リロケーション会社選び

転勤や海外赴任などで家を長期間空き家にする時には「リロケーション(定期借家契約)」で賃貸に出す方法があります。リロケーションで自宅を人に貸す場合、重要なのは管理会社選びです。

この記事では、

  • リロケーションとは
  • リロケーションと賃貸の違い
  • リロケーションのメリットと注意点
  • リロケーションの流れ
  • 管理会社を比較するときにチェックすべきポイント
  • おすすめのリロケーション専門会社

を紹介します。

1.リロケーションとは?|仕組みと方式

リロケーションとは、「一定の期間を決めて家を貸す方法」定期借家契約で家を貸すことです。
リロケーションの仕組み
転勤や海外赴任などある一定期間だけ家を空ける際に、留守宅を賃貸に出し家賃収入を得る賃貸方法で、英語の「Relocation=移転・配置転換」という意味からきています。別の言葉では「定期借家契約」といいます。

転勤やライフスタイルの変化でで数年ほど家を不在にすることになった場合、家を所有していれば住んでいなくても固定資産税などの税金が発生します。リロケーションを利用すれば、留守宅を人に貸すことで空き家にすることなく家賃収入も得られ、資産を有効に活用できます。

リロケーションは、転勤だけではなく高齢者世帯の住み替えや家族の介護などで、一定期間家を空けるが手放したくない場合に利用するのもおすすめです。

1-1.留守宅を賃貸に出し家賃収入を得る賃貸方法

リロケーションと賃貸は、「人に家を貸す」という点では一緒ですが、賃貸契約の種類が異なります。通常の賃貸は「普通借家契約」といい、正当な理由がない限り借主が契約更新の意思を示した場合に貸主は断ることができません。

一方、リロケーションは、契約時に貸主と借主の双方が物件の賃貸期間に合意して契約を結ぶため、契約期間満了時には確実に家が戻ってくるという点が賃貸との大きな違いです。リロケーションであれば、転勤が終わって戻って来た際に、確実に住む家を確保できる点が安心です。

1-2.契約は2つの方式がある

リロケーションと一言で言っても、契約方式が2つあります。リロケーションで家を貸す場合どちらの方式にするか選択することも必要となります。ここでは下記方式について解説します。

  • 転貸借方式
  • 代理委託方式

転貸借方式

転貸借方式は「家賃保証契約」や「サブリース契約」「一括契約」等とも呼ばれております。
貸主(オーナー)は管理会社と賃貸借契約を結びます。次に管理会社が入居者と賃貸契約を結ぶので言い換えると「又貸し」のということになります。
リロケーションで家を貸す人は転勤、海外赴任など遠方で暮らす方が多いため、入居者に何かトラブルがあった時の対応が難しくなります。>転貸借方式では入居者に何かトラブルが起きた場合、契約をしている管理会社が対応することになります。遠方で暮らしていても安心して家を貸すことができるため、リロケーションでは転貸借方式が選ばれることが多いです。

代理委託方式

代理委託方式とは賃貸管理会社が貸主(オーナー)の代理人となる方式のことです。つまり管理会社が物件の管理を行うことになります。物件の管理のみとなるので、契約まわり物件に物件に物件にや物件に何かトラブルが起きた場合は貸主が対応することになります。

1-3.リロケーションと賃貸との違い

リロケーションと賃貸は、「人に家を貸す」という点では一緒ですが、賃貸契約の種類が異なります。通常の賃貸は「普通借家契約」といい、正当な理由がない限り借主が契約更新の意思を示した場合に貸主は断ることができません。
一方、リロケーションは、契約時に貸主と借主の双方が物件の賃貸期間に合意して契約を結ぶため、契約期間満了時には確実に家が戻ってくるという点が賃貸との大きな違いです。リロケーションであれば、転勤が終わって戻って来た際に、確実に住む家を確保できる点が安心です。

