賃貸借契約書の作成-15の必須項目と5つの注意点-

賃貸借契約書には、国土交通省の発行しているひな形があるため、それに沿って書いていけば、個人の方でもご自分で作成できます。法の専門家や不動産の専門家が作ったものではなくても、契約書に署名捺印がされれば、法的な効力が生じます。その分、契約書に書く内容には注意をする必要があります。今回は、個人オーナーがご自分で賃貸借契約書を作成する際に、気を付けることなどをまとめました。

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一般的には入居者の仲介をした不動産会社が契約書を作成しますが、以下の3点がクリアできているのであれば、法的には、オーナーが自分で賃貸借契約書を作成しても問題ありません。

  1. 契約内容を理解できていること
  2. 作成した文書が法的に通用すること
  3. 管理会社に頼まない理由が明解であること

1.不動産の賃貸借契約を自分で作る3大チェックポイント

賃貸借契約書とは、入居者に守ってもらうルールを文章にしたものです。オーナーがご自分の物件を人に貸す際には、賃貸借契約書がなくても、両者の合意があれば契約は成立します。しかし、賃貸借契約書があることによって、「言った言わない」によるトラブルは発生しにくくなります。

1-1.契約内容を理解できていること

賃貸借契約書に記載する内容を、オーナーが正確に理解している必要があります。契約書には、オーナーが入居者に対して、物件の使用を一定期間許可する代わりに、入居者は利用料として家賃や地代を支払うなどの、細かな取り決めが記載してあります。

賃貸借契約書は民法第601条(参照リンク)で規定されているため、貸す側・借りる側の双方が契約書に署名をすると、内容通りのことが法的に効力を持つようになります。そのため、オーナーが契約書を自作するときには、契約書に書いてあることが、具体的に何を意味していて、何を規定していて、何を許可・禁止しているのかなど理解している必要があります。

1-2.作成した文書が法的に通用すること

契約書ですので、法的に通用する文書になっている必要があります。たとえば、簡潔で明解な文書であり、誰が読んでもわかり・文章の矛盾がなく、誤字脱字がなく、現行の法令に沿っている、などです。ご自分では理解しているつもりでも、文の中に矛盾があると、その項目に関わる契約自体が無効になる可能性があります。

テンプレートを使えば、定型文は印字されていますが、その内容はごく一般的な内容であるため、ご所有の物件に沿ったものに加筆修正しなければならないケースもあります。入居中に何もなければ問題はありませんが、万が一のトラブルが起きた場合は、賃貸借契約の中にある文言が法的に効力を持ちますので、注意が必要です。

1-3.管理会社に頼まない理由が明解であること

一般的に、賃貸借契約書は仲介や管理を委託している不動産管理会社が作成します。契約内容に不備があった場合は、作成した不動産管理会社に責任が生じます。ご自分で契約書を作成する場合は、契約に関したミスはすべて、オーナーが引き受けることになります。

このようなことから、オーナーが不動産管理会社などの専門家に依頼せず、ご自分で契約書を作る場合には、それなりの理由が必要です。たとえば、将来的に自主管理大家を目指しているので、その第一歩として契約書作成をしたいとお考えであれば、万が一のトラブルも、大家業の勉強として受け止めることができます。

しかし賃貸借契約の場合、契約書の作成料は仲介手数料に含まれていますので、単に手数料が惜しいなどの理由であれば、不動産会社に作成してもらう方が、契約に関したトラブルが起きる可能性が少なく、安心した取引ができます。

【関連記事:【2025年版】評判の良い賃貸管理会社9選!チェックポイントを解説

2.賃貸借契約書を自分で作るメリット

賃貸借契約書をオーナーがご自分で作成した場合の、メリットを3つにまとめています。

  1. 経費削減ができる
  2. 賃貸経営がカンタンになる
  3. 不動産経営の勉強になる

2-1.経費削減ができる

賃貸借契約書は、入居1物件ごとに作成します。アパートなどの集合住宅を経営している場合、契約書作成をご自分ですることによって、経費削減が可能です。入居者募集を不動産会社に依頼していても、契約書の作成料(事務手数料)を割り引いてもらうことができます。(※不動産会社によります)

