管理会社が共用部分を清掃してくれない理由とオーナーの対処法
管理会社に賃貸マンション・アパートの管理を任せているのに共用部分が汚れていて、「なぜ清掃されないのか」と不満を感じているオーナーの方も多いのではないでしょうか。
実は、「共用部分の清掃」は委託契約時に依頼していないと業務対応されません。管理会社が対応できる清掃は大きく3種類です。契約書や管理委託仕様書に清掃の種類や内容の記載がない場合は、ご自身のマンション・アパートの規模や状況に合わせて管理会社に清掃業務を正式に委託する必要があります。
本記事では、管理会社が清掃してくれないと感じた場合にオーナーが取るべき具体的な対処法と、マンション・アパートの清掃業務の詳細を解説します。
大切な物件の資産価値を維持し続けられるよう、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。
この記事の内容
1. 管理会社が対応できるマンション・アパートの清掃業務

管理会社が普段からどのような清掃対応をしているか把握するため、まずは清掃の種類を確認しておきましょう。多くの管理会社が委託している清掃業務は、大きく3種類に分けられます。
- 日常清掃
- 巡回清掃
- 定期清掃
1-1. 日常清掃
日常清掃とはその名の通り、マンション・アパートの共用部分を清潔に保つための日常的な清掃です。
日常清掃は、管理会社から派遣された管理員が常駐している場合は管理員が、常駐していない場合は管理会社が内外の清掃スタッフに依頼して対応します。基本的には毎日または週に数回、エントランスや廊下、階段、エレベーターの床など、住民が日頃から頻繁に使用する場所を中心に掃除します。敷地内に落ちたゴミや雑草を取り除く作業や、ゴミ集積所の整理整頓も日常清掃に含まれる作業です。
日常清掃は回数が明確に定められていないこともあるため、管理会社への委託依頼時に頻度や内容を把握しておくことが重要になります。
- 担当者:管理員または清掃員
- 頻度:不定期(毎日~週に数回)
- 清掃内容:エントランスや廊下など共用部分の掃除
1-2. 巡回清掃
巡回清掃とは、清掃員がマンション・アパートを定期的に巡回する清掃を指します。作業内容は日常清掃とほぼ同じですが、大きく異なるのは、回数が明確に決められている点です。
多くの巡回清掃では月1〜4回程度(週1回〜月1回)の間で調整され、物件や季節に応じて頻度を増減されることもあります。日常清掃と組み合わせて実施されることもあり、併用すると共用部分をより清潔に保てます。
巡回の間隔が空きすぎると清掃がない期間に汚れが蓄積してしまうため、マンション・アパートの状況に応じた回数の設定が欠かせません。
たとえば、世帯数が多いマンションでゴミ置き場が狭い場合は、積み上がったゴミ袋が破れたりほどけたりして汚れが発生しやすいので、今の清掃状況に物足りなさを感じる場合は週2回程度の頻度に見直しした方が良い場合もあります。
- 担当者:清掃員
- 頻度:月1〜4回程度
- 清掃内容:エントランスや廊下など共用部分の掃除
1-3. 定期清掃
定期清掃とは、建物の美観と衛生を保つため、年に数回程度の間隔で行う本格的な清掃です。日常清掃や巡回清掃では落としきれない床の黒ずみやカビ汚れを高圧洗浄機で洗浄したり、床面にワックスを塗布したりと、清掃会社による専門技術を用いた洗浄・研磨作業が中心となります。
また、エントランスの照明や、共用部分の換気扇・トイレの分解洗浄のほか、外壁、屋上、高所といった日常清掃・巡回清掃では対応できない場所の清掃も含まれます。
実施頻度はマンション・アパートの規模や築年数にもよりますが、3〜6か月に1回の間隔で実施されるケースが多い傾向です。
雨だれ汚れや床の黒ずみは次回の定期清掃まで残ってしまうこともあるため、汚れが目立ってきたら清掃会社に連絡し、前倒しで実施してもらうのも一つの手です。
- 担当者:清掃会社の清掃員
- 頻度:3〜6か月に1回程度(規模や築年数による)
- 清掃内容:床の高圧洗浄、外壁・高所などの清掃
2. 管理会社がマンション・アパートを清掃してくれない理由
「管理会社がきちんと清掃してくれない」と感じられる場合、主に4つの理由が考えられます。