定期借家契約(リロケーション) 普通借家契約
更新の有無 期間満了で終了、更新はなし
(ただし、再契約は可能)
正当な理由がなければ更新

突然の転勤で持ち家をどうしようかと迷っている方はこちらもご覧ください。

転勤の際、持ち家はどうすればいい?5つの選択肢のメリット・デメリット・注意点・手順

2.リロケーションとサブリースの違い

リロケーションとあわせて説明される転貸として「サブリース」があります。転貸とは、借りている物件をさらに別の人に貸すことです。

サブリースとは、不動産会社が物件の持ち主から賃貸物件を一括で借り上げて、入居者に貸し出す仕組みのことです。物件の持ち主は借り上げを行った不動産会社から、家賃収入を得ることになります。

リロケーションもサブリースも、仲介会社を通じて転貸するという点は共通していますが、手法は異なります。

3.リロケーションの3つのメリット

ここまで読んで「リロケーションってどうなの?」と思った人もいるのではないでしょうか。リロケーションには、さまざまなメリットがあります。大きくは次の3つです。

3-1.家賃収入が得られる

リロケーションの最大のメリットとして、家賃収入が得られる点があげられます。

転勤中に家を空き家にしていても、物件を所有している限りは固定資産税などの税金が発生します。家に
リロケーションを活用すれば、家賃収入を税金やローン返済に充てることができます。

3-2.家のダメージを最小限に抑えられる

家のダメージを最小限に抑えられる点は、リロケーションのメリットといえます。
長期間、空き家にしておくと、換気や掃除が出来ないことからカビやダニが発生し家の経年劣化が通常よりも進んでしまいます。庭付き物件では周りに雑草が生え、害虫や獣害の発生につながり近隣トラブルにつながることも。

リロケーションでは、人に住んでもらうことで清掃、換気など家の管理がされます。さらに管理会社も定期的なメンテナンスに入るため家の状態を保つことができます。

3-3.防犯対策として効果的

リロケーションは防犯対策としても有効な点はメリットの一つです。
長期間の空き家は、家が荒れるだけではなく、空き巣に入られたり放火されたりしてもすぐに気づかれないなど防犯面で不安が残ります。
リロケーションでは、契約期間中は入居者が住んでいるためこのような心配は減ると思われます。仮に入居者が見つからない場合でも、リロケーションの管理会社に管理してもらえるため全く人の手が入らない状態で放置されるという心配はありません。

4.リロケーションで得られる家賃収入はいくら

メリットだけではなく、リロケーションで家を貸したところで利益が得られるかのかは気になるところ。収入と支出の内訳は大雑把にいうと、下記の項目です。

収入:月々の家賃
支出:管理会社に払う管理費などの費用
支出:家賃収入に対する税金
つまり、
利益=家賃-(管理費+税金)
です。

それぞれの項目を、詳しく説明していきます。

リロケーションには注意点もあります。リロケーションを検討されている方は、注意点も理解した上で検討してみてください。

4-1.賃料が相場より安くなる

リロケーションは賃料が相場より安くなります。理由として、リロケーションは期限付きの賃貸物件になるため、通常の賃貸物件よりも賃料を安く設定する傾向にあるからです。
一般的に、相場より1~3割ほど安い賃料設定です。賃料が通常より安くなる点も理解しておくほうがよいでしょう。

リロケーションの家賃相場目安

契約年数 リロケーションの家賃の相場
2年契約 相場より20-30%安くなる
3年契約 相場より15-25%安くなる
4年契約 相場より10-20%安くなる

4-2.リロケーションの税金:家賃収入の納税が必要

家を貸して家賃収入を得た場合、もちろん税金を支払わなければいけません。
納税の方法は「不動産所得」として確定申告をします。

※ただし、サラリーマンなどの給与所得者は、家を貸して得る収入が年間20万円以下の場合は確定申告しなくてもよいことになっています。

不動産所得は、以下の公式によって算出されます。

不動産所得=年間の家賃収入-必要経費

上記の「必要経費」には、

  • 固定資産税、都市計画税
  • 管理会社に支払う管理費
  • 建物の減価償却費
  • ハウスクリーニングなどの修繕費
  • 住宅ローンの支払利息
  • マンションの管理費
  • 火災保険料、地震保険料