たとえば、1物件あたり3,000円の事務手数料だった場合、20室の新築アパートであれば、初年度に6万円の経費削減ができます。また、更新契約のたびに事務手数料を支払う必要がなくなります。

2-2.賃貸経営がカンタンになる

自主管理をする場合は、入居者募集・内見案内・家賃の集金・クレーム処理・建物のメンテナンス・賃貸経営に関する雑務と事務手続きも、すべてオーナーが行いますので、経営がシンプルになります。

管理委託をすると、管理会社の働きぶりによって管理状態が変わってしまうため、良い会社に巡り合うまでは、オーナーにとってストレスの多い状態になります。自主管理をすることにより、不動産管理会社を探す必要がなくなり、委託料・代行手数料などがすべて発生しなくなりますので、会計上もシンプルになります。

2-3.不動産経営の勉強になる

自主管理・一部委託管理などのさまざまなスタイル含め、賃貸借契約書をオーナーがご自分で作成することによって、賃貸経営に関した理解は深まります。契約書を正確に作成するためには、不動産賃貸に関した法律や条文をよく理解し、契約書作成のノウハウも勉強しておく必要があります。
必要であれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談に行き、間違いを訂正してもらうことで、より知識が付いていきます。知識が深くなれば、賃貸経営へのとりくみもより積極的になり、より良い経営につながりやすくなります。

3.賃貸借契約書を自分で作るデメリット

賃貸借契約書をご自分で作成した場合の、デメリットをまとめました。

  1. とにかく手間暇がかかる
  2. 法的に不利益が発生するリスク
  3. 入居率が下がる可能性

3-1.とにかく手間暇がかかる

賃貸借契約書を正確に作成するには、法律や不動産の専門知識が必要です。ネット上のテンプレートを参考にしたとしても、契約内容・文章の矛盾などを、ご自分の物件と照らし合わせて、間違いないかを、ひとつひとつチェックしていく必要があります。

うまく書けたと思っても、多くの方は、ご自分で契約書作成をする機会がありませんので、出来上がった契約書が法的に通用するものなのか不安になります。その結果、法律の専門家に足を運んで確認をする必要があるなど、時間と労力がかかる傾向があります。

3-2.法的に不利益が発生するリスク

契約書は法的な効力を持つ文書であるため、文の中にあることは法的に守られますが、そこに書かれていないことについて規制することができません。ご自分で作成した賃貸借契約書の場合、記載内容のミス・漏れ・認識違いなどが原因で、入居者とのトラブルに発展する可能性が高くなります。

トラブルが大きくなった場合、契約書に定めのない内容は、法的に主張ができないため、オーナーが不利益を被る可能性があります。

3-3.入居率が下がる可能性

お部屋探しをする方も、入居トラブルは避けたいと思っています。一般的に、入居者・入居者候補とも、オーナーの方が圧倒的に強い立場だと感じていますので、万が一のトラブルの時に、間に立ってくれる不動産管理会社が存在しないと思われる物件は、お部屋探しの優先順位が下がる可能性が高くなります。

これは、賃貸借契約書の自作が良い悪いではなく、お部屋を借りる方の、一般的な心理といえます。その結果、賃貸借契約を自作する物件には、それを良しとしてくれるタイプの方しか入居してこないという点にも、注意しておく必要があります。

