家族で転勤することになると、今住んでいる家は空き屋になってしまいますが、転勤期間だけでもマイホームを賃貸に出すことができます。貸している間は、家賃収入が得られるほか、家の劣化防止や防犯にもつながるので、前向きに検討したいオーナーは多いかと思います。本記事では、転勤で家を人に貸した場合の、疑問点や不安点を、やさしくまとめています。

1.転勤で家を貸す前に確認する8つのチェック項目

転勤が決まり、家族で転勤先に移動すると、今住んでいる家は空き屋になります。転勤の間、家を貸したら、マイホームに関したことがどうなるのかを8つにまとめました。現実にできることを優先させる必要があるため、ご自分とご家族にとって、よりデメリットの少ない選択をするようにしてください。

  1. 住宅ローンはどうなるの?
  2. 住宅ローン控除はどうなるの?
  3. 賃料収入を得たら税金は増える?
  4. 売ったらどうなるの?
  5. いくらで貸せるの?
  6. 転勤が長引いたらどうなるの?
  7. 空家にしたらどうなるの?
  8. 賃貸中の管理はどこに任せるの?

1-1.住宅ローンはどうなるの?

住宅ローンはマイホーム購入のための融資であり、その住宅にはローン借主が居住している必要があります。しかし、転勤によって一時的な住所変更が起きるときには、事前に金融機関に相談と届け出をすれば、今まで通りに住宅ローンが使えます。その際、以下の要望を、わかりやすく伝える必要があります。

  1. 転勤というやむを得ない理由でマイホームを離れなければならない
  2. 単身赴任はしたくないので、家族と一緒に転勤することにしたい
  3. 転勤が終了したら、ふたたび、マイホームに戻って家族と住む
  4. 転勤中だけ人に貸し、家賃収入を得て住宅ローンの支払いにあてる

つまり、賃貸をする目的が不動産投資や商用目的ではなく「マイホームを維持するため」と「住宅ローンを返済するため」であることを、金融機関に理解してもらえれば、ほとんどのケースで転勤中の一時貸しは認めてもらえます。転勤によってローン返済中のマイホームを、一時的に賃貸に出すことを「リロケーション」ともいいます。

「転勤の間だけだから」という自己判断で、金融機関に無断で賃貸をはじめてしまうと、契約不履行などの理由で、一括返済や事業用ローンへの借り換えを求められるケースもありますので注意してください。

1-2.住宅ローン控除はどうなるの?

住宅ローンのある家を転勤中に貸す「リロケーション」をしている期間は、住宅ローン控除は受けられません。ただし、住宅ローン控除の適用期間中である10~13年以内に、マイホームに戻った場合は、期間の残存内であれば住宅ローンが再び適用されます。

どうしても住宅ローン控除を全期間受けたい場合は、単身赴任または、家族の誰かがマイホーム残って住んでいる必要があります。ただし、ローン借主が単身者の場合に限り、転勤中にその方の親族が住むことによって、住宅ローン控除を適用し続けることができます。住宅ローン控除に関した相談先は、金融機関ではなく、所轄の税務署になります。
【参照:国税庁 転勤と住宅借入金等特別控除等

1-3.賃料収入を得たら税金が増える?

転勤のためにマイホームを貸すと、家賃収入が発生しますので、所得税の対象になります。年間賃料収入から、必要経費を差し引いた金額が20万円以上ある場合は、確定申告による所得税の支払いが必要になる場合があります。必要経費とは、マイホームに関した次のような費用のことです。

  • 不動産会社への管理手数料 賃料×5~10%(月額)
  • 固定資産税・都市計画税
  • 減価償却費
  • 修理修繕費
  • 火災地震保険料

実際に、税額がいくら増えるのかは、給与所得で得ている金額と、マイホームの賃料、さまざまな控除の合計額によって変わります。詳しい計算方法などに関しては、関連記事も参考にしてください。

家を貸すと税金は増える?節税になる?計算や確定申告方法を解説

1-4.売ったらどうなるの?