などです。

海外赴任などで日本から離れて暮らす場合、確定申告は親族の方などに「納税管理人」を依頼します。
気軽に頼める親族の方がいない場合は、納税管理人の代行サービスをやってくれる管理会社が多くありますのですので、安心してください。

以上が、リロケーションをした時の収入と支出です。
家賃収入から管理費と税金を差し引いた額が、手元に入る利益になります。

「相場より賃料が安くって、管理会社に費用を払って、その上税金もかかる。なんだか面倒だな」
と思われる方がいるかもしれません。

でも、考えてみてください。
たとえ相場よりも家賃が低かったとしても、管理費や税金がかかったとしても、留守になる家を利用して給与以外の収入が得られるのです。

例えば年間150万円だと、3年間貸せば450万円もの金額になります。
留守宅を利用して、数百万円のお金が給与以外に手に入れば、嬉しいですよね。

「とはいえ、大切な我が家を赤の他人に貸すのは抵抗があるし、不安。」
と思われる方も多いでしょう。

以下でお伝えするリロケーションの注意点をちゃんと理解したうえで、人に貸すかどうか検討してみてください。

4-3.管理費の相場:気にするべきなのは毎月支払う管理費

支出の一つである管理費はどのくらいかかるのでしょうか?

▼契約前にかかる費用
費用名 費用の相場
管理委託申し込み料 無料~1万円前後
契約事務手数料 無料~賃料の1ヶ月分が相場
広告用写真の撮影料 1万5千円~3万円など
ハウスクリーニング・壁紙の張り替え ※必要な場合に発生
入居者決定の成約料 賃料の1か月分が相場
▼契約期間中(毎月発生する費用)
費用名 費用の相場
管理委託手数料 毎月:賃料の5%~15%など
修繕費用 ※必要な場合発生
定期巡回管理料 ※委託している場合発生
納税代行料 ※委託している場合発生
▼契約期間中(毎年発生する費用)
費用名 費用の相場
管理会社の契約更新料 賃料の0.5ヶ月分が相場
▼契約終了時
費用名 費用の相場
退去立会い費用 ※管理費に含まれる場合もある
(自分でまた住むために)
ハウスクリーニングなどの費用
※必要な場合発生

※上記費用は一例です。

細かくいろいろな費用がありますが、一番負担になるのが、やはり毎月支払う「管理委託手数料(管理費)」です。

管理費は、会社によって%が変わりますが、具体的にどのくらい違いがでるか計算してみましょう。

▼家賃が15万円の場合
管理費8%の場合 管理費12%の場合 差額
家賃 (月) ¥150,000 ¥150,000
管理費(月) ¥12,000 ¥18,000 ¥6,000
家賃収入(月) ¥138,000 ¥132,000 ¥6,000
家賃収入(年) ¥1,656,000 ¥1,584,000 ¥72,000

家賃が15万円で管理費が8%と12%の場合、月額の差額は6,000円、年間の差額は72,000円です。
違いはありますが、思ったよりは差がないと思いませんか?

基準が「家賃の◯%」なので、ものすごく高額な賃料ではない限り、大きな差はでないのです。

そのため、管理費が安いというだけで会社を選ぶのではなく、説明をきちんと聞いて、サービスの内容や質で選ぶことをおすすめします。

5.リロケーションの注意点

5-1.「住宅ローン控除」が適用されない

リロケーションのデメリットの一つとして、住宅ローン返済中にリロケーションを利用する場合は、住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)が適用されないことがあげられます。
住宅ローン控除は、本人か家族が居住するということが条件になるため、リロケーション期間中は住宅ローン控除対象から外れてしまいます。
契約が満了し、元の家に戻って住み始めた際には、条件を満たせば残りの控除期間の再適用を受けることは可能です。住宅ローンの返済が残っている場合は注意しましょう。

家を貸すときの注意点や流れについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

家を貸す相場、流れ、注意点など、スムーズに個人宅を貸す方法を解説!

