【簡単解説】賃貸管理業を5つのポイントで解説|賃貸住宅管理業法との絡みも解説

この記事は「賃貸管理業」をできるだけ簡単に理解できるよう、「概要」「具体的な業務内容」「開業の仕方」等、大きく5つの切り口から簡潔に解説しています。
この記事でわかること
- 賃貸管理業の概要や具体的な業務内容
- 賃貸管理業の始め方
- 賃貸住宅管理業法が賃貸管理業に課している義務 等
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1.賃貸管理業とは
賃貸管理業は正式には「賃貸住宅管理業」と呼ばれ、オーナーから委託を受けて、家賃や敷金の管理を含む物件全体の維持保全業務を行う事業です。 業務内容は主に
- 物件の清掃
- 物件の点検や修繕
- 清掃・点検・修繕とあわせて、家賃・敷金などの金銭管理になります
金銭管理のみを行う場合は賃貸管理業の定義に当てはまりません。
2.賃貸管理業の業務内容 一覧
賃貸管理業の業務内容は大きく以下3つに分類されます。
〈賃貸管理業の業務内容〉
- 入居支援業務
- 契約管理業務
- 物的管理業務
それぞれの業務について解説します。
2-1.入居支援業務 一覧
入居者の募集から審査・契約締結準備・物件の立ち合い確認など、入居時に行う事は多数あります。 主要な入居支援業務は下表のとおりです。
<入居支援業務の内容>
- 募集業務
- 入居審査
- 入居準備
- 鍵交換
- 室内点検
- 重要事項説明(賃貸借の管理に関する記載)
- 管理受託契約に関する書面交付
2-2.契約管理業務 一覧
入居時の立ち会いから解約までさまざまな業務を担います。
主要な契約管理業務は下表のとおりです。
<契約管理業務の内容>
項目 | 業務内容 | 具体事項 |
---|---|---|
家賃や管理費などの徴収業務 |
|
|
運営や調整業務 |
|
|
契約更新業務 |
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|
解約業務 |
|
|
2-3.物的管理業務 一覧
建物や各設備について入居者が問題なく利用できるよう管理します。 主要な物的管理業務は下表のとおりです。
<物的管理業務の内容>
管理対象 | 業務内容 |
---|---|
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|
3.賃貸管理業を始めるには?
賃貸管理業を運営するための資格の取り方と開業方法を解説します。
3-1.資格の取り方
賃貸管理業を始める際は、国家資格である「賃貸不動産経営管理士(賃貸管理士)」を取得する必要があります。
賃貸住宅の管理についての知識や能力が求められ、試験は年1回、毎年11月に実施されます。
賃貸管理士の資格の取り方は以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
3-2.開業の仕方
賃貸管理業を開業する際は、下表のとおり事前準備が必要です。
<賃貸管理業の開業準備>
項目 | 内容 |
---|---|
賃貸住宅管理業者の登録 |
|
業務管理者の決定と配置 |
|
物件のオーナーと管理委託契約を結ぶ |
|
上表の項目以外にも法人として開業する際は、会社設立の手続きや定款の作成などが必要となります。
4.賃貸住宅管理業法と賃貸管理業について
賃貸住宅管理業法により、管理物件が200戸以上有する賃貸住宅の管理を業務とする会社は、国土交通省への届け出が必要とされています。
逆を言うと、例えば賃貸オーナー自身が管理業務を行っているとして、その戸数が200戸以下であるならば、届け出をしなくても良いということになります。
ここでは、賃貸住宅管理業法について解説します。
4-1.賃貸住宅管理業法と登録制度
賃貸住宅管理業法は、入居者が快適に住める環境の安定化を図るための法律です。
管理物件が200戸以上の場合は賃貸住宅管理業の登録が必要ですが、200戸未満であれば登録は不要となります。 ただし、
- 将来事業拡大をする可能性がある場合
- 社会的信用を高めたい場合
は、200戸未満でも登録するのがおすすめです。
4-2.賃貸住宅管理業法が、管理業者に義務づけていること
賃貸住宅管理業法は、管理業者に例えば以下のことを義務付けています(一例)
<管理業者に義務付けていること 一例>
- 業務管理者の配置
- 管理受託契約締結の手続き
- 財産の分別管理
- 委託者への定期報告
上記以外にも業務に関する帳簿を備えつけたり、事務所(営業所)ごとに見やすい場所へ標識を掲げたりする必要があります。
4-2-1.業務管理者の配置
業務管理者とは、賃貸物件の維持や管理を行う国家資格者です。 業務管理者になる要件は以下の2つがあります。
〈業務管理者の要件〉
- 管理業務に関する2年以上の実務経験+登録試験に合格した者