転勤が決まり、人に貸す前の段階でマイホームを売るのは、普通の売却です。売却代金によってローンを完済させ、その他の必要経費を差し引いて手残りがあれば利益になります。マイホームの場合は、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」、いわゆる3,000万控除が適用されます。

転勤によって家を貸し出してから、あとで売却することもできます。たとえば、転勤の後にまた別の場所に転勤が続き、その間に子供も成長してしまったので、元の家には戻らないケースなどです。

賃貸中のままで売却する場合は、普通の売却ではなくオーナーチェンジ物件です。買い主も自分が住むのではなく、賃貸に出すことが前提で購入することになります。このような売却方法は、買い手を限定させてしまうため、売却額が下がってしまう可能性もあります。

転勤中のマイホームの賃貸は、基本的に定期借家という期間限定の貸出方法ですので、契約時に設定をした貸出期間を待ってから売却をする方が良いと言えます。賃貸中に売却する場合でも、3,000万円控除が適用されますので、3,000万円を超えた利益に対してのみ、所得税が発生します。ローンが残っている状態では売却はできませんので、売却を検討した段階でいちど、住宅ローンを受けている金融機関に相談をしてください。
【参照:国税庁 マイホームを売ったときの特例

1-5.いくらで貸せるの?

賃料設定は、同エリア・スペックの住宅の相場家賃から1~2割下げた金額からスタートになります。たとえば、20万円の物件であれば、18万円前後が設定されることになります。

これは、転勤による定期借家契約という、貸出期間が決まった契約方法になるためです。法律上、一般の賃貸契約では、入居者が自分から「退去します」と言うか、正当な理由がない限り、オーナーから退去を命じることができません。

しかし、定期借家という住める期間が決まっている契約方法では、期限が来たら明け渡しをしなければなりません。このように、オーナーが有利な契約方法であるため、その分、賃料を相場よりも低くすることで、入居者とのバランスをとっています。
【参照:借地借家法第38条第1項

1-6.転勤が長引いたらどうなるの?

転勤が長引いた場合でも、不動産管理会社に委託をしてあれば、家を賃貸に出し続けることができます。
転勤中は期間限定の定期借家にしてありますので、更新ではなく、契約期間が終了する6~8カ月以上前に、管理会社から期間延長の打診をして、入居者が承諾すれば再契約されます。

たとえば、5年の予定で賃貸を予定していた場合、現在の入居者が希望すれば、契約期間を延長した再契約ができます。退去した場合でも、不動産管理会社が新規入居者を募ってくれます。

転勤先が変わるたびに、金融機関には住所移転届を出す必要がありますが、転勤が継続していることが確認できていれば、住宅ローンを続けることができます。

1-7.空家にしたらどうなるの?

転勤中に家を貸さないで、空き家にしておくこともできます。ただし、空き家になった家は劣化しやすくなるため、不定期でも、空気の入れ替えや庭木の掃除などには来る必要があります。何もしないで放置しておくと、湿気によるカビの発生、落ち葉や枝の伸びによるご近所トラブル、防犯の問題や水回りの問題などが起きやすくなります。

ご自分で管理するのが難しい場合は、不動産管理会社に定期巡回を委託しておくこともできます。また、空き家にした場合は、住宅ローンの支払いをご自分でする必要が出てきます。

1-8.賃貸中の管理はどこに任せるの?

転勤中の家を人に貸す場合、入居者探しと管理は不動産管理会社に任せます。転勤は会社の辞令に沿って動くことになりますので、数年で戻る可能性があります。そのため、入居者が更新を希望する限り続く普通契約ではなく、一定期間が終了したら契約が解除できる、定期賃貸借契約にします。

転勤中に家を貸すと、賃料収入が発生して税金が増えることがあります。利益がある場合は、確定申告をする必要もあり、いろいろと手間が増えることは確かです。しかし、短い間でも誰かが借りてくれることによって、住宅ローンを支払ってくれるなど、良い面もあります。