5-2.入居者が見つかりにくい

リロケーションの注意点の一つとして、入居者がなかなか見つかりにくい点があげられます。リロケーションは、借主にとっては契約満了時に退去しなくてはいけないため借りづらいという難点があります。また、リロケーション制度の認知度も低く、調査では約6割の人が「リロケーション制度(定期借家制度)を知らない」と回答しています。

参考:国土交通省 住宅市場調査

実際に、賃貸契約のうちリロケーションの利用率は全体のわずか2.5%となっており、貸主にとって借主を見つけるのが難しいという点は、大きなデメリットといえます。
リロケーションで効率よく家賃収入を得るためには、わずかな入居者を効率よく探してくれる、実績豊富な会社を探すことが大切ということがわかります。

5-3.破損・設備故障のリスクもある

すべての入居者が、家を大切にしながら住んでくれるわけではありません。
むしろ、持ち主である自分たちより丁寧に暮らしてくれる人はほぼいないかもしれません。

  • キッチンや洗面台などの設備を雑に扱う
  • 壁や床の汚れや損傷を気にせずに放置

など、家の損傷や設備故障は覚悟しておく必要があります。
では家の返却時、損傷や故障の修繕費は借主と貸主のどちらが負担するのでしょうか。

  • 借主と貸主のどちらが原状回復の費用を支払うのか?
  • 敷金の返却についてのトラブル

という問題で裁判まで発展してしまう事例がとても多く、国土交通省がガイドラインを出しました。
「通常の範囲の磨耗」の場合、借主には修繕の義務はなく、借主の故意過失による損傷の場合のみ借主負担になるという内容です。
つまり「通常の範囲の磨耗」は、貸主(あなた)が修繕の負担をするのです。

下記の「どちらが費用を負担するか?」の一覧表で、具体例を見てみましょう。
(参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改定版)

▼床(畳・フローリング・カーペットなど)
内容 貸主
(あなた)
借主
(入居者)
畳の裏返し、表替え、変色など
フローリングのワックスがけ
通常の日照などによるフローリングの色落ち
借主の不注意で雨が吹き込んだことによるフローリングの色落ち
カーペットに飲み物などをこぼしたことによるシミやカビ
家具の設置による床やカーペットのへこみ
キャスター付きの椅子などによるフローリングの傷やへこみ
引っ越し作業などで生じたひっかきキズ
冷蔵庫のサビあと
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▼壁、天井(クロス)
内容 貸主
(あなた)
借主
(入居者)
タバコのヤニ(クリーニングで除去できるレベルのもの)
テレビや冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気焼け)
台所の油汚れ
壁に貼ったポスターや絵画の跡
壁のくぎ穴、ネジ穴
壁の画鋲やピン等の穴
エアコン設置によるビス穴や跡
天井に直接つけた照明器具の跡
▼ふすまや柱
内容 貸主
(あなた)
借主
(入居者)
ペットがつけた柱などのキズ
地震で破損したガラス
▼設備、その他
内容 貸主
(あなた)
借主
(入居者)
入居者退去時の鍵の取り替え
入居者退去時のハウスクリーニング
台所やトイレの消毒
浴槽や風呂がまの取り替え
設備機器の故障
ガスコンロ置き場、換気扇の油汚れ
風呂、トイレ、洗面台の水垢やカビなど

※このガイドラインが“絶対”ではありません。
契約時に特約をつける場合もありますので、あくまで目安として参考にしてください。

6.リロケーションを始める際の流れ

実際にリロケーションを始めようとした際に、何から始めたらいいのか迷わないように流れをまとめてみました。リロケーションを検討されている方はぜひ参考にされてください。

リロケーションで効率よく家賃収入を得るためには、わずかな入居者を効率よく探してくれる、実績豊富な会社でなくてはいけないのです。

6-1.管理会社選び

まず、最初にすることは管理会社選びです。

賃貸物件の管理を個人で全て行うことはなかなかの労力でもあり、管理内容も簡単ではありません。管理会社に任せることで負担が少なくすみます。

会社によって、サービス内容や料金、手数料や条件にも違いがあります。また、リロケーション物件取扱いの取扱い実績や安心して家を任せられる担当者かどうかも管理会社を選ぶ際にチェックしたい重要なポイントです。