- 委託範囲外の場所・内容
- 契約で決められた頻度
- 人員不足・コスト制約
- 下請けの清掃会社への指示・伝達不足
どのような理由で清掃してくれないかによって対処法も変わってきますので、ご自身のマンション・アパートで当てはまりそうなケースを把握しておきましょう。
2-1. 委託範囲外の場所・内容

まず考えられるのは、「管理会社の業務範囲外の場所や内容のため清掃できない」というケースです。契約書で定められていない業務に該当する場合、管理会社は対応できません。
たとえば共用廊下に設置された各戸の室外機は、ほこりや汚れが目立ったとしても、入居者自身が手入れをすべき「専用使用部分」とされ、通常は清掃の対象外です。
ゴミ出しのルール違反で放置された粗大ゴミも、管理対象とされないケースも多くなっています。管理会社にゴミ置き場の清掃義務はあっても、「住人がルールを守らずに出したゴミ」の廃棄処分までは対応できません。
そのほか、以下のような日常清掃や巡回清掃では手に負えない汚れの除去も、契約上は業務の範囲外となることがあります。
- 高圧洗浄でなければ落とせない建物外壁の雨だれ汚れや経年の黒ずみ
- 廊下の天井に張られたクモの巣
- エレベーター内の換気扇の汚れ
また、隣地から越境してきた雑草は、他人の敷地内にあるものなので、勝手に取り除くことはできません。
このように管理会社の清掃範囲か不透明な場所については、まず契約書や管理委託仕様書を確認しましょう。「共用部分の清掃」として明記されていない場所であれば、管理会社にとっては委託外業務となるため対応していない可能性があります。
2-2. 契約で決められた頻度
管理会社による清掃が行き届かない理由として清掃頻度の問題もよくあります。清掃自体は契約どおり実施されていても、その回数が少なすぎて対応していないように見えるケースです。
常駐管理員がいないマンションで日常清掃がなく、「巡回清掃:月1回」と契約で決められていれば、管理会社は月に1度しか清掃員を派遣しません。契約で月1回となっていれば、以下のような汚れが発生したとしても、次の清掃日まで放置されることになります。
- 郵便ポスト付近に落ちたチラシ
- 誰かがこぼした飲料の汚れ
- 手すりに付いた鳥のフン
- エントランスや駐車場に集まった落ち葉
- 雨の日の床の泥汚れ
このように契約で取り決めた頻度を超える清掃は基本的に対応できないため、掃除が行き届いていないように見える結果になるのです。
契約上の清掃頻度が、オーナーの要望に合っていない場合は、契約書を見直し、管理会社に頻度を上げる要請や、スポット清掃の追加を交渉する必要があります。
2-3. 人員不足・コスト削減
管理会社がしっかりと清掃してくれない背景には、人手不足や予算の制約といった問題も考えられます。
管理会社の規模が中小で、管理員を常駐させていないマンションやアパートでは、巡回清掃スタッフも限られた人数で多数の物件を掛け持ちしていることがあります。こうしたケースでは、「人件費の削減によって清掃員の欠勤を補う人員が割けない」「作業時間が削られ十分な清掃がしきれない」といった問題が起こり、提供の清掃の品質が十分ではないことがあります。
オーナーから見ると「この程度の汚れなら、ちょっと時間をかければ落とせるはず」と思うようなことでも、管理会社の人員不足・コスト削減の事情から対応できないケースがあるのです。いずれにせよ契約範囲内の清掃ができてないようでしたら、改善できないか管理会社に確認しましょう。
2-4. 下請けの清掃会社への指示・伝達不足

管理会社と清掃業務を行う会社との連携が取れていないことも、清掃が不十分になる理由の一つです。
管理会社自身が清掃員を雇っていない場合、清掃業務は外部の清掃会社や設備管理会社に再委託しています。管理会社は原則、オーナー、清掃員と密に連携して現場の把握に努め、清掃業務のフォーマットも決めている会社も多いですが、中には清掃状況の実態や、オーナーからの細かい要望を十分につかみきれないまま指示を出すこともあり得ます。
こうしたケースでは、管理会社から清掃員に「どこを重点的に」「どの程度まで」清掃すべきかの具体的な指示ができません。その結果、「伝達ミス」「指示不足」「監督責任があいまいになる」といった清掃の品質低下を引き起こす問題が発生しやすくなります。