管理プランにもさまざまな選択肢がありますので、ご自分たちがして欲しい管理を、転勤のタイミングやご家族の情況に合わせて、自由にカスタマイズすることもできます。「賃貸経営HOME4U」の一括プラン請求で、たくさんの経営管理プランを比較することにより、自分たちご家族にぴったりな管理プランが見つかりやすくなります。

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2.転勤中に家を貸す方法2タイプ

転勤中に家を貸すことが決まったら、次は、貸し方について理解しておきます。マイホームの貸し方は、以下の2タイプがあります。

  1. 仲介管理契約で貸す
  2. サブリース契約で貸す

2-1.仲介管理契約で貸す

不動産管理会社に、仲介と管理の両方をお任せするタイプの契約方法です。一般的な不動産賃貸とほぼ同じですが、転勤中のみの賃貸であるため、入居者との契約方法が「定期借家」という期間限定の貸し方になります。

国内転勤で、管理会社とメールや電話で連絡が取れるのであれば、この方法を取るのが一般的です。賃貸経営の主導権がオーナーにありますので、家賃設定・入居審査などもご自身で参加します。ただし、自然災害・火事・事故などの大きなトラブルがあった場合は、オーナーが自ら現場に行き、状況確認をしなければならないケースもあります。

2-2.サブリース契約で貸す

不動産管理会社に賃貸物件を借り上げてもらう方法です。サブリース契約時に決めた月額サブリース料を、経営状態とは関係なく、毎月必ず振り込んでもらえます。

管理会社が賃貸経営のすべてを取り仕切りますので、オーナーは経営に一切タッチしなくなります。転勤先が海外や離島、市街地から離れた場所であるなど、移動や連絡がスムーズにいかない場合は、こちらの契約方法のほうが負担は少なくなります。

家を借り上げた管理会社が、オーナーとして賃貸経営をするため、空室や滞納の心配がありません。代わりに、経営リスクを含んだサブリース価格設定になるため、大きな利益は期待できない傾向にあります。住宅ローンの支払いがある場合は、かならず月額の返済額以上になるように注意してください。

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転勤中のマイホームに、どのような貸し方が適しているのかは、ご自分で悩むよりも、不動産賃貸のプロフェッショナルに相談した方が早いと言えます。NTTデータグループが運営する、日本最老舗の不動産情報サイト「賃貸経営HOME4U」の一括プラン請求であれば、一度の入力でたくさんの経営プランを比較できます。

良質な不動産管理会社にお任せすることで、大切なマイホームを転勤中にしっかり守ってもらえます。さらに、住宅ローン支払いがカバーできるだけの価格設定にすることにより、転勤後に戻る家を手放さなないで済みます。まずは、複数のリロケーションのプランを請求してみてください。

3.転勤で家を貸す4つのメリット

転勤で家を貸す、メリットを4つにまとめています。

  1. 賃料収入が入る
  2. 家が傷まない
  3. 帰る場所がある
  4. 後で売ることもできる

3-1.賃料収入が入る
転勤中に家を貸すと、その分がプラス収入になります。住宅ローンが残っている場合、転勤中だからといって、毎月の支払が免除されるわけではありません。人に貸しておけば、その期間だけでも、他人が住宅ローンを支払ってくれることになりますから、大きなメリットといえます。

賃料設定は、毎月の返済額に、帰って来た時の内装変更費用も上乗せした代金にしておけば、転勤から戻った時にも、フローリングや壁紙を取り換えて、気持ち良く暮らせます。

3-2.家が傷まない

転勤先では仕事や学業があるため、オーナーもご家族も、滅多にマイホームがあるエリアに戻って来ることができません。家は人が住まなくなると、劣化しやすくなります。

また、給排水をしなくなるため、水道管もサビやすくなります。放置しておくと水道管の亀裂などが原因の漏水が起こり、家屋全体を傷める可能性があります。庭木がある場合は、秋から冬にかけて枯れ葉がたまれば、火事の原因になりやすくなるなど、人が住んでいない家は、人がいないことが理由で、どんどん劣化いていく傾向があります。