リロケーション期間中は家を管理会社に任せることになります。管理会社選びを失敗すると思わぬトラブルが発生しかねません。複数の会社を比較・検討して信頼できる会社を選ぶようにしましょう。

6-2.管理業務委託契約の締結

リロケーションを委託する管理会社が決まったら、管理会社との間で管理業務委託契約を結びます。そして、契約後に管理会社が入居者の募集などを開始する流れです。

委託契約を結ぶ前には、管理会社が「どこまで対応してくれるのか?」をしっかり確認しておきましょう。プランによっても管理会社が対応してくれる内容には差があります。しっかり把握しておかないと、後々トラブルのもとになりかねませんので注意が必要です

6-3.賃料・入居条件などの決定

管理業務委託契約を結んだ後は、家賃やリロケーションの契約期間はどのくらいにするのか、ペットの可否など、入居者を募集する際に必要な条件を決めていきます。

リロケーションは期限付きの賃貸のため、賃料を相場より安く設定するのが一般的です。しかし、駅近の人気エリアや、契約期間が長い場合は通常の賃貸と同程度でも借り手が見つかることもあります。
経験豊富な管理会社のアドバイスも参考にしながら、条件を話し合って決めていくことがおすすめです。

6-4.リフォームなどの貸出し準備

入居条件などの具体的な内容が決まった後は、設備をチェックします。状態によってはフローリング、畳を張り替えるなどホームクリーニングを行い貸出準備を進めます。必要に応じて、修繕工事やリノベーションをする場合もあります。

6-5.入居者募集

入居者募集は、実績のある管理会社を選ぶことが大変重要です。入居者が見つからないと家賃収入を得ることはできないため、管理会社選びの際に入居者の実績なども確認しておきましょう。
実際に貸出する準備が整ったあとは、インターネットなどで賃貸物件情報サイトへリロケーション物件の情報を掲載して入居者を募集します。全賃貸契約物件の中でも、リロケーション物件の割合はわずか2.5%くらいが目安です。

6-6.入居者の審査・契約

入居希望者が見つかった後は、管理会社が入居者の支払い能力や入居条件の確認などをして、審査が通れば管理会社と入居者の間で賃貸契約が結ばれます。

7.管理会社選びで後悔しないための6つのチェックポイント

リロケーションの業務委託では、管理会社は主に以下のことを担当します。

  • 入居者募集
  • 家賃の回収
  • 入居者のクレーム対応
  • 修繕要望などの対応
  • 期間満了時の入居者との明け渡し処理
    など。

上記の内容は、ほとんどの管理会社のサービスにも含まれています。
しかし、どのような方法で、どこまで対応するかなどの細かい規定は会社によってさまざまです。
会社を選ぶ際には、必ず以下の6つのポイントをチェックしておくといいでしょう。

“6つのチェックポイント”

  1. 実績(管理戸数)はどのくらいあるのか?
  2. 契約期間は選べるか?
  3. 入居者の募集方法はどんな手法か?
  4. 修理修繕費用はいくらまで、誰が負担するのか?
  5. 収支報告書はあるか?
  6. 担当営業マンは信頼できるか?

7-1.実績(管理戸数)はどのくらいあるのかを確認する

実はリロケーション(定期借家契約)の制度は、2000年3月1日に施行されたまだ比較的新しい制度です。
そのため、リロケーション事業を専門に扱っている会社がまだまだ少ないのが現状です。

ノウハウを持っている会社を見極めるには、今までの「管理戸数」を聞いてみるのがひとつの手です。
管理戸数の累積数は、今まで取引した実績数のことです。
「管理戸数」=「実績の数」となります。

不在にしている間、家のこと全般の対応は委託会社の管轄になります。そのため信頼できる会社かどうかが大変重要です。
今までの管理戸数を確認して、”リロケーションに慣れている”会社を見つけ出しましょう。

7-2.契約期間は、選べるかどうか確認する

リロケーション期間は、貸主の事情によって異なります。
あなたの希望に沿って貸し出し期間を選択できるサービスになっているか確認しましょう。

会社によっては、「最低契約期間は3年」などと規定していることがあります。

「4年後の3月まで」「1年間だけ」など、あなたの貸したい期間を選択できるか、必ずチェックしてください。

7-3.入居者の募集方法はどんな手法?