- 管理業務に関する2年以上の実務経験+宅建士+指定講習を修了した者
実務経験に関しては、それに代わる講習を修了している場合も対象です。
令和2年までに賃貸管理士(賃貸不動産経営管理士)に合格し、令和4年6月までに登録した場合で講習を受講した方も「2年以上の実務経験+登録試験に合格した者」に該当されます。
営業所や事務所単位で1名以上の業務管理者を配置する義務があり、従業員には従業者証明書を携帯させる必要があります。
4-2-2.管理受託契約締結時の手続き方法
管理受託契約とは、物件のオーナーと賃貸住宅管理業者の間で締結される契約です。 契約書には以下の内容が記載されます。
<管理受託契約の内容>
- 業務の内容と実施方法
- 費用
- 再委託の近視
- 免責事項 など
管理受託契約を締結する前には契約内容(重要事項)を説明し、オーナーに対して書面で交付する必要があります。
4-2-3.財産の分別管理
賃貸住宅管理業を行う際は、自己保有の財産と入居者から預かる金銭(家賃や敷金など)を分別して管理する必要があります。 具体的な管理方法は以下が挙げられます。
<財産分別の管理方法>
- 家賃や敷金など入居者から受領する金銭の専用口座と、自社の財産の専用口座を分けて用意する
- 入居者から受領した金銭が管理業務によるものとわかるように会計ソフト上で管理する など
参考:賃貸住宅管理業法ポータルサイト「賃貸住宅管理業の登録」
財産の分別管理を適正に行うには賃貸管理システムを活用するのがおすすめです。賃貸管理システムについては、以下の記事で詳しく解説しています。
4-2-4.委託者への定期報告
賃貸住宅管理業者は、業務の実施状況を少なくとも年1回以上のペースで物件のオーナーに報告する必要があります。
<定期報告の内容>
- 家賃や敷金などの金銭の収受状況
- 物件の維持保全の実施状況
- 入居者からの苦情や対応状況 など
参考:賃貸住宅管理業法ポータルサイト「賃貸住宅管理業の登録」
物件のオーナーは定期報告を受けることで管理状況を適切に把握できるほか、空室改善や設備工事などの提案も受けられるでしょう。
「賃貸管理業法」については、以下のリンクを参照ください。
5.賃貸住宅管理業法によるオーナー側のメリット
賃貸住宅管理業によるオーナー側のメリットは主に以下の2つです。
<登録制度によるオーナーのメリット>
- 悪徳管理会社が淘汰される
- 管理会社とのトラブルが減る
それぞれのメリットについて、具体的に解説します。
5-1.悪徳管理会社が淘汰される
賃貸住宅管理業への登録は、以下の要件を満たせないとできません。
〈賃貸住宅管理業への登録要件〉
- 令和2年度までに試験に合格し令和4年6月までに登録+「移行講習」を修了
- 令和3年度以降の試験に合格し登録(証明)+管理業務に関する2年以上の実務経験
- 宅建士+指定講習を修了+管理業務に関する2年以上の実務経験
上記のとおり、登録にはある程度の実務経験と知識が必要なため、まったく経験がない悪徳な管理会社を除外できます。 また、登録後も適切な管理業務が義務づけられており、法令違反があると登録取り消しの対象になります。
5-2.管理会社とのトラブルが減る
賃貸住宅管理業の登録に一定の要件があることで、適切な管理が行える業者に依頼できます。
登録制度が整っていないときは、管理会社が預かった家賃や敷金などを使い込むトラブルがありました。
しかし、登録制度が整備されてからは管理面での要件も定められ、トラブルが未然に防げるようになっています。
また、入居状況や収支などについても定期的に報告されるため、オーナーは賃貸経営や建物・設備の状況も正確に把握できます。
まとめ
賃貸管理業は正式には「賃貸住宅管理業」と呼ばれ、オーナーから委託を受けて、家賃や敷金の管理を含む物件全体の維持保全業務を行う事業です。
その業務は、家賃の徴収や設備の維持保全から入居者支援、契約管理まで多岐にわたります。 また、「賃貸住宅管理業法」により、適正な業務の遂行を目的としたさまざまな義務が定められています。
この記事のまとめ
賃貸管理業とは?
賃貸管理業は物件のオーナーから委託を受けて管理業務を行います。具体的な業務は以下が挙げられます。
・家賃や敷金の徴収・建物や設備の維持保全
詳細は「1.賃貸管理業とは」にて解説しています。
賃貸管理業の業務内容は?
賃貸管理業の業務内容は大きく以下3つに分類されます。
・入居支援業務 ・契約管理業務 ・物的管理業務詳細は「2.賃貸管理業の業務内容」にて解説しています。
賃貸住宅管理業の登録制度によって、オーナーにメリットが生まれます。
・悪徳業者が淘汰される・管理会社とのトラブルが減る
詳細は「5.賃貸住宅管理業の登録制度によるオーナー側のメリット」にて解説しています。
この記事の編集者
賃貸経営HOME4U編集部
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