人に貸していれば、毎日の生活の中で空気の入れ替え・給排水管の使用がありますので、劣化速度はご自分たちが住んでいるときと同程度になります。

3-3.帰る場所がある

転勤がどのくらい続くかは、ご自分の希望通りにはなりません。転勤後にまた別の場所に転勤になる可能性は十分にあります。家を売らずに残しておけば、次の転勤がマイホームから2~3時間圏内であれば、ご自分は単身赴任にして、ご家族だけ家に戻るなどの選択肢ができます。

今の職場から転職する可能性もゼロではありませんから、持ち家があれば、いつでも転職や再就職ができます。どのような選択をしたとしても、サラリーマン生活が終わった後に、自分の家があるというのは、精神的な支えにもなります。

3-4.後で売ることもできる

転勤で人に家を貸して、後から売却することもできます。転勤が長期にわたる可能性がある場合は、家族と話し合ったうえで、売却も視野にいれてください。また、家賃設定が住宅ローンの月額返済に届かず、毎月持ち出しが続いている場合や、空室が続く場合にも売却を検討してみてください。

売却することでローン負担がなくなれば、転勤が落ち着いたタイミングで、新しくマイホーム購入を考えることができます。マイホームとして3,000万控除が適用されますので、所得税は3,000万円以上の部分にしか課税されません。売却に関しては、不動産管理をお願いしている会社に相談をすれば、適切な提案をしてもらえます。

4.転勤で家を貸す4つのデメリット

転勤中に家を貸すことのデメリットを4つにまとめています。

  1. 貸すためのさまざまな条件がある
  2. 貸すために経費や労力がかかる
  3. それなりに家は劣化する
  4. 空室や滞納の可能性は常にある

4-1.貸すためのさまざまな条件がある

転勤中に家を貸すためには、まずは住宅ローンを借りている金融機関に許可を得る必要があります。マイホームが分譲マンションの場合は、管理組合に連絡をして一時貸(転勤によるリロケーション)を許可してもらう必要があります。

マイホームにかけてある火災保険は加入しつづけます。入居者には家財保険に加入してもらいますが、家の構造や屋根外壁などの修理修繕は、入居者の過失であっても、原則としてオーナーに支払い義務があります。金銭負担を減らすために、入っていた火災保険をはずしてしまうと、自然災害や火事で大きなダメージがあった場合でも、修繕は自己負担になります。

4-2.貸すために経費や労力がかかる

貸出前の準備などにお金と労力がかかります。賃貸の準備としては、給湯・空調・照明・テレビとネット・インターフォンなど、今まで使っていた設備は、本来の役割が果たせる状態に、点検と修理修繕をしておく必要があります。念のため、施工会社に連絡をして、屋根と外壁の点検もしておいた方が良いと言えます。

室内外の点検が終わったら、使っていた家財道具を運び出したうえで、室内をクリーニングしてもらいます。家財道具類を引っ越し先に持って行かない場合は、トランクルームに保管しますので、毎月の保管料が発生します。不動産管理会社には、毎月の委託料が発生します。どれも家を貸すためには必要な準備と労力であるため、省くことはできないと言えます。

4-3.それなりに家は劣化する

ご自分たち家族が使っても、他人に貸して使っても、何年か人が住めば家は必ず劣化します。内装外装とも、消耗をしてヨゴレがつき、破損もします。マイホームを貸す場合は、ご自分たちが住んでいた家に、生活様式も習慣も違う人たちが住むことを前提に、自分たちが想像できないヨゴレや傷みが生じることを想定しておいてください。

家を極力劣化させないためには、一般的な賃貸物件で禁じられている行為、たとえば、ペンキ不可・釘打ち不可・ペット不可・事務所利用不可などの禁止行為を、契約書に盛り込んでおいてください。それでも、転勤後には、家の中が前と同じというわけにはいかないことは、理解しておく必要があります。