入居者をいかに早く見つけ出すかは、リロケーション会社の腕にかかっています。
例えばあなたが海外赴任をする場合、できれば国内にいる間に入居者を決めて、安心して出発したいと思うはず。
また、入居者が見つからなければ、空室期間が長くなり家賃収入が減ってしまいます。

  • 入居者募集をどのような広告手法で行うか
  • 自分の家と似た物件が、過去にどのくらいの期間で契約できたか

を、打ち合わせ時に確認しましょう。

また、法人と提携しているリロケーション会社の場合、早く、質の良い入居者を見つけてくれる可能性が高まります。

※「法人と提携」とは?

大手企業などの法人企業が、社員の社宅向けにリロケーション物件を活用しています。
リロケーション会社は、法人と提携することで、その法人企業に勤めている身元のはっきりとした入居者をあなたの家の借主として契約してくれるのです。

  • 法人提携をしているか
  • 法人提携がある場合は、借主の何割くらいを占めるのか

を確認してみるとよいでしょう。

7-4.修理修繕費用はいくらまで、誰が負担するのか?

クーラーなどの家の設備に故障があった場合、通常、修理費はあなた(家のオーナー)が費用を負担するべきものです。

この修繕管理費について、あなたの代わりに費用を負担してくれる会社があります。
ただし、上限費用や修繕の種類が会社によって異なります。

どのような場合に、いくらまでリロケーション会社が負担してくれるのか、事前に確認をしておきましょう。

7-5.収支報告書はくれるのか?

リロケーションにより賃貸収入を得ると、給与以外の収入を得ることになるため、確定申告が必要になります。

管理会社が家賃収入の収支報告書を毎年発行してくれるか確認しましょう。

収支報告書の有無で、確定申告をする手間がかなり違ってきます。
できればサンプルを見せてもらい、且つ、手続き方法を詳しく教えてくれる会社が望ましいでしょう。

また、海外赴任などで国内にいない場合は、確定申告をするのも一苦労です。
確定申告をするのが難しい方は、「納税代行」サービスがあるか必ず確認しておきましょう。

7-6.担当営業マンは信頼できるか?

最後に最も見極めが難しく、でも一番大切な比較のポイントをご紹介します。それは

“担当営業マンを信頼できるかどうか”
です。
おそらくこの記事を読む方は、初めて家を貸す人が多いと思います。法律や税金のことなど、まだ不明な点が多くあるでしょう。

  • その疑問をあなたがちゃんと質問できる話しやすい相手かどうか?
  • その質問にあなたが理解できるように丁寧に回答してくれるか?

この2点を意識しながら、営業マンと打ち合わせをしてみましょう。
あなたが留守の間も、家を返してもらう時も、その営業マンとは今後頻繁に連絡を取り合うことになります。
営業マンが信頼できるかどうかは、リロケーション会社を選ぶ際には大切なポイントなのです。

8.頼れるリロケーション会社3選

上記の6つのポイントをふまえ、おすすめのリロケーション会社をご紹介します。

リロケーション事業を本業としている、実績豊富な会社ばかりです。
ぜひ、参考にしてください。

8-1.株式会社リロケーション・インターナショナル

株式会社リロケーション・インターナショナル日本で初めてリロケーションサービスを事業化した会社です。
この会社が所属している株式会社リログループは、社宅の仲介、各地の不動産仲介業などを営んでおり、グループ内の独自のネットワークを駆使して入居者を探し出してくれます。
「募集から最短3日で入居者決定」とうたっていることからも、その実績と自信の高さが伺えます。

対応エリア ほぼ全国の主要都市
管理戸数 10万戸
契約期間 自由に設定が可能
修理・修繕費用 同一箇所を1回5万円まで管理会社が負担
URL http://www.tenrusu.jp/newlp2/

8-2.住まいの情報館 (株式会社ダーウィンプラス)

