賃貸住宅管理業法は2021年6月から全面施行された法律で、適切な賃貸管理業務をするのに必要な法律です。 この記事は「賃貸管理業法」をできるだけ簡単に理解できるよう、その「概要」や「代表的な義務・禁止事項」、「要点」や「もたらすメリット」について簡潔に解説しています。

この記事でわかること

  • 賃貸住宅管理業法とは
  • 管理方式別「賃貸住宅管理業法上の規制」
  • 賃貸住宅管理業法の要点
  • 「賃貸住宅管理業法」がオーナーにもたらすメリット

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ポイント1.賃貸住宅管理業法とは

賃貸住宅管理業法とは、賃貸物件の管理業務を適正に運営するために制定された法律です。
賃貸物件の所有者と借主双方の利益を保護し、賃貸管理業務の質を向上させることを目的としています。

賃貸住宅管理業法では、以下のような禁止事項や義務内容が定められています。

<賃貸住宅管理業法における禁止事項&義務内容一覧表>

項目禁止事項・義務内容
サブリース方式
  • 不当な勧誘行為・誇大広告等の禁止
  • 特定賃貸借契約締結前の重要事項説明の義務化
管理委託方式を含むすべての管理方式
  • 賃貸住宅管理業への登録義務
  • 業務管理者の配置義務
  • 契約締結前の説明義務
  • 財産の分別管理義務
  • 委託者への定期報告義務

禁止事項や義務内容が定められることで賃貸物件の管理業務が透明で公正に行われ、オーナーも借主も安心して管理業者に管理を任せることができるようになります。

以下の記事では、賃貸管理について解説しています。あわせてご覧ください。

「賃貸管理の仕事内容」一覧&解説|具体的な業務内容の解説から、管理形態の解説まで

ポイント2.管理方式別「賃貸住宅管理業法上の規制」

賃貸住宅管理業法における規制について、管理方式別に解説します。「サブリース方式」と「管理委託方式を含むすべての管理方式」に分けてみていきます。

2-1.「サブリース方式」の場合

<賃貸住宅管理業法における「サブリース方式」での禁止事項&義務内容 一覧表>

項目禁止事項・義務内容
サブリース方式
  • 不当な勧誘行為・誇大広告等の禁止
  • 特定賃貸借契約締結前の重要事項説明の義務化

オーナーが不利益を被らず、安心してサブリース契約できる環境を整えることを主眼に義務内容が定められています。

また、以前は任意とされていた特定賃貸借契約締結前の重要事項説明も義務付けられました
具体的には、契約前に契約内容やリスク・義務や金銭などの重要事項を、オーナーに対して詳細に説明することが義務付けられています。

サブリースについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【簡単解説】サブリース契約のデメリット&メリットを比較・解説|基本的な仕組みから契約時の注意点まで

2-2.「管理委託方式を含むすべての管理方式」の場合

<賃貸住宅管理業法における「すべての管理方式」での義務内容 一覧表>

項目義務内容
管理委託方式を含むすべての管理方式
  • 賃貸住宅管理業への登録義務
  • 事業所毎の業務管理者の配置義務
  • 契約締結前の説明義務
  • 財産の分別管理義務
  • 委託者への定期報告義務

特に注目したいのが、「事業所ごとに賃貸管理士の資格を持った業務管理者を1人以上配置する義務」です。
2年以上の実務経験がある、宅健士もしくは登録試験に合格した人である必要があり、達成に一定のハードルがある規制です。

また、管理受託契約締結前の重要事項説明や財産の分別管理、契約の相手方への定期報告も義務内容に含まれており、なあなあにやっていくことができないようになっています。 各種詳細は「ポイント3.賃貸住宅管理業法の要点」で解説しています。

ポイント3.賃貸住宅管理業法の要点

賃貸住宅管理業法の要点を、6つにまとめました。

〈「賃貸住宅管理業法」6つの要点〉

  • 対象者
  • 登録の義務化
  • 業務管理者の要件
  • 契約時の重要事項説明と書面交付
  • 財産の分別管理

委託者(オーナー)への定期報告

以下、それぞれ解説します。

3-1.対象者

賃貸住宅管理業法の対象者・非対象者は下記の通りです。

<賃貸住宅管理業法の対象者・非対象者>

対象者非対象者
管理業務を行う不動産会社・賃貸管理者、またはそれに準ずる者
オーナーに委託された第三者
オーナー

賃貸物件の管理業務を行う事業者である不動産業者や賃貸管理会社、またはそれに準ずる者が含まれます。
一方、委託者であるオーナーは賃貸管理業法の対象者ではありません。 オーナーが第三者に管理を委託する場合、委託された事業者が対象者です。

3-2.登録の義務化

賃貸住宅管理業法では、管理戸数が200個以上の賃貸管理業務を行う者に対して、登録の義務が課せられています。

都道府県知事への登録申請が必要で、申請時には事業所の所在地や管理業務に関する情報・経歴など詳細な情報を提出する必要があります。

3-3.業務管理者の要件

業務管理者は賃貸管理業務に関する知識と経験を持ち、業務の質を管理する責任者です。

  • 法に関する知識
  • 建物・設備に関する技術的な知識、建築法規等の法令知識
  • 金銭の管理に関する経理上の知識
  • 賃貸借契約に関する法律的な知識(賃貸借契約の更新、退去時の原状回復義務等の 民法その他の法令に関する知識)

