「住宅ローン返済が苦しい…」現状を打破する5つの対処法とNG行為

住宅ローンを借り入れる時は問題ないと感じていた契約内容でも、長期的に返済を続ければ「支払いが苦しい」と感じることもあるでしょう。

なぜこのような状況に陥ってしまったのでしょうか?

また、苦しい状況を打破するためには、どのような対処法が考えられるでしょうか?

この記事では、住宅ローンが苦しくなる理由から、苦しい状況を抜けるための対処法まで紹介しています。

記事後半には、支払いが困難だからといってしてはいけなNG行為も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事の監修者
秋山 芳生
家計簿アプリマネーフォワードMEの元事業責任者。
複数のベンチャー企業での上場経験を通じて資産構築をしFIREを達成。現在はFPとして講演・執筆・面談を行う傍らYouTube(チャンネル登録2万人以上)で情報発信するなどマルチに活動をしている。
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1.住宅ローン返済が苦しくなる理由

住宅ローン返済が苦しいと感じる人は、意外にも少なくありません。

この章では、多くの人が「返済が苦しい」と感じる理由を紹介します。

1-1.収入の減少

返済が苦しくなる最も多くの理由は収入の減少です。

景気の関係で給与が減少したり、リストラに巻き込まれる可能性は誰にでもあります。

住宅ローン契約時から予期するのは難しいことですので、こうした状況に陥ると、返済が苦しくなりがちです。

1-2.離婚

住宅ローンでは、連帯保証人や連帯債務者を夫婦間で設定することで合算した収入で審査を受け、融資額を高めることができます。

ただし、夫婦お互いの収入ありきで設定されている返済額になるため、離婚すると返済が苦しくなるケースがあります。

また、急な生活の変化により支出が増えたり、仕事に避ける時間が減ったりする可能性もあります。

一人でも十分賄えると思っていた返済額でも油断は禁物です。

1-3.自分または身内の病気や事故

病気や事故のリスクについては、住宅ローン契約時から想定できないことではありませんが、計画的に貯蓄をしないと、いざという時に生活が圧迫されかねません。

また、一緒に住む家族だけでなく、両親の病気や事故、介護などが発生する恐れもあります。

家を購入した次の日にでも、何か起こりかねないということを念頭に置きながら、貯蓄計画を立てる必要があります。

1-4.教育費の増加

子どもを持つ親であれば教育費について考えます。しかし、数年あるいは十数年先にかかる教育費について綿密に計画を立てられる方はなかなかいません。

最近は子どもでもネットを通じて様々な情報を得られます。そのため、興味や趣味、理想が増えて、よりお金のかかる道を選んでいく可能性は十分にあるでしょう。

平均的な教育ばかりを参考にせず、「もしも」を考えた計画を立てることが重要だといえます。

1-5.日々の浪費やギャンブル

日々の浪費やギャンブルでの支出が積りに積もって、住宅ローン返済を苦しくするケースもあります。

前項までに解説した内容とは異なり、じわじわと家計を圧迫していく特徴があります。

「一時的にしのげればいい」と、消費者金融から借りたお金で賄い、かえって負債を増やしてしまう方もいるでしょう。

クレジット決済が主流になりつつある現代では、収入と支出の関係を把握しにくくなっています。

クレジットでの支払いは、現金での支払いよりも精神的なストレスが少なく、浪費しやすい傾向にあるため注意が必要です。

住宅ローンは返済期間が長いローンです。始めはうまくいっているように見えても、人生何が起こるかわかりませんよね。収入が減ったり、家族構成が変わったりすることもあります。特に浪費やギャンブルによりさらに借金を重ねてしまうような事態は絶対に避けましょう。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

2.住宅ローンが苦しいと感じる原因を考えよう

あなたが今「住宅ローンの返済が苦しい」と感じる理由はなんでしょか?