オーナーとしては、清掃が行き届いていないと感じたら、まず管理会社に現場清掃の実態を確認するよう促すことが大切です。
3. マンション・アパートに清掃が行き届いていないと起こる問題
共用部分の清掃が行き届かない状態のマンション・アパートは、以下のような問題を発生させます。
3-1. 住環境の悪化による退去者の続出
国土交通省が2019年7月31日~8月1日にかけて実施した調査(※)によると、賃貸入居者が感じる最大の不満要因は「建物の清掃など手入れが不十分」で、全体の37.7%にも上るとわかりました。
この結果からも明らかなように、マンション・アパートの廊下やゴミ置き場、駐車場が汚いと入居者の満足度は大きく低下し、長期的に見れば退去者の増加を招きかねません。
特に、毎月支払っている管理費を入居者が「高い」と感じている場合は、それだけ管理の不備に対する不満も大きくなりやすいでしょう。
「共有部分が汚いこと」を理由に更新を機に退去する入居者が続出すれば、オーナーにとって大きな損失となります。
(※)国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」
3-2. クレーム増加によるオーナーの負担増
共用部分の清掃が行き届かない物件では入居者からのクレームも増加するため、オーナーはその対応に追われます。
本来、クレームは管理会社が対応しますが、汚れが放置された状態が続けば、オーナーに直接クレームが来ることになります。
汚れの度合いがひどければ、同じ内容のクレームが複数の入居者から発生するため、オーナーの負担は大きくなってしまうでしょう。
オーナーの負担軽減のためにも、日頃から管理会社の清掃状態をチェックし、問題があれば早めに手を打つことが重要です。
3-3. イメージダウンによる入居希望者の減少
清掃の不備は、現在の入居者だけでなく、これから入居を検討する人たちを減らす要因にもなります。
物件の内見に訪れた入居希望者は、マンション・アパートのエントランスや廊下といった共用部分をまずチェックします。そのときに内観や外観が著しく汚れていれば、「管理が行き届いていない物件」という印象を抱き、入居の意欲が削がれるでしょう。
結果的に成約率の低下、空室の長期化につながりかねません。
また、「衛生への懸念」は「治安への懸念」に直結します。廊下やエレベーター、ゴミ置き場が汚れているマンション・アパートだった場合、入居希望者は内見時に「こんなに汚いのは、乱暴な人が住んでいるからでは?」と不安を抱きます。つまり、清掃が行き届いていないだけで、衛生・治安の両面でのイメージダウンを招くのです。
結果として空室が埋まらず、収益悪化という深刻な問題を引き起こしかねません。入居者に選ばれるマンション・アパートであり続けるためにも、清掃による美観の維持に努める必要があります。
4. マンション・アパートのオーナーが取るべき対処法

「管理会社が清掃してくれない」という状況に直面した場合、オーナーは冷静に以下の対処法を取ることが大切です。
4-1. 契約内容を再確認する
まずは、管理委託契約の内容を確認しましょう。
契約書や管理業務委託の仕様書で、「共用部分の清掃」の記載をチェックします。清掃の範囲や回数が明記されているはずなので、オーナーの認識とズレがないか確認しましょう。
「ゴミ置き場の清掃は含まれていない」「巡回清掃の回数が少なかった」など、清掃業務の内容が明らかになるかもしれません。
書類を確認したら、問題点や疑問点を整理して次のステップに進みましょう。
4-2. 管理会社・管理員に要望書を提出する
つづいて、改善してほしい清掃の内容や、頻度を箇条書きにした要望書を作成し、管理会社宛てに提出しましょう。
「廊下の汚れが目立つため、週1回の清掃を週2回に増やしてほしい」といった現状の問題点と希望を明記し、管理員が常駐していれば手渡しで、そうでない場合は郵送またはメールで伝えます。
物件担当者だけでなく、可能であれば担当者の上長や、部署全体にも伝わるよう、CCや写しで共有すると効果的です。こうすることで、会社として対応すべき問題と認識させます。