【関連記事:【簡単解説】「賃貸管理」の基礎知識|管理会社に任せるべきかを検討する

4.契約書に盛り込む15項目+テンプレート

契約書に必要な項目を、どのような物件にも合うように15項目にまとめました。また、作成の際の参考として、ネット上で手に入るテンプレートも紹介します。

  1. 物件情報
  2. 使用目的
  3. 設備と残留物
  4. 契約期間
  5. 借家契約の種類
  6. 賃料・共益費
  7. 支払い方法など
  8. 貸主と管理者の情報
  9. 入居者の情報
  10. 連帯保証人・保証会社の情報
  11. 更新・解約に関したこと
  12. 違約金の対象となる内容
  13. 退去時の原状回復
  14. ハウスクリーニング条項ほか
  15. 特記事項
  16. テンプレート(ひな形)

4-1.物件情報

賃貸借契約の対象になる物件情報を記載します。

・建物名称
・所在地
・構造や建物の種類
・築年数
・物件の間取り、面積

4-2.使用目的

物件の使用目的を記載しておきます。例えば、住居・店舗・事務所などです。使用目的を書いておくことにより、住居として賃借したものが、勝手にお店や事務所として使われてしまうようなことを防止する効果があります。

4-3.設備と残留物

設備は物件に附帯しているもので、入居者が使うために用意したものです。残留物とは、前の入居者が残していったもの全般を指します。たとえば、シーリングライト・温水便座・エアコンなどです。

4-4.契約期間

賃貸借の契約期間を定め、「始期○年○月○日から終期○年○月○日」などのように記載します。

4-5.借家契約の種類

賃貸借の契約には、普通契約以外に更新のない定期借家があります。

4-6.賃料・共益費

家賃、共益費、敷金、礼金、駐車場料などを記載します。

4-7.支払い方法など

支払い期限、口座振込先、振込手数料負担、現金の場合の対応などを記載します。

4-8.貸主と管理者の情報

住所、氏名、電話番号、不動産管理会社の場合は登録番号も明記します。

4-9.入居者の情報

住所、氏名、生年月日、勤務先、家族の情報などを記載します。

4-10.連帯保証人・保証会社の情報

保証人の氏名・住所・連絡先、保証会社の名称・所在地・登録番号・担当者などを記載します。

4-11.更新・解約に関したこと

更新料・事務手数料、解約通告期間(30〜90日程度)を明記します。

4-12.違約金の対象となる内容

早期解約、転貸、家賃滞納など違約金が発生するケースを記載します。

4-13.退去時の原状回復

入居者負担・オーナー負担の範囲を記載します。

4-14.ハウスクリーニング条項ほか

クリーニング費用を誰が負担するか、事前告知の方法などを明記します。

4-15.特記事項

一般条項以外で取り決めておくべき内容を記載します。

4-16.テンプレート(ひな形)

ネットで入手できる契約書テンプレートを紹介します。

・賃貸住宅標準契約書(家賃債務保証業者型)[PDF形式(リンク)]
・契約書本体[Word形式(リンク)]
・承諾書例[Word形式(リンク)]

【参照:国土交通省 賃貸住宅標準契約書

5.自分で賃貸借契約書を作るときの5つの注意点と対策

  1. ミスを指摘してくれる人がいない
  2. トラブル発生時は契約書の内容が優先する
  3. ネットには載っていないことが起きる可能性
  4. 不動産のプロによる問題解決ができなくなる
  5. 不動産管理のプロのノウハウが習得できない

5-1.ミスを指摘してくれる人がいない

ご自分で契約書を作ると、文中のミスを指摘してくれる第三者がいません。はじめての作成時は必ず専門家に確認をしてください。

5-2.トラブル発生時は契約書の内容が優先する

契約書に書いていない内容は法的主張ができません。違約金条項など重要文面を漏らさないよう注意が必要です。

5-3.ネットには載っていないことが起きる可能性

入居者トラブルは多様で、契約書の記載漏れによって大きなトラブルになる可能性があります。

5-4.不動産のプロによる問題解決ができなくなる

不動産管理会社には豊富な対応ノウハウがありますが、自主管理ではそれが使えません。

5-5.不動産管理のプロのノウハウが習得できない

自主管理を希望する場合でも、最初は不動産管理会社に委託してプロの業務を見て学ぶことが推奨されます。

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