一章で紹介した「返済が苦しくなるよくある理由」に加えて、さらに詳しい原因を考えていきましょう。

次章では、住宅ローンが苦しい時の5つの対処法を紹介しますが、問題を解決をするには現状に至った原因を明確にする必要があります。

  • 資金計画が甘かった
  • 返済比率が高すぎた
  • 思う様に繰り上げ返済ができなかった

2-1.資金計画が甘かった

1章で解説したような項目のほとんどは、資金計画の甘さが引き起こしているかもしれません。

家を購入する前に、考えられるだけの収支を細かく書き出し、リスクに備えた計画的な貯蓄が実行できていれば、返済が滞る可能性は各段に低くなります。

また、住宅ローンの返済額を基準に計画を立てるのではなく、事前に立てた計画に合う住宅ローンの返済額に設定できているかも重要です。

他の支出を圧迫してまで住宅ローンの返済額を大きくすると、いずれ妥協することになり、貯蓄の一部が支出として流れていきます。

資金計画の甘さが原因の場合は、今一度、資金計画を見直すことで、現状を打破できる可能性もあります。

2-2.返済比率が高すぎた

返済比率とは、年収に対する年間ローン返済額の割合のことです。

例えば、年収1,000万円に対して、年間ローン返済額が200万円であれば、返済比率は20%です。

返済比率は、その値が低いほどゆとりのある返済ができます。

ほとんどの金融機関は、返済比率の上限を30~40%に設定していますが、ゆとりのある返済を行うには、返済比率20~25%が目安といわれています。

自身の返済比率がどの程度か確認してみましょう。

金融機関に相談すれば、場合によっては月々の返済額を減らしてもらうこともできるかもしれません。

しかしこの場合、返済比率は減らせますが、金利によって総支払額が高まる点に注意が必要です。

2-3.思うように繰り上げ返済ができなかった

住宅ローンの契約当初は、積極的に繰り上げ返済を行い、早期に完済させてしまおうと考える方も多いでしょう。

ただし、なかなか思うように繰り上げ返済ができないこともあります。

1章で紹介したような教育費や病気・事故のリスクを考えると、貯金を返済に当てる決心はなかなかつかないでしょう。

また、病気や事故以外にも急な支出は考えられます。

例えば、「冠婚葬祭にかかる費用」「災害による復旧費用」「住居の修理修繕」「携帯等の紛失」などです。

繰り上げ返済をする前にこれらの支出が発生すれば、返済がずるずると後回しになってしまう場合があります。

したがって、繰り上げ返済を行う場合も、事前の資金計画が重要になります。加えて、返済比率が高すぎないことも大切です。

問題を解決するには、問題の原因を特定することが解決の第一歩です。しかし、そもそも返済が苦しくなってしまう原因は、住宅ローンを借りる前の甘い見通しであることが多いです。借りる前のしっかりとした計画こそ、最も良い予防になります。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

