せされるケースがあります

対策

広告宣伝を行う前に、仲介会社に詳細を確認しておくと安心です。

〈仲介会社に確認する内容〉

事前の確認

  • 広告の内容
  • 広告宣伝費の金額

請求時の確認

  • 実際に請求された広告宣伝費の内訳

事前に広告の内容と金額を確認し、双方納得の上で広告宣伝を行いましょう。

仲介会社から請求書が出された場合は、金額の内訳についての確認も必要です。
事前に聞いていた金額と異なる場合や、金額に不明瞭な点がある場合は都度

不明点等は相談して負担が大きくならないようにしましょう。

まとめ

賃貸の仲介手数料を無料にするのは、仲介会社が貸主の場合やオーナーと借主が直接契約した場合などが挙げられます。

それぞれのケースにおいてオーナーにメリット・デメリットがあるため、仲介手数料を無料にする際は慎重に判断しましょう。

長期的に安定した賃貸経営ができるように戦略を立てたうえで、仲介手数料を無料を検討しましょう。

この記事のまとめ

賃貸の仲介手数料とは?

賃貸物件の借主やオーナーが仲介する不動産会社に支払う費用です。

・賃料の「1か月分 + 消費税」が相場
・上限は「賃料の1か月分(消費税込み)」

詳細は「1.賃貸の仲介手数料とは」にて解説しています。

賃貸の仲介手数料が無料になるからくりは?

賃貸の仲介手数料が無料になる理由は以下の4点です。

・仲介する会社が貸主である
・賃貸物件オーナーと直接契約を結んでいる
・集客キャンペーンを展開している
・不動産会社同士の取引を行っている

詳細は「2.賃貸の仲介手数料が無料になる4つのからくり」にて解説しています。