4-4.空室や滞納の可能性がある

転勤中のみ貸す場合でも、普通の賃貸経営と同じような経営リスクがあります。転勤中の一時貸ということは、一般の賃貸物件のように、気に入ったらずっと更新をして住める物件ではありません。

そのため、一時貸し(リロケーション)を希望する入居希望者は、その方も同じく、転勤による一時的な住居を探しているか、改装などによる仮住まいを希望している方ということになります。

このような条件の中での入居者募集になりますので、普通の賃貸募集よりも、入居者探しには時間がかかる可能性があり、空室が続くことがあります。さらには、入居者が家賃を滞納する可能性もあります。

経営リスクを回避するためには、賃貸管理会社に賃貸管理を委託しておき、督促業務をしっかり行ってもらう必要があります。契約の際に保証会社をつけることにより、家賃保証をしてもらえます。また、サブリース契約をすると、滞納などに関した心配が全くなくなります。

5.転勤中でも安心して家を貸せる不動産管理会社のさがし方

信頼と実績の高い不動産管理会社に委託をすれば、転勤中のマイホームの心配は、ほとんどなくなります。将来的に家に戻らない可能性があることも前提に、売却にも強い会社を選んでおくほうが良いといえます。本章では、安心してマイホームをお任せできる、不動産管理会社のさがし方をまとめています。

  1. たくさんの賃貸管理プラン比較をする
  2. 気になる会社の担当者には会って相談
  3. 管理実績が1万件以上ある会社を基準にする
  4. リロケーションに強い会社から選ぶ
  5. 売却にも強いかを確認しておく

5-1.たくさんの賃貸管理プラン比較をする

不動産管理会社にも個性があり、さらにエリアにも地域性というものがあります。理想は、不動産管理会社としての実績が多く、さらに、地元のことに詳しい会社です。このような会社を、はじめて家を賃貸に出す方が自力で見つけるのはむつかしいと言えます。

このようなときには、不動産情報サイトの一括プラン請求を使って、複数の不動産管理会社に管理プランを一括請求することをおすすめします。NTTデータグループの運営する「賃貸経営HOME4U」の一括プラン請求であれば、一度の入力で複数の不動産管理会社に、一度にプラン請求が可能です。手元に数多くのプランが揃ったら、エリアに強く管理実績の高い会社はどこかを、じっくりと比較してください。

5-2.気になる会社の担当者に会う

一括プラン請求をして、気になるプランや会社が出てきたら、次はその会社の担当者と直接会ってみてください。賃貸物件で入居者に対して窓口になって対応してくれるのは、不動産管理会社の社員です。

対応が良ければ、賃貸経営もスムーズであり、問題が起きた場合でもトラブルを最小に収めることができます。そのため、できるだけ会って、印象や態度などを観察してみる必要があります。遠方の場合は、もちろんオンライン面談でも問題ありません。

面会をした際には、賃貸経営における不安や不明点を、いくつか相談してみてください。対応はバラバラでも、どこの会社も同じことを提案する内容と、会社によって違う回答をしてくることがあります。このような違いが、会社の個性、エリアの個性ということになりますので、あとで、会社を比較するときの参考になります。

5-3.管理実績が1万件以上ある会社を基準にする

気に入った会社が絞り込まれてくると「どれも良さそう」と選び切れないときがあります。そのような時には、管理実績の多さで優先順位をつけてください。めやすは、管理実績が1万件以上あることです。

1万件は、年間1,000件の管理物件を10年続けると達成できる数字です。中小の不動産会社であっても、10年も続けていれば、信頼と実績を積み上げてきた実力があることが証明できます。これより少ないからと言って、その会社にマイナスな要素があるわけではありません。

しかし、不動産管理は入居者という、そこに住んでいる人を相手にする仕事です。ネットとデータだけではなく、現場体験という経験則が結果を左右する業務も多いため、実績の多い会社の方が、経営管理全体がスムーズになります。