3.住宅ローンが苦しい時の対処法

住宅ローンの返済が苦しいと感じた時には、どのような対処法があるでしょうか。

この章では、以下の通り5つの対処法を紹介いたします。

  • 収支を見直す
  • 金融機関へ相談する
  • 住宅ローンを借り換える
  • 公的な融資制度を利用する
  • 家を売却する

3-1.収支を見直す

先決すべきは、支出の見直しです。

収入については、短期間で個人の収入を大きく増やすことは難しいため、同居家族で働ける方がいないか考える必要があります。

これまでに支出について深く考えてこなかった方であれば、減らせる部分があるかもしれません。

積極的に支出を減らして、収支のバランスを調整しましょう。

【支出を減らす例】

  • 格安SIMのスマートフォンにする
  • 車を手放す
  • 保険を見直す
  • あらかじめ買い物リストを作り衝動買いを抑える

車を手放せばガソリン代はもちろん、固定費が浮きます。

一戸建てで自宅に駐車場がある方は、駐車場をレンタルして副収入を得られる可能性もあります。

3-2.金融機関へ相談する

金融機関へ相談すれば、毎月の返済額を少なくできたり、支払い猶予が与えられたりする場合があります。

金利の関係で総支払額が増えてしまう可能性もありますが、他に借り入れを増やすよりは安全な方法です。

3-3.住宅ローンを借り換える

低金利の住宅ローンに借り換えることで、支出を減らせる場合があります。

現在、固定金利の住宅ローンを契約している方であれば、変動金利の住宅ローンに借り換えることで、金利が抑えれる可能性が高いでしょう。

ただし、変動金利の住宅ローンは、将来的な金利上昇により支払い額が大きくなる恐れもあるため、慎重に選ぶ必要があります。

また、住宅ローンの借り換えには手数料がかかるため、それらを考慮して計画を立てなければなりません。

まずは金利の低い住宅ローンを複数ピックアップし、目安として1%程の金利差が生まれそうか確認してみましょう。

3-4.公的な融資制度を利用する

公的な融資制度を利用すれば、無金利あるいは低金利でお金を借りられます。

住宅ローンの支払いのために、借り入れを増やすのは得策ではありませんが、一時的な収入減少や急な出費に耐えうる手段として活用をできないか考えてみましょう。

【公的な融資制度の例】

  • 緊急小口資金貸付
  • 生活福祉資金貸付制度

3-5.家を売却する

家を売却し、売却金額を住宅ローンの返済にあてることも考えてみましょう。

原則として、売却金額で住宅ローンを完済できない場合は通常の売却方法をとることができませんが、任意売却という手段で売却できます。

任意売却は、金融機関の同意を得て売却を行う方法で、住宅ローンを完済できなくても売却をすることができます。

一般的に住宅ローンの支払いができず、3~6カ月程度の滞納をしている方が利用できる方法です。

住宅ローン滞納の過程で信用情報機関により事故情報(いわゆるブラックリスト)が登録されてしまうので、最終手段として考えておきましょう。

売却を考える方は、まずは住宅ローン残高と査定額を調べましょう。

査定額を把握するためには、不動産一括査定サービスを利用すると便利です。

不動産一括査定サービスは、面倒な複数社への査定依頼を一度の入力で完結できるサービスです。会社によって異なる査定額を簡単に比較できます。

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苦しい時の、対処法はいくつかありまが、まずは家計の収支をしっかり見直しましょう。これが1番早く取り組める方法です。金融機関に相談したり、住宅ローンを借り換えたりすると、手間や費用がかかります。一つひとつの選択肢を冷静に考えて、最適な方法を選びましょう。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

4.住宅ローンが苦しい時のNG行為

住宅ローンが苦しい時には前章で解説したような対処を講じることができますが、かえって状況を悪化させてしまうやってはいけない行為もあります。

以下2つのNG行為は避けましょう。

  • 複数月にわたる無断滞納
  • カードローンなど高金利な借り入れで賄う

4-1.複数月にわたる無断滞納

債権者(金融機関)は、不動産に抵当権という権利を設定しているため、住宅ローンの返済が滞った場合に、強制的に競売手続きを進めることができます。

無断の滞納を続けると、家が競売にかけられてしまいます。

一般的に、住宅ローンを3カ月程滞納をすると、金融機関から「期限の利益喪失通知」が届きます。

期限の利益喪失とは、借り入れ金を長期にわたって分割返済する権利がなくなるという意味で、早急な一括返済を求められます。

一括返済ができないと、競売の手続きが進められてしまいます。

万が一、住宅ローンを滞納してしまう場合は、事情を金融機関に相談し、返済計画を見直すための交渉をしましょう。

4-2.カードローンなど高金利な借り入れで賄う

一時的な生活資金が不足している際など、「カードローンで住宅ローンを賄う」という考えは生まれやすいでしょう。

しかし、借金で借金を返すことは避けたほうがよいです。

カードローンは住宅ローンよりもはるかに金利が高いため、支払いが増え、多重債務から抜け出せなくなる恐れがあります。

最終的に自己破産に陥るケースもあり、その場合は不動産を手放さなければなりません。

まとめ

住宅ローンの支払いが苦しいと感じている方は少なくありません。

その多くは予期せぬ収入の減少が影響しています。

支払いが困難な状況に陥ったら、資金計画を立て直したうえで、金融機関へ相談しましょう。

住宅ローンの無断滞納には十分注意してください。

夢のマイホーム、住宅ローンは金額が大きいため、お金の感覚が変わってしまったり、少し甘めに計画を見積もってしまったりすることがあります。

時間が経つにつれて生活の変化や現実が押し寄せてくると、「支払いが苦しい」と感じることがあるのは、決して珍しいことではありません。

返済が苦しいなと思ったら、まずは原因を理解するために、しっかりと家計を分析・見直しを行いましょう。その上で、さらに対応が必要であれば、その他の対処法を検討することが、問題解決に向けた第一歩です。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生