要望書の提出後、管理会社からは何らかの回答や対応策の提示があるはずです。
4-3. 清掃作業の現場に立ち会い内容を確認する
管理会社へ清掃改善の要望を伝えたあとは、実際に清掃がどのように行われているか現場で確認することも重要です。
管理会社からは「指導しておきました」「善処します」と回答があっても、現場の清掃員にしっかりと指示が伝わっていなければ意味がありません。
オーナー自身が清掃に立ち会って、清掃員の作業内容を目視確認し、足りないところがあれば、その場で共有しましょう。
たとえば、「廊下は汚れが落ちにくいので、ブラシで擦ってほしい」「階段の隅まできちんと掃いてほしい」といった具体的な指示を清掃員に伝えます。
現場で直接指示するのは気が引けるかもしれませんが、清掃員にも「どの程度までやればオーナーの満足いく状態か」を把握しやすくなるというメリットがあります。結果的に今後の清掃の品質向上につながり、お互いのためになります。
なお、立ち会い確認は管理会社の担当者にも同席してもらうのが理想です。オーナー・管理会社・清掃員の三者で清掃内容・頻度の認識を細かくすり合わせれば、その後のトラブルを防げます。
4-4. 要望の通りに改善されたか確認する
清掃内容・頻度を見直したら、要望の通りに清掃が実施されているか、オーナー自身が定期的に現地に足を運んで確認しましょう。
遠方に住んでいて頻繁に行けない場合は、管理会社に写真報告を依頼するのも手です。
状況が変わらなければ、再度管理会社に連絡しましょう。一度目の依頼内容を踏まえ、「○月○日にお願いした件ですが、その後も改善が見られません」と事実を伝えます。
それでも改善されない場合は、次章でお伝えする「担当者や管理会社そのものの変更」を検討する段階と考えましょう。
5. マンション・アパートの清掃が改善されないときの対処法
ここまでお伝えした対策を講じても状況が改善されない場合、最後の手段として以下2つの対策を検討してみましょう。
5-1. 管理会社に担当者・管理員変更の要望を伝える
まずは、管理会社内の担当者や現場管理人を交代してもらいましょう。
担当者の怠慢やスキル不足によって清掃の対応が十分にされないのでれば、担当変更で事態が好転する可能性があります。問題を整理し、管理会社に改善・変更を申し入れましょう。
たとえば、「○月○日依頼の清掃改善が履行されない」といった客観的事実をもとに交替を求めます。
担当者の変更要求を出すこと自体は、オーナーの正当な権利なので心配はいりません。管理会社側でも、クレームがあれば担当者を変更して改善を図ることは珍しくありません。
要望が受け入れられ、新しい担当者が就任したら、改めて清掃を改善するようお願いしてみましょう。
また、常駐管理員や清掃員に問題がある場合も、管理会社に担当替えの要求はできます。
5-2. 管理会社を変更する
担当者を変更しても問題が解決しない場合、管理会社そのものの変更を視野に入れましょう。
長期間にわたり清掃の不備が改善しない管理会社は、管理体制自体に何らかの問題を抱えているおそれがあります。そのような問題が噴き出してくる事態を避けるため、管理会社の対応に改善の見込みがないと感じられたら、その時点で信頼できる会社に委託先を切り替えるのが得策です。
清掃対応がしっかりしている会社を見極めるためには、複数の管理会社から見積もりやサービス内容の提案を集めて比較検討しましょう。
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ここまで、管理会社が清掃してくれない原因と、オーナーが取るべき対処法を解説してきました。
共用部分の清潔さは入居者満足度や物件の評判を左右する非常に重要な要素です。
管理会社の対応に不満がある場合は、契約内容の確認から始め、段階的に改善を要請しましょう。
それでも状況が変わらなければ、担当者の変更や管理会社自体の見直しも視野に入れましょう。
物件を安心して任せられる管理会社を選ぶには、複数社を比較検討するのがポイントです。
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