等、専門的な知識が必要になります。

そのため、2年以上の実務経験があり、かつ講習を受けた宅建士か、登録試験に合格した人しか業務管理者にはなれません。

ただし、令和2年度までに賃貸不動産経営管理士に合格している方は要件が変わるので、詳細については以下をご確認ください。

参考記事:業務管理者について | 賃貸住宅管理業法ポータルサイト – 国土交通省

3-4.契約時の重要事項説明と書面交付

委託者(賃貸オーナー等)が契約内容を正確に理解し、後のトラブルを防ぐことを目的としています。

賃貸契約の内容や管理業務の詳細、料金体系、契約期間などを明確に説明し、委託者に対して書面で交付する必要があります。

3-5.財産の分別管理

オーナーと業者間で資産の混同を防ぎ、業者の不正利用を抑止することが目的です。

具体的には、管理する賃料や敷金などの資産を、業務用口座と区別して管理することが求められます。

3-6.委託者(オーナー)への定期報告

報告内容には管理状況や収支報告、業務の進捗状況などの重要な情報提供が含まれます。

報告の頻度や内容については契約時に明確にし、オーナーが納得できるかたちで情報を提供します。

定期報告により、オーナーは自身の資産が適切に管理されているかを確認でき、安心して賃貸物件を委託できる環境が整います。

ポイント4. 「賃貸住宅管理業法」がオーナーにもたらすメリット

賃貸住宅管理業法による発生するオーナー側のメリットとして、以下の3つが挙げられます。

〈「賃貸住宅管理業法」がオーナーにもたらすメリット〉

  • 業務のルール化で適正な運営を確保できる
  • 情報開示と適正管理会社の選択ができる
  • 業務のルール普及による業界の健全な発達ができる

それぞれ詳しく解説します。

4-1.業務のルール化で適正な運営を確保

オーナーにとってのメリット

  • 信頼できるルールに基づいて物件が管理されること
  • 安心して業務をいたくできること

賃貸住宅管理業法の目的は、賃貸管理業務に関する明確なルールを設定し、適正な運営を確保することです。
これにより管理業務の標準化が進み、業者の業務ミスやトラブルの発生が減少します。

4-2.情報開示と適正管理会社の選択

オーナーにとってのメリット

  • 情報の透明性が高くなることで、信頼できる管理会社を選びやすい
  • 適切な管理サービスを受けられる

賃貸住宅管理業法は、管理業者に対して詳細な情報開示を義務付けています。

オーナーは管理業務の内容や料金を正確に把握できるようになるため、適正な管理会社を選びやすくなります。

4-3.業務のルール普及による業界の健全な発達

オーナーにとってのメリット

  • 信頼できる管理会社と出会う機会が増える
  • 定期報告を受けるなど、安心して賃貸経営を任せられる環境が整う

業務のルールが明確になることで業者間の公平な競争が促進され、業界全体の健全な発展が期待されます。厳格な規制により、悪質な管理会社は淘汰されることになるでしょう。

そのため、信頼できる管理会社と出会う機会が増えます

業務のルール普及は業界の質を底上げし、持続可能な発展を支える基盤となります。

まとめ

賃貸住宅管理業法は、賃貸物件の管理業務を適正に運営するために制定された法律です。

この法律によって賃貸管理業務が透明で公正に行われ、安心して管理委託できる環境が整います。
また、オーナーは適正な管理会社を選択しやすくなり、信頼できる管理サービスを受けられるというメリットがあります。 業務効率化のために賃貸管理業者との契約を考えている方は、本記事を参考に賃貸住宅管理業法を遵守しているか確認しましょう。

この記事のまとめ

賃貸住宅管理業法における禁止事項&義務内容一覧

賃貸住宅管理業法では、次のような禁止事項や義務が定められており、賃貸管理を行う場合には必ず守る必要があります。

<賃貸住宅管理業法における禁止事項&義務内容 一覧表>

項目禁止事項・義務内容
サブリース方式 ・不当な勧誘行為・誇大広告等の禁止
・特定賃貸借契約締結前の重要事項説明の義務化
管理委託方式を含むすべての管理方式 ・賃貸住宅管理業への登録義務
・業務管理者の配置義務
・契約締結前の説明義務
・財産の分別管理義務
・委託者への定期報告義務
詳細は「ポイント1.賃貸住宅管理業法とは」にて解説しています。

賃貸住宅管理業法の要点

賃貸住宅管理業法で定められている内容には、以下の6つの要点があります。

・対象者
・登録の義務化
・事業所毎の業務管理者の配置
・契約時の重要事項説明と書面交付
・財産の分別管理
・委託者(オーナー)への定期報告

詳細は「ポイント3.賃貸住宅管理業法の要点」にて解説しています。

賃貸住宅管理業法の目的とオーナーのメリット

賃貸住宅管理業法の目的とオーナーのメリットとして、以下の3つが挙げられます。

・業務のルール化で適正な運営を確保できる
・情報開示と適正管理会社の選択ができる
・業務のルール普及による業界の健全な発達ができる

詳細は「ポイント4.賃貸住宅管理業法の目的とオーナーのメリット」にて解説しています。