株式会社ダーウィンプラスダーウィンプラスは、リロケーションをメインに不動産事業を展開している会社です。
契約者の約70%が法人契約のため、身元のはっきりとしている入居者を早く見つけてくれる可能性が高いといえます。
また、契約満了時に入居者が退去していない場合に、賃料と同額を損害金として保証するという「明渡保証」などのサービスが充実しており、入居者募集から家の返却時まで安心して任せられる会社です。

対応エリア 東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県・茨城県・大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県
管理戸数 不明
契約期間 自由に設定が可能
修理・修繕費用 管理会社が負担※上限・上限あり
URL https://7771.co.jp/

8-3.東急住宅リース株式会社

東急住宅リース株式会社株式会社東急コミュニティー、東急リバブル株式会社、東急リロケーション株式会社の賃貸住宅事業を統合して誕生したのが東急住宅リースです。
なんといっても、東急不動産ホールディンググループという「大手」であることの信頼感は抜群です。
リロケーションプランのほかに、普通借家契約のベーシックプランやサブリースプランなどのサービスがあり、あなたに合ったプランを提案してくれるでしょう。

対応エリア 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、福岡など
管理戸数 107,000戸(2022/1当時)
契約期間 不明
URL https://www.tokyu-housing-lease.co.jp/service/mng-units/relocation/

8-4.【番外編】複数の会社に一括相談

賃貸経営HOME4U

複数の会社にまとめて相談の依頼をするなら、リロケーションの一括相談サービスの利用がおすすめです。

リロケーション会社は、対応エリアが限られていることが多く、個別に問い合わせてもあなたの家のエリアを対応していない可能性があります。
一括相談サービスなら、家の住所を入力すると、そのエリアを得意とする会社をおすすめしてくれます。
また、不動産会社の中には、リロケーション業務にあまり本腰をいれていない会社もあります。
せっかく相談に出向いても、「リロケーションは取り扱っていない」と断られると時間が無駄になってしまいます。
リロケーションを得意とする専門会社だけを選んで相談したい場合、一括相談サービスはとても便利です。

参考:HOME4U(ホームフォーユー)のリロケーション提携会社一覧

9.各社の話を聞いたら忘れないうちに書き留めていきましょう

複数の会社の話を聞いていると、どの会社がどんなサービスだったか、だんだんわけがわからなくなってきてしまうものです。

話を聞いたら、忘れないうちに要点を書き留めておきましょう。

数値などを書き留めるのはもちろんですが、担当者営業マンの風貌や印象を書いておくことをおすすめします。
担当営業マンの顔を思い出せると、どんな話をしたか、自分がどんな印象を持ったのかなど、話の内容を思い出しやすくなります。

まとめ

  • リロケーションとは
  • リロケーションと賃貸の違い
  • リロケーションのメリット・注意点
  • リロケーションの流れ
  • リロケーションの管理会社を選ぶときのポイント
  • おすすめのリロケーション管理会社

をご紹介しました。

転勤などで、時間のない中で家を貸すことを同時に考えている方も多いはず。リロケーションの一括相談サービスなどを使って、効率よく管理会社を探してください。

信頼できるリロケーション会社と出会えることを祈っています。

この記事のポイント まとめ

1.リロケーションとはなにか?

リロケーションとは、「一定の期間を決めて家を貸す方法」定期借家契約で家を貸す「期限付きの」賃貸のこと。
契約期間が終われば、確実に家が戻ってくる点が賃貸との大きな違い。

定期借家契約
(リロケーション)
普通借家契約
更新の有無 期間満了で終了、更新はなし(ただし、再契約は可能) 正当な理由がなければ更新

詳しくは、「1.リロケーションとは?」をご覧ください。

2.リロケーションのメリットは?
  • 家賃収入が得られる
  • 家のダメージを最小限に抑えられる
  • 防犯対策として効果的

詳しくは、「3.リロケーションの3つのメリット」をご覧ください。

3.リロケーションの始め方は?
  • 管理会社を選ぶ
  • 管理業務委託契約を結ぶ
  • 賃料・入居条件などを決める
  • リフォームなどの貸出し準備をする
  • 入居者募集
  • 入居者の審査・契約

詳しくは、「4.リロケーションを始める際の流れ」をご覧ください。