5-4.リロケーションに強い会社を選ぶ

海外赴任・転勤・長期出張などでご自宅が留守になる期間、マイホームを一時貸することを、不動産業界用語で「リロケーション(relocation)」と言います。住んでいた家を人に貸し出すため、普通の賃貸経営よりも考えるべきことが多く、オーナーと家族がすべてを自力で対応することはむつかしくなります。

不動産管理会社の中でも、リロケーションやサブリースに経験値の高い会社を選ぶと、ノウハウが確立されており、個別の事情に沿ったスムーズな進行が期待できます。多くの場合、入居者が決まるのは転勤後になることが多いため、不動産管理会社には、なるべく多くの賃貸に関した業務を委託できる方が、オーナーの負担が少なくなります。

リロケーションに強い不動産管理会社は、一時貸し経営のデメリットも良く理解していますので、そのことを踏まえたうえで、なるべく早期に入居者が決まるように動いてくれます。そのため、転勤で家を貸すことを検討し始めた段階で、まずは相談をして、賃貸経営プランの内容を確認するようにしてください。

5-5.売却にも強いかを確認しておく

転勤が長期に及ぶと、子供も大学生などになり、家族にとって今の場所が人生の本拠地になっているケースもあります。人に貸しているマイホームに戻ることが無さそうだと判断した場合は、賃貸をしている途中であっても、売却できます。

ローンが残っていると売却はできませんので、まずは融資を受けている金融機関に、事情を説明してローン完済の上で売却を予定していると相談をします。そのうえで、以下のような選択肢があります。

どの場合でも、ローン残債がある場合は、その金額を上回る売却額にしないと、不足分を自己負担することになります。

・普通に売却をする
土地家屋を普通に中古不動産として売却します。現在の定期借家の入居者が退去後になりますので、入居者には契約期間の延長がないこと、売却予定であることを伝えておく必要があります。

・今住んでいる方に買い取りを打診
現在の入居者に買い取りを打診します。交渉は不動産管理会社が行い、条件などに納得がいけば定期借家契約を解除した後に、売買契約をすすめます。

・隣の家に買い取りを打診
マイホームの前後左右の隣あう家や地主に、買取の提案をします。交渉などは不動産管理会社が行います。条件面で折り合えば、現在の定期借家契約が終了次第、買取となります。

・不動産会社に買い取りをしてもらう
家屋が古い・売却を急いでいる・値段が折り合わないなどの理由で、なかなか売却が進まない場合は、最終的には不動産管理会社に買い取りをしてもらうこともできます。ただし、不動産会社が買い取る場合は、市場価格の6割程度になる傾向があります。

転勤で家を貸すときには、転勤中のマイホームの管理から賃貸管理までをお任せできる以外にも、売却にも強い不動産管理会社選んでください。特に、買取ができる不動産管理会社であれば、万が一、売却がスムーズにいかない場合でも、安心していられます。

不動産管理会社さがしは、NTTデータグループの「賃貸経営HOME4U」の一括プラン請求が便利です。一回の入力で、エリアと物件に相性の良い、たくさんの不動産管理会社が提示されます。

買取には会社に資金力が必要であるため、大手不動産管理会社か、経営実績のある会社が適しています。管理実績が1万件を超えていることをめやすに、たくさんの不動産管理会社のプランを比較することで、転勤とマイホームに関して起きる、あらゆることに適切な対応をしてもらえます。

まとめ

転勤で家を貸すときに、気になることや不安に思うことをまとめました。転勤で家を一時的に貸すことは、業界用語で「リロケーション」と言います。普通の不動産会社でも扱いがありますが、転勤の期間や場所によっては、転勤中にマイホームのすべてをお任せしなければならなくなる可能性があるため、管理に強い会社である、不動産管理会社が適しています。マイホームの状態、転勤の事情などにより、対応すべきことが違いますので、信頼と実績のある不動産管理会社を探し出し、安心して転勤できるように準備をはじめてください。

大手から地域の事情に精通した
優良企業まで多数の企業が参画